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第110話 《アマラの視点》クリフォトの種4
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「アマラ、調子はどうです?」
「……ようやく闇ギルドの連中を30人程、というところだな」
例の酒場の地下。そこが今の俺たち5人の拠点だ。『信仰されるべき魔王はおいそれと人目につくべきではない』という俺の説得力を受け入れ、二ーはなるべく人目につかないようにしてもらっている。
まぁあれだ。簡単に会えないからこそ会うことに価値が生まれる、というやつだな。
「えー、まだ30人なの? ずばーんと増やせないのぉ?」
「最初はそんなものですよ、二ー様。ドレカヴァクのときもそうでしたから」
「ふーん、そんなものか」
二ーが不満を洩らすがレイモンが上手く言ってくれて納得したようだ。まぁ、実際そんなもんだろう。しかし30人もいればここを支部として俺たちは他の地域へ行くのもありかもしれない。
「ならそろそろ本格的に増やすことを考えてもいいかもな」
「お? 何かいい方法でも?」
二ーが期待を寄せた眼差しを向け、俺に近づいてくる。こいつ、なんでこんなにいい匂いするんだよ。マジで性癖歪むぞ。
「あるぜ。まずここ支部として、その統括をマスター、じゃなくてドレクとメリッサに任せる。んで俺たち3人は何人かを引き連れて近くの村へ行くのさ」
メリッサはあのマスターことドレクと一緒にいた女だ。あいつが人間じゃなかったのは驚いたがな。あれで男爵級悪魔なんだと。
「ほぅ、村ですか」
レイモンは俺の考えになるほど、と相づちを打つ。さすが元教団幹部だ。これが信徒を増やす手っ取り早い方法だと理解したか。
「なんで村なのさ。人口なら街の方が多いでしょ?」
「いや、村なら派手に動いても問題ないからな。村の権力者さえ抱き込めば村人全員を信徒にするなんて簡単だろ?」
閉鎖的なコミュニティほどトップの力は絶対だからな。そして村の権力者なんざ欲深い奴ばかりだろ。美味しい思いをさせてやれば簡単になびくだろうさ。
「ええ、いい考えだと思います。信奉者獲得後は村長を人魔にし、統括させればいいわけですからね。ドレクもそれでかまいませんね?」
「ああ、いいぜ」
レイモンが俺の考えに賛同し、ドレクに同意を求める。ドレクは不敵に笑い同意した。こいつはシリアルキラーらしいからな。何人かは死人が出るだろうがかまやしねぇ。
「ならドレク。お前に力をくれてやる。俺たちの役に立てよ?」
「ちっ、新参者の下に着くのは癪なんだが仕方ねぇな。受け入れてやる」
口の減らねぇ奴だ。だがまぁいい。俺の配下になるわけだからな。
「そうしてくれ。クリフォトの守護者、アマラの名において我、此処にクリフォトの種を呼び出さん。来い、クリフォトの種よ!」
俺の呼びかけに応え、手の平の中に闇が凝縮されていく。そしてその闇から小指程の大きさの赤い種が生まれた。
これこそが俺の新たな能力。クリフォトの守護者となった俺は人魔の王となり、自らの力により人を人魔に変える種を生み出せるようになったのだ。
もっとも一つ生み出すのにかなりの魔力を消耗するし、生み出しても5分以内に食わないと消え失せてしまうのが難点か。だから大量に生み出して街を人魔だらけに、なんていう真似はできないんだよな。
「いただくぜ」
ドレクは俺からクリフォトの種を受け取ると迷わず口に放り込み噛み砕く。そして喉を鳴らして飲み込んだ。
「くぅっ、こいつは効くぜ……!」
むはぁっ、と口を歪ませて息を吐く。見た目に変化はない。あるとすればその金色の瞳くらいか。もしかして俺の瞳も金色なのか?
「ほほぅ、これはなかなか。子爵級といったところでしょうか」
ほぅ、子爵級か。さすがはドレカヴァクの元になった奴だ。俺はクリフォトの守護者となったことで侯爵級の力となったからドレカヴァクと同程度だがな。
ちなみに二ーは公爵級魔神らしい。一般に魔神と呼ばれるのは侯爵級からだな。そして二ーの爵位が上がればそれに応じて俺の力も強くなるそうだ。つまり最大で大公級までに陞爵出来るらしい。
「よし、じゃあこの街のことは任せた」
「ああ。しかしお前は侯爵で俺は子爵か。俺の爵位は上がらないのか?」
「さぁ、どうでしょう? 何せ前例がありませんからねぇ」
おいおい、馬鹿正直に答えるなよ。それじゃこいつのモチベ上がんねぇだろうが。
「俺の爵位が上がれば可能かもしれん。だから頑張ってくれよな」
嘘でもこう言わないとな。可能性があればやる気になるだろ。さて、それじゃ信徒を増やしに行くとするか。
ウォレンスの街から西へ行ったところにはへムカという村がある。あまり裕福な村ではないが、だからこそ手中に収めやすいのだ。
「へ、へへへへっ。もちろんでございますともアマラ様!」
貧しい村だからこそ落とすのは簡単だ。二ーの能力のひとつに『金を生み出す』というものがある。こいつにかかれば砂は砂金に、石は金塊となる。実に便利な能力だ。
そう、この村長を金で買収したわけだな。だがこれで終わりじゃない。次は村の人間を俺たちクリフォトの種に依存させるのだ。そして依存させるために『俺たちの存在が必要不可欠である』ことを自覚させる。
「なぁ、この村の作物を常に豊作にすることはできるか?」
これができれば話は早いんだがな。食うに困らない生活なんて夢見たいだろ。
「そういう欲望を持つ人間がいるなら難しいことじゃないね。その欲望を写し身として悪魔を産み出せばいい」
「なるほど。そんなこともできるのか」
それなら絶対一人はいるだろう。それに悪魔を産み出せるなら盗賊対策にもなる。せっかく集めた信徒を盗賊どもに殺されるのは腹が立つからな。
「そうですね。二ー様は欲望を司る魔神ですから。二ー様の協力があればそういう悪魔を産み出すことは可能でしょう」
「生贄はどうする?」
これがネックだな。この村から集めるのは避けたい。
「ウォレンスの街から引っ張って来ます。ドレクには生贄を集めるよう伝えてありますからね。心配要りません」
「そうか。なら話は早いな」
これでこの1週間後にこの村はクリフォトの種の信徒で満たされているだろう。人魔も悪魔もいるから守りも大丈夫だろうしな。これで信徒は300人を超えるが、先はまだまだ長いか。
さて、次はどう出ようかねぇ……。
「……ようやく闇ギルドの連中を30人程、というところだな」
例の酒場の地下。そこが今の俺たち5人の拠点だ。『信仰されるべき魔王はおいそれと人目につくべきではない』という俺の説得力を受け入れ、二ーはなるべく人目につかないようにしてもらっている。
まぁあれだ。簡単に会えないからこそ会うことに価値が生まれる、というやつだな。
「えー、まだ30人なの? ずばーんと増やせないのぉ?」
「最初はそんなものですよ、二ー様。ドレカヴァクのときもそうでしたから」
「ふーん、そんなものか」
二ーが不満を洩らすがレイモンが上手く言ってくれて納得したようだ。まぁ、実際そんなもんだろう。しかし30人もいればここを支部として俺たちは他の地域へ行くのもありかもしれない。
「ならそろそろ本格的に増やすことを考えてもいいかもな」
「お? 何かいい方法でも?」
二ーが期待を寄せた眼差しを向け、俺に近づいてくる。こいつ、なんでこんなにいい匂いするんだよ。マジで性癖歪むぞ。
「あるぜ。まずここ支部として、その統括をマスター、じゃなくてドレクとメリッサに任せる。んで俺たち3人は何人かを引き連れて近くの村へ行くのさ」
メリッサはあのマスターことドレクと一緒にいた女だ。あいつが人間じゃなかったのは驚いたがな。あれで男爵級悪魔なんだと。
「ほぅ、村ですか」
レイモンは俺の考えになるほど、と相づちを打つ。さすが元教団幹部だ。これが信徒を増やす手っ取り早い方法だと理解したか。
「なんで村なのさ。人口なら街の方が多いでしょ?」
「いや、村なら派手に動いても問題ないからな。村の権力者さえ抱き込めば村人全員を信徒にするなんて簡単だろ?」
閉鎖的なコミュニティほどトップの力は絶対だからな。そして村の権力者なんざ欲深い奴ばかりだろ。美味しい思いをさせてやれば簡単になびくだろうさ。
「ええ、いい考えだと思います。信奉者獲得後は村長を人魔にし、統括させればいいわけですからね。ドレクもそれでかまいませんね?」
「ああ、いいぜ」
レイモンが俺の考えに賛同し、ドレクに同意を求める。ドレクは不敵に笑い同意した。こいつはシリアルキラーらしいからな。何人かは死人が出るだろうがかまやしねぇ。
「ならドレク。お前に力をくれてやる。俺たちの役に立てよ?」
「ちっ、新参者の下に着くのは癪なんだが仕方ねぇな。受け入れてやる」
口の減らねぇ奴だ。だがまぁいい。俺の配下になるわけだからな。
「そうしてくれ。クリフォトの守護者、アマラの名において我、此処にクリフォトの種を呼び出さん。来い、クリフォトの種よ!」
俺の呼びかけに応え、手の平の中に闇が凝縮されていく。そしてその闇から小指程の大きさの赤い種が生まれた。
これこそが俺の新たな能力。クリフォトの守護者となった俺は人魔の王となり、自らの力により人を人魔に変える種を生み出せるようになったのだ。
もっとも一つ生み出すのにかなりの魔力を消耗するし、生み出しても5分以内に食わないと消え失せてしまうのが難点か。だから大量に生み出して街を人魔だらけに、なんていう真似はできないんだよな。
「いただくぜ」
ドレクは俺からクリフォトの種を受け取ると迷わず口に放り込み噛み砕く。そして喉を鳴らして飲み込んだ。
「くぅっ、こいつは効くぜ……!」
むはぁっ、と口を歪ませて息を吐く。見た目に変化はない。あるとすればその金色の瞳くらいか。もしかして俺の瞳も金色なのか?
「ほほぅ、これはなかなか。子爵級といったところでしょうか」
ほぅ、子爵級か。さすがはドレカヴァクの元になった奴だ。俺はクリフォトの守護者となったことで侯爵級の力となったからドレカヴァクと同程度だがな。
ちなみに二ーは公爵級魔神らしい。一般に魔神と呼ばれるのは侯爵級からだな。そして二ーの爵位が上がればそれに応じて俺の力も強くなるそうだ。つまり最大で大公級までに陞爵出来るらしい。
「よし、じゃあこの街のことは任せた」
「ああ。しかしお前は侯爵で俺は子爵か。俺の爵位は上がらないのか?」
「さぁ、どうでしょう? 何せ前例がありませんからねぇ」
おいおい、馬鹿正直に答えるなよ。それじゃこいつのモチベ上がんねぇだろうが。
「俺の爵位が上がれば可能かもしれん。だから頑張ってくれよな」
嘘でもこう言わないとな。可能性があればやる気になるだろ。さて、それじゃ信徒を増やしに行くとするか。
ウォレンスの街から西へ行ったところにはへムカという村がある。あまり裕福な村ではないが、だからこそ手中に収めやすいのだ。
「へ、へへへへっ。もちろんでございますともアマラ様!」
貧しい村だからこそ落とすのは簡単だ。二ーの能力のひとつに『金を生み出す』というものがある。こいつにかかれば砂は砂金に、石は金塊となる。実に便利な能力だ。
そう、この村長を金で買収したわけだな。だがこれで終わりじゃない。次は村の人間を俺たちクリフォトの種に依存させるのだ。そして依存させるために『俺たちの存在が必要不可欠である』ことを自覚させる。
「なぁ、この村の作物を常に豊作にすることはできるか?」
これができれば話は早いんだがな。食うに困らない生活なんて夢見たいだろ。
「そういう欲望を持つ人間がいるなら難しいことじゃないね。その欲望を写し身として悪魔を産み出せばいい」
「なるほど。そんなこともできるのか」
それなら絶対一人はいるだろう。それに悪魔を産み出せるなら盗賊対策にもなる。せっかく集めた信徒を盗賊どもに殺されるのは腹が立つからな。
「そうですね。二ー様は欲望を司る魔神ですから。二ー様の協力があればそういう悪魔を産み出すことは可能でしょう」
「生贄はどうする?」
これがネックだな。この村から集めるのは避けたい。
「ウォレンスの街から引っ張って来ます。ドレクには生贄を集めるよう伝えてありますからね。心配要りません」
「そうか。なら話は早いな」
これでこの1週間後にこの村はクリフォトの種の信徒で満たされているだろう。人魔も悪魔もいるから守りも大丈夫だろうしな。これで信徒は300人を超えるが、先はまだまだ長いか。
さて、次はどう出ようかねぇ……。
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