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表面上にこやかなはずの微笑みからは観測史上最大のブリザードが吹き荒れ、私を除いたその場にいる全員を一瞬で凍りつかせてしまった。
「晴臣!?何でここに!?」
一人歩きする副島さんとの噂が気になって、「疑惑のお客さま」のことをすっかり忘れていたのは私だけど。
確かに晴臣の存在を誰にも信じてもらえなくて、困ってはいたけれど。
───こんな登場の仕方、ある?
晴臣は、カチコチになった副島さんの肩にポンと手を置き、何やら耳打ちをして一層青ざめさせてから、やっと私の問いかけに答えた。
「これから色々と管理する個人資産が増えそうだから、その相談に」
とは言いつつも、晴臣は手ぶらに近い状態で、特に資産資料を持っている気配はない。
本来の目的は、父あたりから副島さんの噂を聞きつけて、手を打ちにきたというところだろうか。
「千歳、今から休憩だろ?昼ご飯一緒に食べようぜ」
なんて当然のように誘われても、まだ今朝のことを許したわけではない。
けれど───
「問題ないですよね?」
晴臣に問われ縮み上がって頷く副島さんと、「その猛獣を連れてさっさと行って」という同僚の皆さんからの無言の圧に負け、仕方なく晴臣を連れてランチに出かけた。
私としては、時間も限られるし、喧嘩中だしで、行きつけのカフェで軽くお昼を済ませるつもりだった。
でも、オフィスを出た途端、下に停まっていた戦車に押し込まれ、連れられてきたのは高級店の個室だった。
高級ランチで誤魔化されないぞ、と腕を組んでそっぽを向く私に、さっきとは別人のような、困り果てた顔の晴臣。
「あー…、朝は悪かったって。俺にも色々あるんだよ」
「色々あったら何しても許されると思ってるの?」
頭を掻きながらネクタイを緩める姿が、白旗を揚げているように見える。
「千歳も知ってのとおり、俺んちの両親、駆け落ち同然で結婚しててさ。今でこそそこそこの生活してるけど、昔、全然カネなかったわけ」
そう言われてみれば、晴臣の家、最初は古い木造の借家だった気がする。
「千歳の婚約者=Lotusの後継者って理由で、俺、おじさんから色々出資してもらってて。もちろん全部それなりの結果を求められたけど。でも、その活躍が光城家の目に留まって母さんと実家の関係も修復されて…今に至るってわけ」
どことなく歯切れの悪い言い方が、晴臣らしくない。
納得いかない私は、毅然とした態度で追い打ちをかける。
「…で?その話と二日間何の連絡もなく、私を放置したことに何の関係が?」
「…バレたんだよ、おじさんに」
「バレたって何が?」
「俺が千歳を抱いたことが」
「晴臣!?何でここに!?」
一人歩きする副島さんとの噂が気になって、「疑惑のお客さま」のことをすっかり忘れていたのは私だけど。
確かに晴臣の存在を誰にも信じてもらえなくて、困ってはいたけれど。
───こんな登場の仕方、ある?
晴臣は、カチコチになった副島さんの肩にポンと手を置き、何やら耳打ちをして一層青ざめさせてから、やっと私の問いかけに答えた。
「これから色々と管理する個人資産が増えそうだから、その相談に」
とは言いつつも、晴臣は手ぶらに近い状態で、特に資産資料を持っている気配はない。
本来の目的は、父あたりから副島さんの噂を聞きつけて、手を打ちにきたというところだろうか。
「千歳、今から休憩だろ?昼ご飯一緒に食べようぜ」
なんて当然のように誘われても、まだ今朝のことを許したわけではない。
けれど───
「問題ないですよね?」
晴臣に問われ縮み上がって頷く副島さんと、「その猛獣を連れてさっさと行って」という同僚の皆さんからの無言の圧に負け、仕方なく晴臣を連れてランチに出かけた。
私としては、時間も限られるし、喧嘩中だしで、行きつけのカフェで軽くお昼を済ませるつもりだった。
でも、オフィスを出た途端、下に停まっていた戦車に押し込まれ、連れられてきたのは高級店の個室だった。
高級ランチで誤魔化されないぞ、と腕を組んでそっぽを向く私に、さっきとは別人のような、困り果てた顔の晴臣。
「あー…、朝は悪かったって。俺にも色々あるんだよ」
「色々あったら何しても許されると思ってるの?」
頭を掻きながらネクタイを緩める姿が、白旗を揚げているように見える。
「千歳も知ってのとおり、俺んちの両親、駆け落ち同然で結婚しててさ。今でこそそこそこの生活してるけど、昔、全然カネなかったわけ」
そう言われてみれば、晴臣の家、最初は古い木造の借家だった気がする。
「千歳の婚約者=Lotusの後継者って理由で、俺、おじさんから色々出資してもらってて。もちろん全部それなりの結果を求められたけど。でも、その活躍が光城家の目に留まって母さんと実家の関係も修復されて…今に至るってわけ」
どことなく歯切れの悪い言い方が、晴臣らしくない。
納得いかない私は、毅然とした態度で追い打ちをかける。
「…で?その話と二日間何の連絡もなく、私を放置したことに何の関係が?」
「…バレたんだよ、おじさんに」
「バレたって何が?」
「俺が千歳を抱いたことが」
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