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第111話 調査依頼
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製紙革命から3ヶ月が経ち、紙や黒鉛ペンの売れ行きは好調で様々な用途が生まれたそうだ。また、解読と付与の拡大解釈した魔法による印刷技術の開発により製本技術が発展し、より安く本が量産可能になったことで新たな文化の発展も期待されるとエリオット王子殿下より直々にお褒めの言葉をいただいた。
おかげでクランの運営は好調で、特に資金に困ることも無くなっていた。なんだかんだでルード達もCランクまで上がったし、ルカもルード達のパーティに入って活躍しているしね。
おかげで僕らも余裕ができ、冒険者としての活動を本格化させていた。
「あら、龍炎光牙のメンバー勢揃い? 久しぶり何じゃない?」
「ルウの奴が忙しすぎてね。その影響で俺も忙しかったわけでして」
「あはははは、お久しぶりです」
久しぶりにギルドに顔を出すと、アリシアさんが嬉しそうに話しかけてくれた。アリシアさんもライミスさんの婚約者なので来年には引退するそうだ。伯爵家の令嬢だったなんて全く知らなかったよ。
「そうそう、実はあなたたちに頼みたい依頼があるのよ。指名依頼って訳じゃないんだけどね? ちょっと奥で話いいかな?」
「そうですね。長らく空けていましたし、多少の無茶は引き受けますよ。な、ルウ?」
「うん、僕はかまわないよ」
アリシアさんに頼まれ、僕らは奥へと通される。ギルドの応接室なんて久しぶりだな。
そしてその中には久しぶりに会うギルドマスターがいた。相変わらず露出の高い格好なことで。目のやり場に困るんだけど。
「久しぶりだな。まぁ、とにかくそこに座ってくれ。話はそれからだ」
ギルドマスターに促され、僕らは大きめのソファに4人で腰掛ける。真ん中は僕とサルヴァンだ。
「依頼の内容というのはだな、実は調査依頼なんだが……」
ギルドマスターは僕らが腰掛けると、脚を組み直して語り始めた。前置き無しかい。
「調査依頼?」
「そうだ。他のパーティが受注したんだが帰ってこない。実に一月前のことだ。引き受けたパーティは『星月の瞬き』。Cランクパーティだ」
「詳しくお願いします」
Cランクパーティが帰ってこない時点でこの依頼の難易度はB以上だ。捜索となるとちょっと大変な依頼になりそうだけど。
しかし『星月の瞬き』なんてパーティ聞いたことないな。もしかしたら他の街のパーティなんだろうか?
「ああ。依頼主はアルテア教会だ。なんでもウォレンスの街で怪しい宗教団体が生まれたらしく、その団体を調査して欲しいらしい」
「怪しい団体?」
うーん、他の国は知らないけど、アルテア教って国教なんだけどな。それ以外の宗教団体は全て異端となり、場合によっては処罰の対象とさえなりうる。過去にドレカヴァク教団なんてあったらしいけど、当然壊滅させらているはずだ。
「ああ、その団体の名前は『クリフォトの種』だそうだ」
「ぶふぉっ!」
その名前に思わずサルヴァンが吹き出す。奇しくも僕らセフィロトの家と真逆の悪魔の木を象徴にしとるんかい。というよりこれ、完全に教会にケンカ売ってるじゃんか。
「クリフォトの木の伝承は知っているな?」
「そりゃあね。俺たちセフィロトの家と真逆の木ですからね。なんか俺らにケンカ吹っかけてんのかと思えてしまうわ」
ギルドマスターの問いにサルヴァンが眉を釣り上げて答える。僕らを狙ってのことじゃないとは思うけど、こんな偶然もあるのか。
「というより教会や国にケンカを売っていると言われても文句言えんぞ。しかし面白そうではあるな。もしかしたら悪魔の一匹くらいはいるかもしれんな」
アレサが楽しそうにうんうん頷く。確かに悪魔の一匹くらいはいそうだ。もしそうならCランクパーティでは全滅の危険もあるかもしれない。
「現在の被害などはどうなんですか?」
「表立ってはないな。ただ信者を募っているくらいだ。スラム街を中心に広がって来ているらしいが詳しいことはわからん」
「なんだ、それでは即壊滅というわけにはいかんな」
僕の質問にギルドマスターが答えると、アレサがつまらなさそうに呟く。すっかり脳筋思考になってきてない?
「大丈夫だよ。叩けば埃が出るに決まってるじゃない」
「おお、それもそうだな!」
確かにそうだろうけど、焚きつけちゃダメだよリーネ……。
「確かに出るだろうな。そもそも国教が存在するにも係わらず出来上がる宗教団体なぞ悪魔信仰がほとんどだ。ましてや今回のは悪魔を産む木、クリフォトの名を冠している。神話におけるクリフォトの木の栄養が何か知っているか?」
「まさか……!」
ギルドマスターの指摘に僕は戦慄する。そうだ。確かクリフォトの木を根付かせるために使われた栄養は……!
「そうだ。伝承ではクリフォトの木に選ばれた欲深い人間はその加護を得、一国の王となり隣国に戦争をしかけた。そして流れ、失われた多くの血と命を糧にクリフォトの木は人間界に根付いたと言われている」
「なるほど、つまりそのクリフォトの種を設立したやつはそれと同じことを企てると」
「そうだ。この国を乗っ取るつもりかどうかは知らんがな。少なくともろくでもないことを企んでいると見ていいだろう」
どういう手段で生贄を集めるかはわからないけど、それはどれだけの犠牲者を欲するかにもよるだろう。確かに調査は必要かも。
「しかしそんな調査よくCランクパーティなんかにやらせたな。悪魔がいるなら最低でもAランクじゃないと死ぬぞ?」
「それはウォレンスのギルドマスターに言ってやってくれ。あそこにはAランクなど1人もいないがな」
アレサの指摘にギルドマスターがムッ、とした表情で答える。やっぱり他の街の冒険者パーティだったか。
「そ、それはすまない……」
「かまわん。正直Aランクパーティでも少し心配なくらいだが、お前たちなら上手くやるだろうと期待している」
「わかりました。しかし調査となると俺たちだけじゃ人が足りない。クランとして引き受けて構いませんね?」
「かまわん」
こうして僕達はクリフォトの種の調査のためにウォレンスの街へ出向くことになった。
おかげでクランの運営は好調で、特に資金に困ることも無くなっていた。なんだかんだでルード達もCランクまで上がったし、ルカもルード達のパーティに入って活躍しているしね。
おかげで僕らも余裕ができ、冒険者としての活動を本格化させていた。
「あら、龍炎光牙のメンバー勢揃い? 久しぶり何じゃない?」
「ルウの奴が忙しすぎてね。その影響で俺も忙しかったわけでして」
「あはははは、お久しぶりです」
久しぶりにギルドに顔を出すと、アリシアさんが嬉しそうに話しかけてくれた。アリシアさんもライミスさんの婚約者なので来年には引退するそうだ。伯爵家の令嬢だったなんて全く知らなかったよ。
「そうそう、実はあなたたちに頼みたい依頼があるのよ。指名依頼って訳じゃないんだけどね? ちょっと奥で話いいかな?」
「そうですね。長らく空けていましたし、多少の無茶は引き受けますよ。な、ルウ?」
「うん、僕はかまわないよ」
アリシアさんに頼まれ、僕らは奥へと通される。ギルドの応接室なんて久しぶりだな。
そしてその中には久しぶりに会うギルドマスターがいた。相変わらず露出の高い格好なことで。目のやり場に困るんだけど。
「久しぶりだな。まぁ、とにかくそこに座ってくれ。話はそれからだ」
ギルドマスターに促され、僕らは大きめのソファに4人で腰掛ける。真ん中は僕とサルヴァンだ。
「依頼の内容というのはだな、実は調査依頼なんだが……」
ギルドマスターは僕らが腰掛けると、脚を組み直して語り始めた。前置き無しかい。
「調査依頼?」
「そうだ。他のパーティが受注したんだが帰ってこない。実に一月前のことだ。引き受けたパーティは『星月の瞬き』。Cランクパーティだ」
「詳しくお願いします」
Cランクパーティが帰ってこない時点でこの依頼の難易度はB以上だ。捜索となるとちょっと大変な依頼になりそうだけど。
しかし『星月の瞬き』なんてパーティ聞いたことないな。もしかしたら他の街のパーティなんだろうか?
「ああ。依頼主はアルテア教会だ。なんでもウォレンスの街で怪しい宗教団体が生まれたらしく、その団体を調査して欲しいらしい」
「怪しい団体?」
うーん、他の国は知らないけど、アルテア教って国教なんだけどな。それ以外の宗教団体は全て異端となり、場合によっては処罰の対象とさえなりうる。過去にドレカヴァク教団なんてあったらしいけど、当然壊滅させらているはずだ。
「ああ、その団体の名前は『クリフォトの種』だそうだ」
「ぶふぉっ!」
その名前に思わずサルヴァンが吹き出す。奇しくも僕らセフィロトの家と真逆の悪魔の木を象徴にしとるんかい。というよりこれ、完全に教会にケンカ売ってるじゃんか。
「クリフォトの木の伝承は知っているな?」
「そりゃあね。俺たちセフィロトの家と真逆の木ですからね。なんか俺らにケンカ吹っかけてんのかと思えてしまうわ」
ギルドマスターの問いにサルヴァンが眉を釣り上げて答える。僕らを狙ってのことじゃないとは思うけど、こんな偶然もあるのか。
「というより教会や国にケンカを売っていると言われても文句言えんぞ。しかし面白そうではあるな。もしかしたら悪魔の一匹くらいはいるかもしれんな」
アレサが楽しそうにうんうん頷く。確かに悪魔の一匹くらいはいそうだ。もしそうならCランクパーティでは全滅の危険もあるかもしれない。
「現在の被害などはどうなんですか?」
「表立ってはないな。ただ信者を募っているくらいだ。スラム街を中心に広がって来ているらしいが詳しいことはわからん」
「なんだ、それでは即壊滅というわけにはいかんな」
僕の質問にギルドマスターが答えると、アレサがつまらなさそうに呟く。すっかり脳筋思考になってきてない?
「大丈夫だよ。叩けば埃が出るに決まってるじゃない」
「おお、それもそうだな!」
確かにそうだろうけど、焚きつけちゃダメだよリーネ……。
「確かに出るだろうな。そもそも国教が存在するにも係わらず出来上がる宗教団体なぞ悪魔信仰がほとんどだ。ましてや今回のは悪魔を産む木、クリフォトの名を冠している。神話におけるクリフォトの木の栄養が何か知っているか?」
「まさか……!」
ギルドマスターの指摘に僕は戦慄する。そうだ。確かクリフォトの木を根付かせるために使われた栄養は……!
「そうだ。伝承ではクリフォトの木に選ばれた欲深い人間はその加護を得、一国の王となり隣国に戦争をしかけた。そして流れ、失われた多くの血と命を糧にクリフォトの木は人間界に根付いたと言われている」
「なるほど、つまりそのクリフォトの種を設立したやつはそれと同じことを企てると」
「そうだ。この国を乗っ取るつもりかどうかは知らんがな。少なくともろくでもないことを企んでいると見ていいだろう」
どういう手段で生贄を集めるかはわからないけど、それはどれだけの犠牲者を欲するかにもよるだろう。確かに調査は必要かも。
「しかしそんな調査よくCランクパーティなんかにやらせたな。悪魔がいるなら最低でもAランクじゃないと死ぬぞ?」
「それはウォレンスのギルドマスターに言ってやってくれ。あそこにはAランクなど1人もいないがな」
アレサの指摘にギルドマスターがムッ、とした表情で答える。やっぱり他の街の冒険者パーティだったか。
「そ、それはすまない……」
「かまわん。正直Aランクパーティでも少し心配なくらいだが、お前たちなら上手くやるだろうと期待している」
「わかりました。しかし調査となると俺たちだけじゃ人が足りない。クランとして引き受けて構いませんね?」
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こうして僕達はクリフォトの種の調査のためにウォレンスの街へ出向くことになった。
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