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第112話 ウォレンスまで飛んでいこう
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「なるほど、話はわかった。そういうことなら引き受けるぜ」
「すまんなルード。今回の依頼ははっきり言ってリスクが高い。戦力を均等に割振ろうと思うんだが」
クランハウスの会議室で天鳳と龍炎光牙のメンバー全員が集まり、依頼の件について話し合っていた。
さすがにCランクのルード達だけで行動させるのは心許ない、ということでサルヴァンが
提案をする。確かに爵位持ちの悪魔と遭遇すれば危険極まりない。ルードは少し腕を組んで考えると、静かに口を開いた。
「そうだな。だが調査ならミラの力は必須だろう。フィンをそっちに預けるからルウを貸してくれればいい。ルカもいるしな」
「だそうだ。ルウ、かまわんな?」
ミラは斥候役なのもあってか調査系の魔法に特化しているところがある。スキルとも相性がいいので、それを上手く使えばリスクは大幅に下げられるだろう。
「いいよ。じゃあルード、この依頼の間はよろしく頼むよ。やり方はルードのやり方で大丈夫だから」
「ああ、頼りにしているぞ」
パーティ編成の方は簡単に行われ、僕とフィンが交代だ。フィンの方を見たが不満はないようだ。
「それで、どうやってウォレンスまで行くんだ? 徒歩や馬車だと結構かかるぞ?」
「それは大丈夫だ。空を飛んでいくから」
「は?」
サルヴァンの空を飛んで、のところでルードが怪訝そうな顔をする。そういやルード達にはまだ見せたこと無かったったけ。見たら多分驚くと思うな。
「まぁ、見たらわかる。とりあえず今日準備して、明日の昼前に出発な」
「わ、わかった……」
サルヴァンがクスクスとイタズラっぽく笑うと、ルードはまだ信じられないという顔で返事をした。明日はきっと驚くと思う。
次の日、クランの庭に鉄製の船が鎮座していた。船といっても一般的な舟とは違い屋根のある楕円状をしており、大きさ的にはベッド2つ分程のサイズでしかない。
「……なんじゃこりゃ」
「空飛ぶ船?」
ルードがその船を見て口をあんぐりと開ける。他の天鳳メンバーも似たような表情だ。
「これが飛ぶのか……?」
「凄いな。こんな鉄の塊が飛ぶのか。でも全員乗るには小さくないか?」
「入るんだなこれが。まぁ乗れよ。なかなか快適だぞ?」
サルヴァンが先頭の方にある入口の扉を開け、皆を中へと誘う。ぞろぞろと一列に並び中へ入っていくとルード達はさらに驚きの声をあげた。
「おい、外から見た大きさと中の大きさが違くないか? なんでこんな広いんだよ」
入ってすぐの所には運転席があり、その後ろには座席も幾つか用意されている。そしてその後ろには部屋に通じる扉が並ぶ通路があるのだ。その奥行は結構あるかもしんない。
「まず横幅からして違うわよね……?」
「どうなってんだよこれは」
ミラもフィンも信じられない、といった様子で辺りを見回す。
「うん、拡大っていう魔法があるんだけど、それを拡大解釈したらできちゃった」
「え、あれって魔法の効果を延長したり範囲を広げたりする魔法だよな……?」
フィンにどうやったのか説明すると、目が点になっていた。この魔法便利すぎるね。魔導研究所なら高く買ってくれるかも。
「そうだね。詠唱文言調べたらとんでもない文字数だったよ。見た感じ収納魔法や結界魔法との派生みたいだね」
「拡大解釈凄すぎだな。実質的に魔法を作れるのと同じなんじゃ……?」
「実質的にそうかもしんないね。多少の研究は必要だろうけど。部屋は早い者勝ちで使えばいいよ。12部屋全部個室だから」
僕は運転席の方に向かい腰掛ける。運転は全てこの席の前に用意されたコントロール用の魔晶石で行う。魔力の補給もここで行うんだけど、適当に投入タイミングに魔石をぶち込むだけでいい。ゴブリンの魔石でも10分くらいは飛べるのでさほど魔力は食わない仕様になっている。
「じゃあ飛ぶよ!」
コントロール用の魔晶石を掴み、魔力を通すと船体がふわりと浮き上がる。この浮く力は浮遊という物体を浮かせる魔法だ。物を浮かすだけの魔法でそこから動くことが出来ないが、発動時間が長く、そして浮いている間は動かすのに大した力を必要としないため、運搬用の魔法として用いられている魔法だったりする。
ちなみに通常の浮遊だとせいぜい人の頭くらいの高さが関の山だ。しかし僕の浮遊は木よりも遥かに高い位置を飛べる。強化したのもあるが、親和性の高さのおかげだろう。
そしてこの後発動させた魔法が飛翔だ。これにより船体は風の結界に包まれ、風の力で空を飛ぶことが可能になるという寸法だね。馬車の駈歩くらいの速度が出るため、ウォレンスまで馬車で6日の道のりも僅か4時間程になるだろう。
「すっげーな、空飛んでるぜ! 全然揺れねーし景色も最高だ!」
ルードが先頭の窓からの景色に感嘆する。前の方では色々視認するために外を眺められるようにしてあるんだけど、風が入っ来たり鳥が入って来たりするのを防ぐためガラス張りになっている。しかもサルヴァンの硬質化で硬くしてあるため、モーニングスターで殴っても傷1つつかないほど頑丈だ。
「これ、王族が見たら献上しろとか言われそうだな」
「献上用は今製作中だよ? 建前上これは試作機ということにしてあるんだ」
内装に関しては好きに金をかけられるようガワと運転席だけ用意すればいいだろう。広さもここよりかなり広くする予定だ。それだと製作費金貨100枚ほどで済む。
「これも売れば大儲けできそうだけどな。多分技術漏れを防ぐためにあまり作るなと言われるだろうよ」
「……世知辛いな」
「大丈夫、売ればお金になりそうな魔導具の候補は沢山あるから」
ヘタイロスが商会を作るときに目玉商品が必要だからね。アイディアのストックは沢山あるし、クラン内でだけ使っているものもあるのだ。
「……ルウが金の成る木に見えてきたわ」
「あはははは」
多分マルタンさんにはそう見られてると思ってるよ。それだけ価値があるってことで色々協力してくれてるんだと思うけどね。
「すまんなルード。今回の依頼ははっきり言ってリスクが高い。戦力を均等に割振ろうと思うんだが」
クランハウスの会議室で天鳳と龍炎光牙のメンバー全員が集まり、依頼の件について話し合っていた。
さすがにCランクのルード達だけで行動させるのは心許ない、ということでサルヴァンが
提案をする。確かに爵位持ちの悪魔と遭遇すれば危険極まりない。ルードは少し腕を組んで考えると、静かに口を開いた。
「そうだな。だが調査ならミラの力は必須だろう。フィンをそっちに預けるからルウを貸してくれればいい。ルカもいるしな」
「だそうだ。ルウ、かまわんな?」
ミラは斥候役なのもあってか調査系の魔法に特化しているところがある。スキルとも相性がいいので、それを上手く使えばリスクは大幅に下げられるだろう。
「いいよ。じゃあルード、この依頼の間はよろしく頼むよ。やり方はルードのやり方で大丈夫だから」
「ああ、頼りにしているぞ」
パーティ編成の方は簡単に行われ、僕とフィンが交代だ。フィンの方を見たが不満はないようだ。
「それで、どうやってウォレンスまで行くんだ? 徒歩や馬車だと結構かかるぞ?」
「それは大丈夫だ。空を飛んでいくから」
「は?」
サルヴァンの空を飛んで、のところでルードが怪訝そうな顔をする。そういやルード達にはまだ見せたこと無かったったけ。見たら多分驚くと思うな。
「まぁ、見たらわかる。とりあえず今日準備して、明日の昼前に出発な」
「わ、わかった……」
サルヴァンがクスクスとイタズラっぽく笑うと、ルードはまだ信じられないという顔で返事をした。明日はきっと驚くと思う。
次の日、クランの庭に鉄製の船が鎮座していた。船といっても一般的な舟とは違い屋根のある楕円状をしており、大きさ的にはベッド2つ分程のサイズでしかない。
「……なんじゃこりゃ」
「空飛ぶ船?」
ルードがその船を見て口をあんぐりと開ける。他の天鳳メンバーも似たような表情だ。
「これが飛ぶのか……?」
「凄いな。こんな鉄の塊が飛ぶのか。でも全員乗るには小さくないか?」
「入るんだなこれが。まぁ乗れよ。なかなか快適だぞ?」
サルヴァンが先頭の方にある入口の扉を開け、皆を中へと誘う。ぞろぞろと一列に並び中へ入っていくとルード達はさらに驚きの声をあげた。
「おい、外から見た大きさと中の大きさが違くないか? なんでこんな広いんだよ」
入ってすぐの所には運転席があり、その後ろには座席も幾つか用意されている。そしてその後ろには部屋に通じる扉が並ぶ通路があるのだ。その奥行は結構あるかもしんない。
「まず横幅からして違うわよね……?」
「どうなってんだよこれは」
ミラもフィンも信じられない、といった様子で辺りを見回す。
「うん、拡大っていう魔法があるんだけど、それを拡大解釈したらできちゃった」
「え、あれって魔法の効果を延長したり範囲を広げたりする魔法だよな……?」
フィンにどうやったのか説明すると、目が点になっていた。この魔法便利すぎるね。魔導研究所なら高く買ってくれるかも。
「そうだね。詠唱文言調べたらとんでもない文字数だったよ。見た感じ収納魔法や結界魔法との派生みたいだね」
「拡大解釈凄すぎだな。実質的に魔法を作れるのと同じなんじゃ……?」
「実質的にそうかもしんないね。多少の研究は必要だろうけど。部屋は早い者勝ちで使えばいいよ。12部屋全部個室だから」
僕は運転席の方に向かい腰掛ける。運転は全てこの席の前に用意されたコントロール用の魔晶石で行う。魔力の補給もここで行うんだけど、適当に投入タイミングに魔石をぶち込むだけでいい。ゴブリンの魔石でも10分くらいは飛べるのでさほど魔力は食わない仕様になっている。
「じゃあ飛ぶよ!」
コントロール用の魔晶石を掴み、魔力を通すと船体がふわりと浮き上がる。この浮く力は浮遊という物体を浮かせる魔法だ。物を浮かすだけの魔法でそこから動くことが出来ないが、発動時間が長く、そして浮いている間は動かすのに大した力を必要としないため、運搬用の魔法として用いられている魔法だったりする。
ちなみに通常の浮遊だとせいぜい人の頭くらいの高さが関の山だ。しかし僕の浮遊は木よりも遥かに高い位置を飛べる。強化したのもあるが、親和性の高さのおかげだろう。
そしてこの後発動させた魔法が飛翔だ。これにより船体は風の結界に包まれ、風の力で空を飛ぶことが可能になるという寸法だね。馬車の駈歩くらいの速度が出るため、ウォレンスまで馬車で6日の道のりも僅か4時間程になるだろう。
「すっげーな、空飛んでるぜ! 全然揺れねーし景色も最高だ!」
ルードが先頭の窓からの景色に感嘆する。前の方では色々視認するために外を眺められるようにしてあるんだけど、風が入っ来たり鳥が入って来たりするのを防ぐためガラス張りになっている。しかもサルヴァンの硬質化で硬くしてあるため、モーニングスターで殴っても傷1つつかないほど頑丈だ。
「これ、王族が見たら献上しろとか言われそうだな」
「献上用は今製作中だよ? 建前上これは試作機ということにしてあるんだ」
内装に関しては好きに金をかけられるようガワと運転席だけ用意すればいいだろう。広さもここよりかなり広くする予定だ。それだと製作費金貨100枚ほどで済む。
「これも売れば大儲けできそうだけどな。多分技術漏れを防ぐためにあまり作るなと言われるだろうよ」
「……世知辛いな」
「大丈夫、売ればお金になりそうな魔導具の候補は沢山あるから」
ヘタイロスが商会を作るときに目玉商品が必要だからね。アイディアのストックは沢山あるし、クラン内でだけ使っているものもあるのだ。
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