【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

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第150話 《アマラの視点》クリフォトの木3

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 その毒々しいまでの紫色の雲が俺達の遥か頭上に渦巻いていた。そして街のあちこちに散らばっている亡骸が空に浮かんでいき、あの雲に吸い込まれていく。

「な、何が起きているのだ……!?」
「血の雨を降らせるための準備ですよ。あの雲が多くの亡骸を取り込むことで血を絞り出し、闇の魔力を与えて血の雨となるのです」

 レイモンは恍惚の表情を浮かべながら教皇を見下ろす。そして手袋を外すと木の枝となっている自分の手を見せつけた。

 こうしている間にも人の遺体はどんどん雲に吸収されていく。こいつらに影響がないとこを見ると亡骸以外は吸い込めないのか。





 待つこと十数分てとこか。ようやく準備が整ったのか亡骸の吸い込みも終わる。

「さぁ、始まりますよ!」

 レイモンが天を仰ぐ。
 そしてポタリと大粒の雨が。
 もちろん普通の雨じゃねーけどな。

「こ、こんなことって……!」

 そしてこの地に血の雨が降り注いだ。結界で防ごうかと思ったが、この雨がまた心地良くてな。頭にかかった血の雨が頬を伝い口に届く。なんとなくそれをぺろりと舐める。

 いかんな、その味に思わず顔がニヤつく。なんか奥底から力が湧いてくる感覚まであるぞ。それに対し教皇や皇女、それに皇子は恐怖に顔を引きつらせて叫んでいた。

「いやああああああっ!!」

 身体を血まみれにして泣き叫ぶ様を見て俺は美しいとさえ思えたわ。白かったドレスも血に染まり深く黒ずんだ赤に染まっているんだが実にお似合いだ。

 そして大地に降り注ぐ血の雨は血溜まりを作ることなく吸い込まれるように大地に吸収されていった。石床でさえもその血を吸い込み赤黒く染まっていく。

 そして、血の雨が止んだ。大地は赤黒く染まり、瘴気が立ちこめている。俺にとっちゃ澄んだ空気のようだが教皇達には毒かもな。顔色が悪いのはどっちのせいかね?

「ふふっ、恐らくこの街の住民全員が血の雨となったことでしょう。そして時は来ました。さぁ、ニー様。私をこの大地に根付かせてくださいませ!」

 レイモンだけはあれだけの血の雨を浴びたのに全く変色していなかった。あいつ自身が吸収したとでも言うのかねぇ?

「待たせたねレイモン。さぁ、君の役割を果たしてくれ。魔王ニーグリの名において命ずる。母なるクリフォトの木よ、この地の怨嗟と血を喰らい根づきたまえ。アーゼ ルーエルト ラハンナ、偉大なる暗黒神オルデスよ、闇の恵みの一雫を対価に祝福を与え給え!」

 ニーグリが自らの右腕に傷をつけ血を垂れ流す。一雫と言う割には随分多いな。

「ハハハハハ! 来ました! 来ましたよぉぉぉっ、遂に母なるクリフォトの木に還るときが来たのです!」

 レイモンが叫びながらその身を歪ませていく。服が破け、現れたのは大樹。人の皮を脱ぎ捨てただけなのか、血の1滴も流すことなく顔の皮が破け、そこから木の幹がグングンと成長していった。やがてそれは大樹となってその木陰に俺達はいた。

 クリフォトの木は実に大聖堂を完全に破壊しつくして天にも届きそうなほど大きく、そして新たなる3つの実をつけていた。その実は遠くからでも人間サイズよりは大きそうなことがわかるほどだ。

「おやおや、早速3つも実がなったね。じゃあ一つはドレク、君にあげよう。君の写し身たるドレカヴァクの復活だ! アマラ、かつての上司が部下になるんだ、素敵だと思わないか?」
「あいつは候爵級だろ? 俺と同格じゃねぇかよ」

 同格だとあいつのことだ、絶対に威張り散らすに決まってんじゃねぇか。

「いや、君は僕の恩恵を受けて公爵を飛び越え、一気に大公となるんだ。人魔大公アマラ、かっこいいじゃないの」
「なるほど、それでさっきから力が湧いてくるような感覚があるのか」

 そいつはいい。つまり実力的にはニーグリに次ぐ存在ってことか。これならあいつらにだって負けないだろうぜ。

「そうだよ。それとアマラ、君のために僕からもう一つプレゼントだ。そこの皇女を写し身に悪魔を生み出してあげるよ。顔をそっくりにして胸も盛ってあげるね」
「マジか、それならあの皇女別にいらねーや」

 ニーグリぐっじょぶ!
 なんか皇女がジト目で睨んでいるが、もしかして俺の妻になりたいのか?

「顔と身体にしか興味がないなんて下衆だなぁ。実に素晴らしいよ。もう一つはそうだね、適当でいいや」

 ニーグリがそう決めると3つの実が音を立てて少し離れた位置に落ちて来た。結構な高さから落ちたのに実は全くの無傷のようだ。それにしてもデカい。俺の背丈の倍近くあるな。

「さぁ出ておいで。先ずはドレカヴァク!」

 ニーグリが命じると一つの実が割れ、そこから骸の悪魔が姿を見せた。実から出てきたのにその身体には実がついていない。というより実の中身が他は空っぽだった。もうこれ実じゃなくて卵か何かか?

「魔王ニーグリ様、今再びの機会を与えてくださり感謝いたします」

 その躯は姿を見せた後、ニーグリの前に跪いた。あの高慢ちきなドレカヴァクが頭を下げているさまは何とも奇妙な感じがするわ。

「君には公爵位を与える。その力、僕とアマラのために役立ててくれ」
「もちろんでございますとも。アマラ様も存分に私めをお使いくださいませ」
「な、なんかお前に言われるとこそばゆいんだが。以前のドレカヴァクとはまた別の存在なのか?」

 ドレカヴァクが敬語とか違和感すげぇな。とても同じ存在とは思えん。もうこれ別人というか別悪魔だよな?

「そうですね、本質的には別の存在と思っていただいてかまいません。ですが、私めを破ったあの者たちのことは殺したい程憎い存在でございますな」

 つまり記憶の一部は共有してるのか。てことは俺がかつての部下だったことも知っているはずだよな。ま、従うならどうでもいいことではあるか。

「次はナターシャだったかな? 彼女の写し身にだからアマラ、君が名付けるといいよ。彼女をちゃんとイメージしてね?」
「お、そうか。なんかそれだと娘みたいだな。ま、いいか」

 うーん、娘じゃなくて妻なんだよな。でも俺が名前つけると娘感凄いよな、なんて考えていたのがいけなかったようだ。

「よし、ナーラだ。ナーラにする! さぁ出てこい、俺のむす……じゃなかった、俺の嫁ナーラよ!」

 そしてクリフォトの実にヒビが入る。そして中から生まれた女性はとても可愛らしかった。問題はどう見ても5歳くらいにしか見えないというところだな……。
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