思い込み、勘違いも、程々に。

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あなたの想い人はエルミナでは? 3

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『予知夢』は絶対だ。内容がどうであれ、必ず起きた。お祖母様もエーデルシュイタン家が受け継ぐ予知能力は逃れられない未来を回避する絶対な物だと話していた。誰かの不幸を視たら事前に回避し、救うのが私の役目だとも。他人だけではなく、自分の身に訪れる不幸さえも回避しようとエルミナ入学を機に改めて決意した。
 隣国に行ってしまえば全て丸く解決、とはいかなくても私という不安定な要素がいなくなれば誰も不幸にはならない。

 だが間違いだったら? 絶対である筈の『予知夢』が実は絶対ではなかったら? 


 ……。

 ……。

 私は……私のしてきたことは……


「フィオーレ嬢」
「!」


 意識が思考の海に飲み込まれかけた時、私を呼んだ公爵閣下の声によって現実に引き戻された。


「君の意見を聞きたい。
 君はリアンとの婚約をどう思う?」


 3者の視線が私に集中した。未来を知らなければ泣いて喜び、婚約を受け入れた。必死に努力した跡取りとしての教育を手放してでも大好きな人の隣を選んだ。
 私には――選べない。『予知夢』は結果を見せるだけで経緯までは知れない。なら、私の取れる選択肢はやはり1つしかない。


「私には過ぎた話です。様の婚約者は私では相応しくありません」
「……」


 名前を呼んでほしいと言われても2人だけの時しか言えない。傷付いた表情をし、呆然とするリアン様を見ただけで胸が張り裂けそうになる。
 耐えて、今からもっと耐えないといけないから。


「私よりも、エルミナの方が様の婚約者に相応しいかと。血筋も私より上で公爵夫人になるに最適かと」
「フィオーレ。血筋がどうかは関係ない。仮にあったとしても、ミランダはアルカンタル伯爵令嬢だった。王国一の財力を持つアルカンタル伯爵家と真っ向から争って勝てる家は殆ど存在しない」
「ですが……エルミナと様がとてもお似合いなのは本当で……」


 お互いの気持ちを隠してはいるが2人が一緒にいる様子は何度か見た。『予知夢』通り、理想の恋人達なのだ。今度は公爵閣下が口を開かれた。


「どういうことだリアン」
「……エルミナ嬢とは何もない。生徒会の仕事も彼女とはアウムルを通してしか関わってない」


 リアン様の整った相貌がより悲しみに染まり、意地でもエルミナへの想いを隠そうとする姿勢に困惑する。無理に私と婚約を結ばなくてもエルミナを選べるのに選択しないのは、別の意図があってのことなのか。

 ――あなたが好きなのはエルミナでは……ないの?

 そう言えたら、私の中の不安も払拭されるのかな……。


 結局、まともな答えも出ず、話し合いは終わった。リアン様達を見送る際、濃い青の瞳に見つめられ全身の動きが止まった。黒にも見えなくもない青は何を表しているのか。

 私がそれを知るのはもう少し後のこと……。





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