【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

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第83話 《アマラの視点》理想とのズレ

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 俺はキャドベルを連れて村に戻った。村では運び出した荷物の整理をしていたり、走り回るガキどもが溢れかえっていた。小さい村だが案外人数は多いのか。

    さて、どうやっておっぱじめようかな、なんて考えていたらキャドベルを目にした冒険者が悲鳴をあげやがった。

「お、お前!    後ろにいるの悪魔じゃないのか!?」
「ギャアアアアア!   に、逃げろ!」

 キャドベルに気づいた村人どもが蜘蛛の子を散らすように逃げ始める。いかん、このままだと村の外に逃げられちまうな。

「キャドベル」
「おまかせを」

 キャドベルが指をパチンと鳴らす。その瞬間村全体を異質な空気が支配した。

「この村を結界の中に閉じ込めました。これでドレカヴァク様以外だーれも入って来られません。そして誰も逃げられない……」

 キャドベルがニタリとほくそ笑む。俺も釣られて笑みを浮かべる。なんだろうなぁ、この高揚感!
 生殺与奪は今俺の手の中にある。圧倒的優位な立場に俺はいる!

「お前!    気が触れたのか!?     仲間はどうしたんだよ?」
「あん?     不滅のやつらのことか?     もう殺したけど?」
「貴様!」

 おいおい、剣なんか構えて俺に歯向かうの?
 気に入らねぇ。こいつが命乞いするところが見たくなってきたな。
 俺のスキル見せてやるよ。

 キィィィッッ……。
 キィィィッッ……。

 俺は金切り声をあげる。俺に襲いかかろうとした冒険者どもが一斉に耳を塞ぎながら崩れ落ちた。耐性の無いやつは気絶だぜ?

「な、なんだこれは……?」
「死んでろ。闇槍ダークランス

 闇の槍を複数生み出し、無防備な冒険者共の首を、胸を次々と貫いていく。あ、命乞いさせるの忘れてたわ。しまったな。

「あなた、何をしているの!?」

 声のする方を向けば魔導士風の女がいた。出るとこ出てて良い女じゃねぇか。確かBランクの奴だったな。なんでこいつ平気なんだよ。

「ぶっ殺してるのさ。お前、死にたくなければ俺にひれ伏せ」
「はぁっ!?     バッカじゃない?    風切ウィンドカッター
闇膜ダークフィルム

 そんな初級魔法効くかよ。ちょっといじめてやるか。

「本気でいくわよ!    竜巻トルネード
「なにっ!」

 俺の周囲に風が巻き起こり始める。すぐに逃げないと巻き込まれちまう!
 慌てて逃げるが風に捕まり身体が浮く。そしていよいよ竜巻の回転が始まろうというところで風邪が止んだ。

「マスター、油断し過ぎですぞ?」
「な、何をしたの!?」
「魔法をキャンセルさせたのですよ。竜巻トルネードは威力がありますが発動が遅いですからねぇ。キャンセルが間に合ってしまうのですよ」

 魔法をキャンセルできるのかこいつ。助かったわ。今度はこっちの番だな。

死滅陣イービルデッド

 女の足元に魔法陣が発生し、闇の柱が立ち上る。闇に飲み込まれた女が絶叫をあげた。

「アアアアアアッッ!」

 そして膝をつき、前のめりに倒れる。こいつは拘束して後で犯してやろう。猿ぐつわかましておくか。

「おや、殺さないので?」
「楽しんだ後だ。先に村人全員殺すぞ」
「良いご趣味です。承りましたマスター」




 それから俺とキャドベルは虐殺に興じた。泣き叫ぶ子供はドレカヴァク様のエサだ。脚を切り落とすだけでいいだろう。大人は容赦なく殺して回る。

「なんでこんなことをする……!」
「あん?」

 まだ冒険者どもが残っていやがったのか。くだらない正義感てやつか?
 たった4人で俺に挑むとはな。

「なんでこんなことをするんだ!    お前だって冒険者だろう」
「いや、それはもうヤメだ。せっかくだ、教えてやるよ。俺はな、ビッグになるんだよ」

    ビッグ!
    なんて素晴らしい言葉なんだと俺は思うね。

「ビッグに……?     たったそんなことのためにこんなに人を殺しているのか……?」

 おいおい、声が震えているぜ?
 怒りに震えてるってやつか?

「お前、今日食べるパンに困って盗んだことはあるか?     必死になって手に入れた1枚の銀貨を奪われたことはあるか?」
「な、何を言って……」

 ま、こいつらにゃわかんねーよな。それでも1度言い出すと止まらねーんだよな。こういう感情の爆発ってやつはよ。

「1つ銅貨2枚の大盛りの不味いお粥を食ったことはあるか?     それすらもみんなで分け合って惨めだと思ったことは無いか?     お金が欲しくて必死になって頭を下げ、銅貨を恵んでもらったことはあるか?    年下の女の子に身体を売ってもらってお金を手に入れたことはあるか?」

 あー、思い出すだけで腹立つわ。あの頃は本当に惨めだった。情けなかった。金を持っているやつが憎い、俺から奪う奴が憎い!
    俺がクソまずいお粥を食っていたとき、金持ちの奴らは上等な肉を食ってたはずだ。ムカつくじゃねぇか!

「……それがどうした。そういやお前ストリートチルドレンだったな。お前らが貧しいのは俺らのせいか?     違うだろ!」
「バカにすんじゃねぇよ……。あんな惨めな思いはうんざりなんだよ。だから俺は成り上がるのさ。世の中金だ!    力だ!    もう俺から何も奪わせない!    俺はビッグになって奪う側に回るんだよ!    」
「腐ってんな、お前。同じストリートチルドレンの龍炎光牙の奴らとはえらい違いだぜ」

 龍炎光牙?
 ああ、あいつらか。奴らだって結局才能に恵まれただけじゃねーか。なんで急にあそこまで力をつけたのか知らねぇけどよ。

「うるせーよ。俺は比べられて下に見られるのが大っ嫌いなんだ!    もういい!    死ねよ。創骸クリエイトアンデッド!」

 俺の手から黄色い光が生まれ、それらは近くに転がる死体に取り憑く。こいつは1種の召喚魔法でワイトと呼ばれる魔法生命体を呼び出し、死体に取り憑かせる魔法だ。ワイトが取り憑いた死体は起き上がり、ゾンビのように動き始める。

「し、死体が……!    ゾンビか!」
「そんな可愛いもんじゃねえよ。こいつはワイト。死体を無理矢理動かす邪霊さ!」

 ワイトどもの動きはゾンビより早い。肉体の運動能力に依存しない代わりに一定レベルの運動能力が保証されているのさ。

 ワイトが冒険者どもに襲いかかる。1人が剣で切りつけるが、首を跳ねただけだ。そんなもんでワイトは止まらない。ワイトがその剣士の首筋に噛み付く。他のワイトも他の冒険者どもに襲いかかっていった。

死滅陣イービルデッド……」

 生命力を奪う魔法だからな。ワイトには全くの無傷だ。しかし冒険者どもはそうはいかねぇよな?
 暗黒の太い柱が奴らを飲み込んだ。悲鳴をあげ、動きを止めればワイトに食い殺されるだけよ。
    さて、村っていっても結構広いからな。虐殺には時間がかかりそうだ。この村の奴らには悪いが皆殺しだぜ。アプールの街に逃げられたら面倒だからな。



    それから村人や冒険者どもを皆殺しにするのに丸一日かかった。隠れていたりするもんだから予想より時間がかかっちまったぜ。ワイトを増やしても良かったが、俺が殺せば経験値も入るからな。

「マスター。ドレカヴァク様が到着致しました」
「アマラ、ご苦労だったな」

 俺の後ろから声が聞こえた。その声は間違いない、ドレカヴァク様だ。俺は後ろを振り向き跪く。この方は俺に力をくれた偉大な方だからな。今は従っててやるよ。

「ドレカヴァク様、お待ちしておりました」

 ドレカヴァク様の背は低い。あのルウとかいう奴と同じくらいだ。見た目はただの目つきの悪いガキだがな。口の周りが血でベッタリなのは食事をしていたからか。

「アマラ、ここの村の人間は全滅させたようだな。俺もたくさん食えたから満足だ」
「お褒めに預かり光栄です」
「だがまだ足りねぇ。今の力じゃまだ奴らには対抗できん。もっと贄が必要だ。オルベスタへ向かうぞ」

 オルベスタか。あそこの元教団幹部に橋渡ししてもらっているからな。あそこの街なら俺も大きい顔ができるはずだ。

「良き考えにございます。あそこの闇ギルドには元教団幹部もいますからね。我々が潜伏するにはちょうどいいでしょう」
「潜伏?    何言ってんだ。壊滅させるんだよ。食うためにな」
「そうでございますね。もっと死体があればアプールの街を攻め落とすことも可能になるでしょう」
「アプールの街を、ですか?」

 おいおい、こいつもしかして人間を皆殺しにするつもりか?
 全部殺したら威張れねーだろうが。誰が俺を賞賛してくれるんだよ!

「そうだ。2年前に俺がライミスとかいうクソ野郎に敗れたことは知ってるな?    俺はあの恨みを忘れちゃいねぇ……。必ず奴をぶっ殺し、俺の下僕にしてやる!」

 まずいな。俺の理想は俺が威張り散らし、好き勝手に生きられる世界だ。屍の山を築いて人間を滅ぼすことじゃねえ。なんとかしないといけねぇかもな……。
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