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本編
32.魔法の授業
しおりを挟むすらすらと説明される、魔力についての授業は、僕にとっても理解しやすい内容だった。
「魔力とは、私たち人族が生まれつきもっているエネルギーの事です。他の動物や植物がもっている霊力とは、性質が少し違います。霊力は、外から呼吸などで取り込むことで、体内でエネルギーとすることができますが、魔力は私たちの体の中で作られるエネルギーなのです」
へぇ~。人間たちは、霊力を作るんじゃなくて、魔力を作ってるんだ。そういえば、フォンターナが言ってたな。人族⋯⋯つまり人間、獣人、森人、地人の4つの種族だけは、魔力は害にならずエネルギーとなる、って。
「魔力を作っているのは、心臓の付近にある、魔臓と呼ばれる臓器です。食物などを食べると、養分が魔臓に運ばれ、そこで魔力が作られ、血の巡りに合わせて全身へ魔力が運ばれ、体を動かすエネルギーとなるのです」
なるほど。霊力が無くても、魔力である程度は体を動かせるってことかな。
「質問、いいでしょうか」
ヴィンデくんが手を挙げて、教師に尋ねた。
「魔力が作られなくなると、どうなるんですか?」
あ、確かに。他の生物は、霊力が無くても元からの生命活動によって生きられるんだったはず。
「いい質問ですね。食物や水を摂取できずにいたり、魔臓に何らかの異常が起きたりして魔力が作られなくなると、やがて生きるためのエネルギーが無くなり、死に至ります」
うーん? 人族は他の生物と体の構造がかなり違うんだろうか? 他の生物でいう普通の生命活動が、人族では魔力を生み出す活動にあたる、という感じかな。それって、魔法を使うならかなり不便じゃないだろうか。っていうか、危ないんじゃないだろうか。
「ですので、魔法を使う場合は、魔力がとても少なくなった状態、『魔力切れ』に十分に気をつけて行使しなければなりません」
「はい! 気をつけます」
「ええ。では次に、魔法の基礎についてお教えします」
「よろしくお願いします!」
ようやく魔法について学ぶようだ。そういえば、前世で読んだ物語だと、作者によって個性はあれど、魔法の構造とかは似ている所もあった。その知識が生かせるかも。ワクワクしながら、僕は授業を見学する。
「魔法には、属性というものがあります。基本の属性は、この6つ。火、水、風、土、光、闇。そして、これらを組み合わせた上位属性というものもあります。そちらは、後ほどの授業で徐々に学んで行きます」
「はい」
「そして、これらの属性の魔法は、適性が無いと扱うことができません。適性は専用の魔導具を使うと測ることができますので、この後測ってみましょう」
「はいっ! 楽しみです!」
にこにこと楽しそうに授業を受けるヴィンデくん。僕も魔法使えたらなぁ。
「では最後に、魔法を使うために必要な、詠唱、そして杖について説明します。魔法を使うには、魔力を手のひらに集めた後、放ちたい魔法の名前を声に出す必要があります。例えば、『炎』という魔法を使いたい場合は、このように手のひらや指先に魔力を集め、『炎』と唱えます」
教師の人が唱えた途端、上に向けた人さし指の先に、小さな炎がボッと灯った。それに、ヴィンデくんと僕が同時にすごいすごいと拍手をして、教師の人が少し照れた様子を見せた後、炎を消して「ゴホン」と咳払いをした。
「さて⋯⋯次に、杖について説明します。杖とは、魔法を使う際の補助の役割をもつ道具のことを指します。杖が無くとも魔法は使えますが、杖を使うと、少ない魔力で強力な魔法が使えるようになります。ただ、今の時代ではあまり使われていません」
「そうなんですね。あ、杖って、木の棒みたいな細長い棒状なんですか?」
「いえ、杖とは言っていますが、棒状でなくても良いのです。例えば、指輪の形であったり、置物の形であったりと、杖の作り手が自由に作ることができます」
面白いな。どんな形でも杖にできちゃうのか! まあ、実用性は無くなりそうだけど。
「では、この辺で座学は終わりとします。次に、実践へ入りたいと思います」
「やった! お願いします!」
お! いよいよ魔法が見られる! はやる気持ちを抑えて、じっと見守った。
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