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リアン様に嫌われたくて4
しおりを挟む婿養子を探していたイースター伯爵家に頼み無理矢理してもらった手前、カンデラリア公爵や先代公爵は夫人の相談を受け離縁も致し方なしと判断した。ガルロ殿に矯正の道があれば良かったけれど、今回の件を受けてトロントおじ様、ガルロ殿纏めてイースター伯爵家から追い出す方向に決まった。
追い出されたトロントおじ様とガルロ殿の行き先については、カンデラリア公爵が既に決めていた。
「先代公爵が先代公爵夫人を合わせた3人を、カンデラリア領の隅に放り込む予定となってる」
「義祖母様も……ですか」
「ああ。君を嫌う3人を遠くへやれば、君も安心するだろう。それとさっき言った、君の母君におじが言い寄っていたという話だが。先代公爵夫人の差金だという話だ」
「義祖母様がですか?」
青い血主義の義祖母様にとって伯爵位は取るに足らない下位貴族。王家に嫁げる最低ラインと言えど認識は変わらない。そんな義祖母様が最も可愛がっているおじ様を伯爵令嬢だった母に言い寄らせていた? リアン様は理由も聞いているそうで、訳を聞いてみた。
「何故だったのですか?」
「先代公爵夫人は散財の気があって、あまりに激しいから先代公爵に一定以上の金額の使用を禁じられたんだ。そこで王国一の財力を誇るアルカンタル伯爵家の令嬢である君の母君に目を付けたんだ」
「そうだったのですか……。お父様はこの事は……」
「そこまでは……。ムルが王妃様から聞いたのはここまでだよ」
新しい物好きで自分が1番ではないと気が済まない義祖母様らしい理由だ。
おじ様の好意……と言っていいのか分からないけど、公爵令息を拒絶したお母様の娘の私を2人が嫌うのは何となく分かった。金蔓として言い寄っていたと知るとお義母様やお父様は知らないままが良い。知ったら2人の関係にも影響が及んでしまう。
また、これ以上おじ様や義祖母様絡みで2人を疲れさせたくない。
「……そろそろ戻ろう。頃合いだろう」
「はい……」
私から離れたリアン様が手を握ってきた。不安げに見上げたら、リアン様の青い瞳も私を不安そうに見つめていた。そのまま何も言わず、私達は皆が集まっている部屋に向かった。
扉の前に立つ神官様に挨拶をし、許可を得て室内に入った。
中に広がる光景は、入った途端足を止めさせるのに充分だった。
私とリアン様に振り向いた王太子殿下は軽やかに手を振った。
「2人ともタイミングが良かったな。今終わった」
輝かしく、美しく笑う王太子殿下の周囲は逆。件の令息やその家の人々は項垂れているか、泣いているかのどちらか。特に、令息達が親に泣きすがっている。
「フィオーレ」
お義母様に呼ばれ駆け寄る。お父様と2人して申し訳なさそうに見つめてくる。
「ごめんなさい。当事者の貴女を抜いて終わらせてしまって。フィオーレが気にするといけないと思ったの」
「私は大丈夫です。彼等がどの様な処分を受けても動揺はしません」
これは本当。でも、2人の気遣いは嬉しかった。
「フィオーレはこの後どうする? 話し合いはもう終わったが私達はまだ用があってね」
お父様の言葉に悩む。終わったのなら、私が残る理由はない。
そこに王太子殿下が提案をしてきた。
「なら、フィオーレ嬢。おれとリアンに君の時間を貸してくれないか?」
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