【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星

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そうであって欲しいような、欲しくないような。

犯人が真由先輩と分かれば、嫌がらせ問題は一先ず解決。
日々感じていたストレスから解放され、忙しい遼平くんにこれ以上負担をかけなくて済むようになる。
でも、いくら私と遼平くんをどうこうしたいからと言って、やって良いことと悪いことがある。
遼平くんはおろか父の耳にも入っているのだ。
お咎めなしとはならないだろう。

逆に、真由先輩が犯人でなければ、私と真由先輩との関係は、非常に気まずいものになる。

いずれにしても、後味の悪い結末になってしまうのは確かだ。

「ヤだぁ。蓮見ちゃん、社長のこと普段『遼平くん』って呼んでるの?」

期待半分、恐れ半分で待っていた私を、真由先輩はふわりと躱した。

「ちゃ、茶化さないでください。こんなハッシュタグまで付けて、周りから固めようとしてたんじゃないですか?」

一度訊いてしまったからには、真実を追求しようと問題の写真を表示させて見せつけると、真由先輩は私のスマホを奪った。

「…こんな顔、できるようになったのね」

目を細めて、しみじみと呟く表情が、画面に映る写真との無関係性を物語っている。

「じゃあ、この写真撮ったの…」

真由先輩はゆっくりと首を横に振った。

「ええ、私じゃないわ」


緊張で強張っていた体から、一気に力が抜け、すぐそばにあった作業台に手を着いた。

「ごめんね、期待ハズレで」

そんな私を見た真由先輩は柔らかく、そして、少しバツ悪そうに微笑んだ。

「そんな…私の方こそ疑ったりして本当にすみませんでした」

「いいのよ。疑われるくらい二人のこと推してる私が悪いんだから。でも…こんな、『あまあま』って言うより『デレッデレ』な社長見ちゃったら、益々エスカレートしちゃうけどね」

腕が鳴るわぁと手首のストレッチをする真由先輩を慌てて止める。

「そ、それはやめてください!私、今、晴臣と付き合ってるんですから!!」

「付き合ってる…ねえ。そもそも、あなた達本当に付き合ってるの?この時期いくら人事部が忙しいからとは言え、最近全然一緒に居るところ見てないわよ」

見た目ゆるふわなのに、鋭い所は仕事以外においても同じらしい。
痛いところを突かれて上手いフォローを考えている間にも、次の攻撃が仕掛けられる。

「蓮見ちゃんの知らないところで、さっきのコみたいな可愛いコと仲良くしてたりして。椎名くん、モテるみたいだし」

確かに晴臣はモテるけどー
色々とこなれてもいるけれどー

「そんなことありませんって。さっきの女性ヒトだって、きっとただの同僚です」

真由先輩と、さっきモヤついていた自分を諭すように言うと、別の声が割って入った。

「それが、案外そうでもないみたいよ?」
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