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下に見てはいけない
しおりを挟む3年生になってから感じるあの視線は……いやでもだとしても時期が違う。私が王女殿下に目を付けられ始めたのはつい最近。あの視線はそれよりも前。でも視線の数が1つとは限らない。もしも視線の中に王女殿下に命じられ、私を監視している人のもあれば話が合う。何より王女殿下には沢山の取り巻きがいる。3年生の中にもどうやらいるらしい。現在、王女殿下を守るように周囲を囲んでいる令息の中に3年生の侯爵令息がいる。
私が口を開こうとするとアウテリート様に手を前に出され噤んだ。視線で訴えると軽く首を振られ、アウテリート様は席から立つと王女殿下と対峙した。
「リグレット王女殿下。私はアウテリート=グランレオド。僭越ながら、王族だからと言えど権力を傘に傲慢に振る舞うのは如何なものかと」
「な、何よ! 他国の貴族令嬢風情が偉そうにしないで! わたくしは王族よ、あなたよりも偉いの! わたくしへの偉そうな態度を詫びなさい」
「はあ……」
呆れたように溜め息を吐かれたアウテリート様。若干既視感があるのは入学式であったドロシー様のせいだろう。彼女もアウテリート様が他国の貴族令嬢だと下に見ていた。あの時はアクアリーナ様が隣国の先王妃を大伯母に持つ公爵令嬢だと説明すると顔を真っ青に染めていたが王女殿下はどうなるか。
エルミナが心配そうに私を見つめ、安心させようと微笑を浮かべ手を握った。少し安堵したエルミナと再びアウテリート様と王女殿下へ向く。
「まあ、隣国の貴族令嬢風情である私が王女殿下に意見を述べるのもあれだけど……」
「分かっているのならでしゃばらないで。さあ、今すぐ頭を下げなさいよ」
「あらごめんなさい。いくら王女でも、正妃でも側妃でもない、愛人の娘に下げる頭はないの」
「な、な、な……!」
「それと私に頭を下げさせたいなら、隣国のグランレオド家に正式に抗議してくださいな。……出来るものならね」
最後の声を小さくして聞き取れなかったが抗議はしない。仮に陛下の耳に入ったとしても難しい。この国は隣国、特に王族を恐れている節があると以前オーリー様が仰っていた。女神の守護下にあり、更に今の王族の何人かは女神様に好かれているらしく、隣国と争えば負けるのは我が国。アウテリート様は隣国の国王や王子達とは遠い親戚に当たり、特に国王からは可愛がられていると聞く。無用な争いは避けるべきだと王女殿下に甘々な陛下でも判断する、筈。
顔を真っ赤にし、涙を流す王女殿下を取り巻きの令息達が慰めながらアウテリート様を睨みつける。意にも介さず、堂々と立つその姿に羨望を抱く。私ではアウテリート様みたいに堂々と立ち向かえるかは……無理だと思う。
「お城に帰ったらパパに言いつけてあなたなんかすぐに退学にしてやるわ!」
「そうですか。じゃあ、私が退学になったらフィオーレも一緒に連れて帰ろうかしら」
「え」
「そんなの駄目です!!」
多分冗談で言ったのだろうがエルミナが真っ先に反対した。
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