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親族会3
しおりを挟む今日は早くに登校したから教室にいる生徒の数はまばらだ。
昨日は夕食の時にエルミナと会った。例の騒動の顛末をお父様から聞いたエルミナは多少納得はしていなかったが、ガルロ殿とトロントおじ様、義祖母様がカンデラリア家の所有する隅の領地へ送られた事実には安堵を見せていた。
私が原因でいつも心配を掛けていたから、エルミナの負担がなくなったのなら私としても嬉しい。
教室に鞄を置き、席に座って待つよりも食堂に行って飲み物を買いたくなった。朝食を食べ損ねた生徒が朝の食堂を利用するのも多い為、朝から開いている。教室を出てすぐにある階段を下りて、1階に着き食堂へ足を向ける。
近付くと教室よりも多く生徒がいる。並んでいると言っても2人か3人程度。最後尾に並ぼうとしたところを「フィオーレ嬢?」と声を掛けられた。昨日の今日だから心臓が高鳴った。
あんなキスをされて、意識するな、の方が無理……。
「リアン様……」
「君も朝食を食べて来なかったのか?」
「いえ……。今日は早く着いてしまったので、食堂で何か飲もうと」
「そうか。……だったら、俺とおいで」
「え」
頷く前にリアン様に手を取られ一緒に食堂へ。私よりも大きな背に声を投げてもリアン様は振り向かない、足も止めない。
握られている手から緊張が伝わらないといいけど……。
……リアン様の手大きいなあ……。
「リアン、様は……朝早くに来たのはどうしてですか」
「……特別な理由はないよ。気分の問題かな」
「そう、ですか」
「フィオーレ嬢は」
「私は偶々と言いますか……。いつもはエルミナと来るんですが先に出て来たんです」
もしかして、私がいるからエルミナももう登校してると思ったのかな……。そうだとしたら、申し訳ない気持ちが湧き上がる。
列の最後尾にリアン様と並び「何を飲むんだ?」と聞かれ「あ……ココアです」と返した。順番が来るとリアン様は自分の分と一緒に私の分も頼んでしまった。私が払おうとしても譲らず。
リアン様にココアを奢られた。
周囲の視線が痛い……。食堂には女子生徒もいる。高位貴族で次期公爵であるリアン様の婚約者になりたい令嬢は数多くいる。
マグカップを持ったまま後ろを歩いた。
なるべく視線を合わせないようにと俯いたまま歩いたのがいけなかった。「フィオーレ嬢」と呼ばれるも、顔に衝撃が走った。ちゃんと前を見ていなかったから、リアン様が立ち止まったと気付けなかった。
慌てるリアン様に私も慌ててしまう。私が悪いのだから。
「すまない、大丈夫か?」
「大丈夫です、すみませんちゃんと前を見てなくて……」
「考え事でも?」
「大した事じゃないんです」
「フィオーレ様」
私を睨んでいた令嬢の1人がやって来た。今度の親族会で出席するだろう家の令嬢――キサラ様。
リグレット王女殿下だけがリアン様に片想いしているんじゃない。
キサラ様も昔からリアン様を想っている。
「王女殿下がいないのを幸いとばかりにロードクロサイト様に近付くなんてっ。伯爵令嬢のくせに!」
キサラ様は侯爵家の方。爵位も当然向こうが上だ。
「あ……」
どうしようかと考える前にリアン様がわたしを庇うように背に隠した。
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