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本編
21.出会い
しおりを挟む僕が5日も寝過ごした日から、1週間ほどが経った。衝撃的なことも知ったけど、特に日常が変わるわけでも無く、食って、特訓して、寝て、起きて、食って、動物たちと遊んで、寝る。いやあ~こんな平和でのんびりした生活が送れるなんて、妖精の体って楽でいいな~。そうそう、妖精って、排泄する必要ないから、消化器官とか無いんだよ。お尻の穴も無い! フォンターナから教えられて、ひっくり返るくらい驚いた。長年人間やってた身としては、違和感が半端ない。
それはさておき、なんとなくルビネだけじゃ味気なくなってきたから、新しい植物を生やした。茶色くて楕円の形をしていて、食べるとチョコのような味がする実を実らせる植物。その名も、『カカココ』! ⋯⋯ネーミングセンスはご愛嬌願おうか。
ルビネはベリー系の甘い味だったから、ちょっと砂糖のようなこってりした甘さが恋しくなって、カカココを開発した。そのうち、これにも飽きてきたらミントを生やそう。そしてチョコミントを作って布教するのだ。
『ミントさまー、これ、なんだかるびねよりあまい!』
「うん、ルビネは果糖の甘さで、カカココは砂糖の甘さだから、より甘く感じるかもね」
『かとー? さとー?』
「あはは、分かんなくても大丈夫だよ」
ナッツはカカココも気に入ったのか、両手に一粒ずつ持ちながら、ポリポリと食べている。その様子を微笑ましく見守りながらも、ポリ、とカカココを食べるマロン。マロンも気に入ったようだ。
そんな変わらない日常は、ある日突然終わりを告げた。
僕が泉で力の特訓をしていると、フォンターナがふと空を見上げ、怪訝そうな顔をした。
「? どうしたの?」
「⋯⋯何やら、複数の魔力の塊が近づいて来ているわ。これは⋯⋯人間、そして獣人のようね」
「え!?」
こんな森の奥まで人間が来るなんて初めてだ。それに、ここに来るのはよっぽど大変に違いない。そんな苦労をしてまで、ここまで来たのはどうしてだろう?
「危なそうかな?」
「いいえ、危険な気配はしないわ。少なくとも、森を荒らしに来たわけではなさそうね」
「なら、会ってみてもいいかな!?」
「うーん⋯⋯あなたが外の世界を知りたがっているのはわかるけれど⋯⋯」
「お願い⋯⋯!」
「⋯⋯ふふ、私の負けね。分かったわ。十分に気をつけて会いなさい」
「ありがとう!」
初めての人間に会える⋯⋯! 考えただけで、ワクワクが止まらない! 早速、フォンターナが感じ取った気配の方へビュンッと羽を羽ばたかせて飛んでった。近づくにつれ、僕の気配察知でも感じ取れるようになり、その距離を詰めていった。
前方に少しだけ開けた木の無い広場が見えた。速度を落として、ゆっくり近づく。チラッと葉っぱの隙間から覗くと、鈍色の頑丈そうな甲冑に身を包んだ人間や獣人、黒いローブを着た人間たちが、休憩をしているようだった。気配察知では、人間たちから魔力を感じているけど、魔物の魔力のような禍々しさは感じない。嫌な感じもしないし、近づいても大丈夫そう。
っていうか、バリバリファンタジーな格好してる! うわ~! カッコいい~! それに、あのケモミミ!! もふもふしたいっ!
気づいたときには、僕はそろ~と身を乗り出してしまっていたみたいだ。正面にいた銀髪が綺麗な騎士とバチッと目が合ってしまい、大慌てで木に隠れた。
(ヤバい⋯⋯!見つかった⋯⋯?)
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