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晴臣の、色んな意味で衝撃の告白から暫くー
想像していたよりずっと穏やかな日々が続いている。
晴臣が朝昼晩と付き纏っているお影で、男性社員から誘われる回数は格段に減った(晴臣のいない隙を狙って来る人はまだいるけれど)。
そして、当の晴臣はと言うと、私に張り付いてはいるものの、特に何もしてこない。
ただ私の側にいるだけ。
唯一変わった点と言えば、一緒にいるときに遼平くんに出くわすと、不機嫌になることくらいだ。
出くわすと言っても、社長は公私混同しないタイプのようで、一新入社員である私に、社内で声を掛けることはない。
目も合わない。
私が一方的に、遠くから見るだけ。
夜のドライブのことは、本当に夢だったのかもしれないと思う程遠い。
それでも、今まで年に数回しか会えなかった私にとっては幸せだった。
運の良い時は一日に二度、その姿を見られるのだから。
いつまでもこの穏やかな日々が続いて欲しい。
心から願っていたのにー
それはある日、突然終わりを告げた。
今日は新商品のポスター撮りで、販売促進部のほとんどが駆り出され、新人の私が一人電話番をしている。
もう少しで昼休み。
そろそろ晴臣が迎えにくるというタイミングで、飛鳥先輩から着信が入った。
「蓮見!大至急Classic Palaceまで来て!」
Classic Palaceって…今まさに秋冬用の新商品ポスター撮りが行われている結婚式場だ。
Classic Palaceはただの結婚式場ではない。
桐嶋冬馬という有名な建築家が、妻のために自ら設計した、荘厳でレトロモダンな結婚式場。
建物が見事なのは言うまでもないけど、建築家が絶望的なまでに美形な上に、度を越した愛妻家で有名なことから、『Classic Palaceで挙式した二人は離婚率が低い』というジンクスまで生まれたせいで、予約は1年半先までビッシリと埋まっており、開業以来取材はおろか、撮影等での使用も完全NGを貫いて来た。
はい。
以上、真由先輩から耳にタコができるほど聞かされたうんちくでした。
そんな式場相手に、新商品のコンセプト発表と同時期から、私の指導も完璧にこなしながら、持ち前の粘り深さで真由先輩が交渉を重ね、何とか今日の撮影に漕ぎ着けたのだ。
それなのに。
飛鳥先輩のあの切羽詰まった声。
何かトラブルがあったに違いない。
格闘の末、なんとか電話の転送設定を終えると、鞄を持ってダッシュで販売促進部を飛び出したところで、思い切り何かにぶつかった。
想像していたよりずっと穏やかな日々が続いている。
晴臣が朝昼晩と付き纏っているお影で、男性社員から誘われる回数は格段に減った(晴臣のいない隙を狙って来る人はまだいるけれど)。
そして、当の晴臣はと言うと、私に張り付いてはいるものの、特に何もしてこない。
ただ私の側にいるだけ。
唯一変わった点と言えば、一緒にいるときに遼平くんに出くわすと、不機嫌になることくらいだ。
出くわすと言っても、社長は公私混同しないタイプのようで、一新入社員である私に、社内で声を掛けることはない。
目も合わない。
私が一方的に、遠くから見るだけ。
夜のドライブのことは、本当に夢だったのかもしれないと思う程遠い。
それでも、今まで年に数回しか会えなかった私にとっては幸せだった。
運の良い時は一日に二度、その姿を見られるのだから。
いつまでもこの穏やかな日々が続いて欲しい。
心から願っていたのにー
それはある日、突然終わりを告げた。
今日は新商品のポスター撮りで、販売促進部のほとんどが駆り出され、新人の私が一人電話番をしている。
もう少しで昼休み。
そろそろ晴臣が迎えにくるというタイミングで、飛鳥先輩から着信が入った。
「蓮見!大至急Classic Palaceまで来て!」
Classic Palaceって…今まさに秋冬用の新商品ポスター撮りが行われている結婚式場だ。
Classic Palaceはただの結婚式場ではない。
桐嶋冬馬という有名な建築家が、妻のために自ら設計した、荘厳でレトロモダンな結婚式場。
建物が見事なのは言うまでもないけど、建築家が絶望的なまでに美形な上に、度を越した愛妻家で有名なことから、『Classic Palaceで挙式した二人は離婚率が低い』というジンクスまで生まれたせいで、予約は1年半先までビッシリと埋まっており、開業以来取材はおろか、撮影等での使用も完全NGを貫いて来た。
はい。
以上、真由先輩から耳にタコができるほど聞かされたうんちくでした。
そんな式場相手に、新商品のコンセプト発表と同時期から、私の指導も完璧にこなしながら、持ち前の粘り深さで真由先輩が交渉を重ね、何とか今日の撮影に漕ぎ着けたのだ。
それなのに。
飛鳥先輩のあの切羽詰まった声。
何かトラブルがあったに違いない。
格闘の末、なんとか電話の転送設定を終えると、鞄を持ってダッシュで販売促進部を飛び出したところで、思い切り何かにぶつかった。
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