172 / 188
第166話 人魔王妃(予定)ナーラ2
しおりを挟む
数多の黒き閃光がナーラを飲み込む。普通の存在であれば生き残ることなど到底あり得ないはずだ。
しかし閃光の過ぎ去った後、ナーラは勝ち誇ったような表情で宙に浮かんでいた。
「ふむ、なかなかの威力じゃったが妾には効かなかったようじゃの。悪魔の公爵たる妾に人間風情の闇魔法が効くと思うてか!」
「そうだねぇ、まさかこうも効かないとは思わなかったよ。じゃあこれはどうかな? 龍炎!」
立て続けにリーネが魔法を行使する。十を超える魔法陣から龍を象った炎が現れナーラめがけて襲いかかった。
「舐めるな!」
ナーラは襲いかかる炎の龍を大きく避けては剣で打ち払っていく。剣はどす黒い魔力を帯びており、何度か打ち払い炎の龍を消滅させていった。しかし炎の龍の数が多く捌くのに苦労しているようだ。
「まだまだいくよ、龍炎!」
追加でさらに倍の数の炎の龍を生み出しナーラを追い詰めていく。ちょっと魔力使いすぎかな、魔力を回復させておこう。
「リーネ、遊びすぎ。回復」
「へへっ、ありがと。ついでに審判も付与して」
「おっけー。次のやつに付与するよ」
あわよくばこれで決められたらいいけど。さすがに望みすぎかな?
「龍炎!」
「付与、審判、強化」
残りは拡大解釈による無声発動でリーネの生み出した二十程の炎の龍全てに審判を付与する。龍は金色の炎を纏いナーラを襲った。先程よりも大きく速い龍だ。上手く行けば仕留められるかもしれない。
「なかなかえげつないなあれ」
「あらゆる方向から一撃必殺の炎が飛んでくるからな。一発喰らえば残り全て喰らうことになる。そうなれば公爵級悪魔であろうと無傷では済まんだろうな」
サルヴァンとアレサはのんびりその様子を眺めていた。普通の魔導士の龍炎だとナーラは痛痒すら覚えないだろうけど、リーネの魔力は人外の領域だ。威力の桁が違う。
そしてついにうち一匹の炎の龍を捌き切れずその顎にナーラが呑み込まれた。そこにまた一匹、また一匹といった具合いに炎の龍が咬み付いた。そしてナーラは金色の炎に包まれる。
「ぬおおおおおっ!!」
ナーラが雄叫びを上げると金色の炎は弾け飛び、その姿を見せる。空にいるせいで確認しきれないが、すぐに動かないところを見るとダメージはあったのかな?
「うわっ、耐えられちゃった。ちょっとショックかも」
リーネはこれで決めるつもりだったのね。侯爵級なら滅ぼせたと思うけど、さすが公爵級といったところか。
ナーラはゆっくりと地上に降り始める。こちらの予定通り地上戦に応じてくれるらしい。空中戦でもいいんだけど、剣を扱うなら踏みしめる大地がないと威力が落ちるからありがたいね。
「さっきの攻撃はなかなか効いたぞ。褒めて遣わす。正直ナメておったわ」
「ふむ、今までは本気じゃなかった、ということか。ならば本気を見せてもらいたいものだな」
ナーラの怪我はそれほど大したことはないようだ。装着している胸甲もすす汚れはあるが変形すらしていない。剥き出しの二の腕もきれいなものだ。もしかしてノーダメというやつだろうか?
「公爵級魔神の力、見せてやろうぞ。まとめてかかってくるがいい!」
ナーラから黒い魔力が溢れ出し、黒い鉄のような球体が無数に出現する。効果はわからないが闇属性なのは間違いないだろう。
「リーネ闇膜を全員に」
「うん、闇膜……」
リーネが僕の指示に従い全員に闇系防護魔法をかける。さらにそれを僕が強化して効果を増大させた。この膜は物理的な防御力のみならず闇属性エネルギーを大幅に軽減させる効果を持つ。
「これは従闇という魔法でのう。妾の使うものは他とは一味違うぞ?」
ナーラがニヤリと笑う。
その刹那。
闇の球体が変形し、無数の細い針となって僕らを襲った。
「くっ!」
一瞬のことで防壁を使う間もなく、反射的に横に飛んだ。完全な回避とはいかず無数の針が頬をかすめ、一本が脇腹に突き刺さる。闇膜を貫通したのか!?
激痛に顔を歪ませつつも破壊で針を叩き折る。そして横向きに倒れた僕にまたも針が襲った。それは運良く狙いが外れていたが、かなり危なかったかもしれない。
僕は急いで起き上がると針を引き抜く。脇腹の穴こそ小さいが、内蔵を貫いていたら命に関わるところだ。抜いた箇所から血が滲み出したのですぐに回復で傷を塞ぐ。傷が塞がっても暫くは痛いのが難点でこれは根性で堪えるしかない。
周りを見てみるとリーネはサルヴァンが庇ってくれたようで無傷。そのサルヴァンも硬質化のスキルのおかげか身体に刺さるはずの針が全て折れてしまっていた。
アレサに至っては迫ってきた針を残らず叩き斬ってしまったようだ。どんな反応速度してんだか。
「ほほう、なんとか凌いだようじゃな。今のは小手調べなんじゃが避け切れなかった者もおるようじゃな?」
ナーラは僕をチラリと見るとふふん、と口を歪ませた。確かに予想以上に速くて避け損なったのは事実だ。だが次は避けて見せる!
「だがその程度じゃ俺は貫けなかったようだぞ? ルウ、ここは俺に任せろ。悪魔がナターシャ様と同じ姿っていうのは見ていて気分が悪い」
「当然じゃろう? 妾はそのナターシャと同じ姿になるようニーグリ様によって生み出されたのじゃからな」
「そうかい、いい趣味してんな!」
サルヴァンが一気に間合いを詰める。ここはサルヴァンの硬質化のスキルを強化だ!
「……阿呆が」
そして無数の針がサルヴァンを襲った。
しかし閃光の過ぎ去った後、ナーラは勝ち誇ったような表情で宙に浮かんでいた。
「ふむ、なかなかの威力じゃったが妾には効かなかったようじゃの。悪魔の公爵たる妾に人間風情の闇魔法が効くと思うてか!」
「そうだねぇ、まさかこうも効かないとは思わなかったよ。じゃあこれはどうかな? 龍炎!」
立て続けにリーネが魔法を行使する。十を超える魔法陣から龍を象った炎が現れナーラめがけて襲いかかった。
「舐めるな!」
ナーラは襲いかかる炎の龍を大きく避けては剣で打ち払っていく。剣はどす黒い魔力を帯びており、何度か打ち払い炎の龍を消滅させていった。しかし炎の龍の数が多く捌くのに苦労しているようだ。
「まだまだいくよ、龍炎!」
追加でさらに倍の数の炎の龍を生み出しナーラを追い詰めていく。ちょっと魔力使いすぎかな、魔力を回復させておこう。
「リーネ、遊びすぎ。回復」
「へへっ、ありがと。ついでに審判も付与して」
「おっけー。次のやつに付与するよ」
あわよくばこれで決められたらいいけど。さすがに望みすぎかな?
「龍炎!」
「付与、審判、強化」
残りは拡大解釈による無声発動でリーネの生み出した二十程の炎の龍全てに審判を付与する。龍は金色の炎を纏いナーラを襲った。先程よりも大きく速い龍だ。上手く行けば仕留められるかもしれない。
「なかなかえげつないなあれ」
「あらゆる方向から一撃必殺の炎が飛んでくるからな。一発喰らえば残り全て喰らうことになる。そうなれば公爵級悪魔であろうと無傷では済まんだろうな」
サルヴァンとアレサはのんびりその様子を眺めていた。普通の魔導士の龍炎だとナーラは痛痒すら覚えないだろうけど、リーネの魔力は人外の領域だ。威力の桁が違う。
そしてついにうち一匹の炎の龍を捌き切れずその顎にナーラが呑み込まれた。そこにまた一匹、また一匹といった具合いに炎の龍が咬み付いた。そしてナーラは金色の炎に包まれる。
「ぬおおおおおっ!!」
ナーラが雄叫びを上げると金色の炎は弾け飛び、その姿を見せる。空にいるせいで確認しきれないが、すぐに動かないところを見るとダメージはあったのかな?
「うわっ、耐えられちゃった。ちょっとショックかも」
リーネはこれで決めるつもりだったのね。侯爵級なら滅ぼせたと思うけど、さすが公爵級といったところか。
ナーラはゆっくりと地上に降り始める。こちらの予定通り地上戦に応じてくれるらしい。空中戦でもいいんだけど、剣を扱うなら踏みしめる大地がないと威力が落ちるからありがたいね。
「さっきの攻撃はなかなか効いたぞ。褒めて遣わす。正直ナメておったわ」
「ふむ、今までは本気じゃなかった、ということか。ならば本気を見せてもらいたいものだな」
ナーラの怪我はそれほど大したことはないようだ。装着している胸甲もすす汚れはあるが変形すらしていない。剥き出しの二の腕もきれいなものだ。もしかしてノーダメというやつだろうか?
「公爵級魔神の力、見せてやろうぞ。まとめてかかってくるがいい!」
ナーラから黒い魔力が溢れ出し、黒い鉄のような球体が無数に出現する。効果はわからないが闇属性なのは間違いないだろう。
「リーネ闇膜を全員に」
「うん、闇膜……」
リーネが僕の指示に従い全員に闇系防護魔法をかける。さらにそれを僕が強化して効果を増大させた。この膜は物理的な防御力のみならず闇属性エネルギーを大幅に軽減させる効果を持つ。
「これは従闇という魔法でのう。妾の使うものは他とは一味違うぞ?」
ナーラがニヤリと笑う。
その刹那。
闇の球体が変形し、無数の細い針となって僕らを襲った。
「くっ!」
一瞬のことで防壁を使う間もなく、反射的に横に飛んだ。完全な回避とはいかず無数の針が頬をかすめ、一本が脇腹に突き刺さる。闇膜を貫通したのか!?
激痛に顔を歪ませつつも破壊で針を叩き折る。そして横向きに倒れた僕にまたも針が襲った。それは運良く狙いが外れていたが、かなり危なかったかもしれない。
僕は急いで起き上がると針を引き抜く。脇腹の穴こそ小さいが、内蔵を貫いていたら命に関わるところだ。抜いた箇所から血が滲み出したのですぐに回復で傷を塞ぐ。傷が塞がっても暫くは痛いのが難点でこれは根性で堪えるしかない。
周りを見てみるとリーネはサルヴァンが庇ってくれたようで無傷。そのサルヴァンも硬質化のスキルのおかげか身体に刺さるはずの針が全て折れてしまっていた。
アレサに至っては迫ってきた針を残らず叩き斬ってしまったようだ。どんな反応速度してんだか。
「ほほう、なんとか凌いだようじゃな。今のは小手調べなんじゃが避け切れなかった者もおるようじゃな?」
ナーラは僕をチラリと見るとふふん、と口を歪ませた。確かに予想以上に速くて避け損なったのは事実だ。だが次は避けて見せる!
「だがその程度じゃ俺は貫けなかったようだぞ? ルウ、ここは俺に任せろ。悪魔がナターシャ様と同じ姿っていうのは見ていて気分が悪い」
「当然じゃろう? 妾はそのナターシャと同じ姿になるようニーグリ様によって生み出されたのじゃからな」
「そうかい、いい趣味してんな!」
サルヴァンが一気に間合いを詰める。ここはサルヴァンの硬質化のスキルを強化だ!
「……阿呆が」
そして無数の針がサルヴァンを襲った。
6
あなたにおすすめの小説
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界で世界樹の精霊と呼ばれてます
空色蜻蛉
ファンタジー
普通の高校生の樹(いつき)は、勇者召喚された友人達に巻き込まれ、異世界へ。
勇者ではない一般人の樹は元の世界に返してくれと訴えるが。
事態は段々怪しい雲行きとなっていく。
実は、樹には自分自身も知らない秘密があった。
異世界の中心である世界樹、その世界樹を守護する、最高位の八枚の翅を持つ精霊だという秘密が。
【重要なお知らせ】
※書籍2018/6/25発売。書籍化記念に第三部<過去編>を掲載しました。
※本編第一部・第二部、2017年10月8日に完結済み。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる