思い込み、勘違いも、程々に。

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リアン様に嫌われたくて3

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 リアン様が私の腕を後ろの壁に固定するから、なんとか立っていられる。喋りたくても、声を発しようとしたらキスは激しくなって止まらなくなる。早く戻らないといけないのに、抵抗する意思が芽生えない。
 リアン様とずっとこうしていたい……こうしていたら、リアン様は今私しか見てない。


「ん……あ……」


 自分が大教会に来た理由を忘れてしまいそうになる。
 戻りたい自分と戻りたくない自分がいて……大きく傾いているのは、後者の方。

 不意に唇に触れていた温かい感触がなくなった。恐る恐る目を開けら同時に腕は解放された。代わりにリアン様に抱き締められた。腕をリアン様の背に回したら、一瞬だけ反応した気がする。


「……フィオーレ嬢……君が何を言おうが俺は君を手放したりしない」
「……」


 嫌じゃない……とても嬉しいのに……。
 チラつくのは予知夢の世界での出来事。どうして私はあんな風になってしまうのだろう。何れ予知夢が現実になるのか。エルミナの頭上から植木鉢が降ってきた予知夢が当たったように……。

 さっきみたいに体を離して、今度こそはお父様達がいる所へ戻らないと……でもやっぱり、リアン様といたい。

 リアン様が少しだけ体を離した。上を見たら、吸い込まれそうなくらい昏い色をした青の瞳が私を見下ろしていた。


「君を傷付けた連中を俺は絶対に許さない」
「リアン様……」
「それはムルも同じだよ。アルカンタル伯爵の孫娘に暴力を奮って、もしも伯爵が国を出て行くと宣言すれば、この国の財政に大きな傷を残してしまう。どれもいなくなっても多少は困らない奴等ばかりだ。連中がどうなろうが君が気に病む必要はない」
「はい……。……そろそろ、戻りましょう」
「まだ戻らないよ。多分、ムルが今話をつけてる」
「え」


 リアン様によると、今頃アウムル王太子殿下が件の彼等とそれぞれの家の方々に事情説明を行っている最中だと。私も戻りますと言うと首を振られた。


「エーデルシュタイン伯爵夫妻が君を呼びに来ていないだろう? 君はいない方が良いと判断したんだ。終わった後で聞いたらいい」
「ですが、私も」
「……じゃあ、どうなるかだけ言っておこう」


 まず、グリシェン伯爵令息とウッドロウ伯爵令息。どちらもお家を勘当となる。王太子殿下とリアン様に睨まれ、挙句カンデラリア公爵の義理の孫に当たる私に暴力を奮ったという事で。どちらもカンデラリア公爵に恩があったと言う。
 次に私の髪を引っ張ったガルロ殿とアシル男爵令息。アシル男爵令息は1人息子なのだが、アルカンタル伯爵家から多大な支援を受けていたことから最も早く令息を切る決断をしたと言う。跡取りは男爵の妹の息子を養子にすると決定され、今日の話し合いを終えてから令息は家を追い出されると決まっている。


「更にイースター伯爵令息だが……こっちは伯爵夫妻の離縁にもなる」
「え?」
「カンデラリア先代公爵と現公爵、伯爵夫人が前々から話し合っていたらしいんだ」


 トロントおじ様はカンデラリア公爵家出身なのを盾に、イースター伯爵家でもかなり横暴に振る舞い、更に夫人に対しても堂々と浮気を繰り返しても悪びれもせず謝罪の言葉もないとか。夫人が咎めてもおじ様は義祖母様に告げ口をし、2人一緒に夫人を責めるのだとか。


「呆れて何も言えないな」
「余程、夫人との結婚が嫌だったのでしょうか……」
「かもしれない。聞いた話では、君の亡くなった母君にかなりしつこく言い寄っていたみたいだ」


 初耳な事実に目が丸くなった。


「多分、エーデルシュタイン伯爵も知らない。ムルが王妃様から聞いたからな」




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