【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星

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9ー1

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「ちーちゃん、今日は新しく駅前にできたお店にしない?ハロウィンブッフェやってるんだって」

「え…?遼平くん??ブッフェって、絶対食べすぎちゃうやつじゃ…。撮影今週末なのに?」

「ちょっとくらい大丈夫だよ」

「…って言われて、私、昨日もニューオープンのお店でガッツリステーキランチ食べちゃったよ?毎日こんなに食べてたら絶対ブタになる…」

「ごめんごめん。仕事以外で誰かと食事することなんてここ数年あまりなかったから、ちーちゃんとランチに行くのが楽しくて、つい次どこ行こうかなって探しちゃうんだよね。明日はヘルシー系のメニューのお店探しとくから」

ボディーガードを兼ねて毎日私と一緒に昼を食べるようになってから、以前よりずっと色艶の良くなった顔で遼平くんに微笑まれてしまえば、何も言い返せない。
遼平くんはそれを賛成とみなしたらしく、上機嫌で車のアクセルを踏み、ブッフェのお店に向かった。

このままだと次に晴臣に会ったとき、間違いなく「千歳、太っただろう?」と指摘されてしまう。
昔から良くも悪くも私の些細な変化に一番に気づくのは晴臣なのだ。

晴臣―

晴臣さえいればこんなことにはならないのに。
あれだけ残業してるのに、昼休みもとれないってどういうこと?
繁忙期の人事部ってそんなに忙しいの?

ついでに言うと白黒コンビも週末の撮影を控え、忙しくしていて、ランチには付き合ってもらえず。

結果、私は毎日のように姪っ子溺愛モードの遼平くんとランチを共にすることになり、着々と体にお肉を蓄えていっている(ような気がする)のだ。


「どうぞ。そこ、段差があるから足元に気をつけてね」

いつまで経っても慣れない遼平くんの完璧過ぎるエスコートに恐縮しつつ、お店のドアをくぐると、店内はハロウィン一色だった。

オレンジ色のジャックオーランタンが所狭しと飾られ、テーブルにはかぼちゃを使ったピザ、栗やさつまいもを使ったスイーツなど、秋の味覚をふんだんに使った色とりどりの料理が盛られたお皿が並べられている。

「わー!可愛い!!」

「やっぱりこういうお店好きだった?」

「うん!!可愛いだけじゃなくて美味しそうだし。嫌いな人なんて居ないと思う」

ということで、やはり人気店らしく、店内の待合椅子は既に数組のお客さんがいて、席が空くのを待っている状態。
食べ終わる前に昼休み終わっちゃわないかな…と心配する私を他所に、遼平くんは店員さんに声を掛けた。

「すみません。予約していた手塚です」

「えっ!?いつの間に?」

このお店に行こうと決めたのはついさっきのはずなのに。

「実は昨日から予約しておいたんだ。ちーちゃんに聞いてみて、イヤって言われたらキャンセルすればいいかなって思って」

たかが姪っ子相手に、どこまでもスマートな遼平くんに舌を巻いていると、私達の会話を聞いていた店員さんに「お越しいただきありがとうございます。お席はこちらになります」と言われ、窓際のテーブル席まで案内された。
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