思い込み、勘違いも、程々に。

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リアン様と2人。だけど……

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 向かいに誰かが座った気配があり、紅茶のお代わりを貰ったオーリー様が戻ったのだと顔を上げたら――息が止まりそうになった。眠そうだった青水晶の瞳が更に近い距離にあり、私を見ていた。硬直していれば、リアン様は注文したらしきマグカップを口元まで持っていき。


「アウテリート嬢に挨拶をしに行くと言ってたよ」
「え……」


 一瞬、何を言われたか思考が追い付かなくて処理されなかったが、自分を冷静にするとすぐに理解した。学院に来てアウテリート様に会っていなかったオーリー様が、丁度よくリアン様が来たから私の相手になってもらうよう頼んで生徒会に行ってしまわれた。あの話の途中でリアン様を置いて行かないで……!


「そ、そうですか……」


 空になったティーカップを口元まで持っていき、飲んでいるフリをする。そうでないとリアン様との空間は耐えられない。何を話そうか、そもそも話題すらない。思い切ってエルミナへの気持ちを聞く仲でもない。
 1年生からクラスが同じといえど、私は極力リアン様と話さないよう努めた。挨拶くらいに止めていた。また、視界にも入らないようにした。

 これといった接点がないのだ。


「……怖い?」
「?」
「フィオーレ嬢は、俺が怖い?」
「ど、どうしてですか」


 意味が分からず困惑するとリアン様は些か美貌を歪ませた。


「食堂で一緒になった時もそうだった。俺と目を合わせようとしない」


 あなたとまともに目が合わせられないのです。いつか、他の女性を愛しげに見つめると分かっている綺麗な青い瞳を私は見たくない。
 心にある汚い感情を知られたくない。当たり障りのない回答はないかと模索し、浮かんだ台詞を口にした。


「気のせいでは……ロードクロサイト様と……関わりはありませんし……」
「殿下に対してはああなのに?」
「あれは……アウテリート様がいらっしゃるからで……」


 な、なんで責められているの?
 少し強い口調で名前を呼ばれ、恐る恐る視線を上げた先には、不機嫌そうに顔を顰められているリアン様がいる。
 私じゃ駄目ね……ここはエルミナが……


「フィ――」
「あ、お姉様!」


 救いの神とはこのこと。私にしたら、絶好のタイミングでエルミナが来た。私とリアン様を見ると嬉しそうに顔を緩ませ、周りに小さな花を咲かせながら此方に来るとリアン様に一礼した後、私に振り向いた。


「お姉様がいて良かった! お勧めのスイーツ等があれば教えてください!」
「ええ、いいわよ」


 リアン様にエルミナの同席を求めると了承を頂き、隣にエルミナを座らせた。どんなスイーツが食べたいかを聞き、それならと私がカウンターに行き、飲み物と一緒にスイーツをエルミナの前に置いた。

 ……私がいると邪魔よね。


「エルミナ。少しだけ待ってて。教室に忘れ物があるから、取って来るね」
「!」
「分かりましたわ、お姉様!」


 疑問を抱かず、私を待ってくれるエルミナに罪悪感を抱くが向かいにはリアン様がいるのだ。すぐに私なんて忘れる。何故かリアン様が驚いた様子を見せたが、きっと好きなエルミナと2人っきりにさせられ動揺してしまったのだ。

 ……心が痛むのは私だけ。お似合いな2人の邪魔をする気は毛頭ない。


「待て、フィオーレ嬢」
「ロードクロサイト様。少しの間だけ、エルミナをよろしくお願いします」


 頭を下げて小走りで食堂を出た。どうして待てと言ったのかしら。
 教室へは食堂を出て左を進む。右側に人影が見えた気がしたが誰もいない。気のせいか。

 忘れ物はないが教室には行っておこう。


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