社長の×××

せめて、最高のはじめてを ６

　なんてカッコつけてみたものの、こっちの理性なんていつ吹っ飛んでもおかしくないくらい淫らな葵の姿。

　どこに触れても柔らかく、
　どこを舐めても甘い。

　今すぐにでも葵をめちゃくちゃにしたい衝動と必死に戦いながら、葵の身体に準備させる。

　いきなり口に含んで嫌悪感を与えないよう、豊かな胸の膨らみの先端を鼻先で焦らすようにくすぐってみた。

　「あぁっ…ぁっ」

　甘い鳴き声。
　嫌がってないことを確認してから、ゆっくりと口に含み、硬くした舌先で捏ね回すと、

　「あ、んんっ」

と、震えながらヨがる。

　かなり感度も良いらしい。

　反対側も摘み、夢中になって刺激を送り続けていると、俺の体の下で葵が焦ったそうに動き出した。

　「足りない？」

　ダイレクトに聞いてみると、赤い顔を益々赤くして葵が首を振る。

　「ち、違っ」

　さすがに自分から強請るのは無理だったか。
　ここは少し強引に進めてやった方が葵の為になる。

　「嘘はダメだよ、真田さん。さっきからずっと脚がもじもじ動いてる」

　「…っ！！」

　涙目の葵を俯瞰し終えると、瞳にキスしながら促した。

　「恥ずかしがらないで。全部預けて」





　一糸纏わぬ身体は更に綺麗で、葵に泣きつかれて照明を落とした薄暗い部屋の中でも、白く浮き上がって見えた。

　五感のうち一つでも制限されれば、残りの感覚が研ぎ澄まされるのか、葵の嬌声が頭の中いっぱいに響く。

　「触るよ？」

　葵からの返事はないまま、しっとりとした太ももに手を這わせ、ゆっくりとソコに触れた。

　『くちゅっ』

　ハッキリとした水音が聞こえ、俺の中指がトロみのある体液で濡れた。

　顔を上げると、イケナイコトをしたのが見つかったコドモのような表情の葵と目が合う。

　俺の舌で、指で、こんなに悦んでくれたのだと思うと、愛しさが込み上げ、顔が勝手にニヤけてしまう。

　もっと、狂わせたい。

　唇を重ねながら、

　「すっごい濡れてる」

と言葉で煽った後、葵の脚の間で小さいながらも固く主張する部分を弄り始めた。

　「んっ、んっ、んっ」

　俺の口の中から、葵の声が漏れ聞こえる。

　『んっ』という音は、そこを撫で上げるタイミングで発され、同時に下の口から溢れる蜜が自動的に俺の指の滑りを良くする。

　「気持ち、いい？」

　「あっ…ハァッ」

　かなりイイのか、息も絶え絶えだ。

　でも、まだ。
　もっと、もっと俺を欲して。
　快楽目当てでもいいから、俺を。






　「誰が弄ってる？ちゃんと答えて」

　「ぁ…かちょ、う」

　まさかの『カチョー』呼び。
　これは頂けない。

　「ん？」

　「ひあぁっ」

　ちょっとだけお仕置き気分で、葵の敏感な部分を強めに擦る。
　刺激が強すぎたのか、葵が俺の素肌に爪を立てた。

　葵から与えられるものであれば、痛みさえもキモチいい。

　「ぃ、ゆい…と…んんっ！」

　「そう。真田さんのこと気持ちよくしてるの俺だから、ね？」

　「あ、唯人、あっ…あぁっ…っっ！！」

　下半身を爪先までピンと伸ばしたかと思うと、背中を弓なりに反らし、俺の名前を呼びながら葵は達した。
　仰け反る白い首元には俺がつけたキスマーク。

　最高の眺めだ。

　「…真田さん…イッたの？あーあ、そんな蕩けた顔して」

　汗ばむ肌と立ち上る香りに、ものすごく唆そそられる。

　挿れたい。
　触れてもいないのに、とっくに痛いくらい熱が溜まって来てる。

　けど、もう少し我慢。




　葵を怖がらせないよう、且つソコに集中する神経から意識を逸らすために、葵の身体に当たらないよう注意を払いながらゆっくりキスを重ねる。

　舌を入れると、予想外なことに、拙い舌使いで葵が応えてくれた。
　あぁ…逆効果だったかも。

　まだダメだって。

　「少しは柔らかくなったかな？」

　唇を離し、余裕のある風を装い、葵に膝を立てさせる。

　密にまみれたピンク色の口に、中指よりは細いであろう薬指を慎重に沈めれば、トロリと奥から愛液が溢れ出た。

　滑りは良いけど、めちゃくちゃキツくて狭い。

　「っ、あぁぁっ」

　「やっぱキツ…ほぐしとこうか」

　指を挿れたまま、クルクルと小さな弧を描くと、ちゅぷちゅぷちゅぷ…と卑猥な音で俺を誘う。

　指を小刻みに動かしながら、やわかな太ももの間に顔を埋め、紅い花芽を愛液ごと舐め上げた。

　「あっ、今ダメ、あ…あっ」

　押し出そうとするナカに留まり、浅いところで指を曲げて内壁を擦ると、葵の腰が跳ね、ジュワッと温かい液体が俺の顎を濡らす。

　「あぁっ！？」

　「あ…ココ？溢れて来た。すご…掻き混ぜたら泡立ちそう」

　「んぁっ、ゆい、と…あっ、ハッ、あぁぁぅ」

　少し強目に指と舌で愛で続けると、葵はまた俺の名前を呼びながら達した。

　また愛しさが、こみ上げる。
　葵のこんな姿、絶対他の男になんて見せたくない。

　もうこれ以上待てない。
　葵を、俺の、俺だけのものにー。





　葵が絶頂の余韻で惚けている間に準備を済ませ、下半身を葵の脚の間に割り入れた。

　「真田さん…もういい？」

　自分の切羽詰まった声に苦笑する。

　「…ハァ…ん…でもちょっと、怖…い…」

　「…俺には鉄壁の自制心なんてないから、もうココに入りたくてたまらない」

　葵に真田律のことを考えないで欲しいくせに、つい真田律を意識したセリフを言ってしまう自分に嫌気がさす。

　気を取り直し、愛液の膜で覆われているみたいな脚の付け根に押し付けると、ヌルッと滑った。

　その感触に、早く、早くと本能が急き立てる。

　「も、限界」

　滑らないよう手で固定しながら先端を押し入れようとするも、押し返されてしまう。

　「ぁ…っ」

　「力抜いて…キツ過ぎて入んない」

　「ふ…ぅ…」

　身体を強張らせながらも、従順に俺の言う事を聞こうとする姿にグッとくる。

　「…く…そう…そのまま…」

　「…っ」

　「入った…痛くない？」

　息を止めて、目も瞑ったまま何度も葵が頷く。


　葵が俺に抱かれたくらいじゃ真田律アイツのことを忘れられないことくらい、百も承知だ。

　でもせめて、今、この瞬間だけは。

　さっきから願うことは、一つだけ。

　「ダメだよ、ちゃんと目を開けて。誰のモノが入ってるのかちゃんと見て」

　俺のことだけ見てー。




　泣きそうな顔で結合部を確認した葵は、すぐに顔を背けた。

　そんな初々しい反応をしてみせる癖に、俺を咥えているところは、キュウキュウと締め付け、俺を求めていると錯覚させる。

　言えば後々葵を苦しめることは分かっていた。
　でも、伝えずにはいられなかった。

　「好きだよ、葵」

　言葉にすると、気持ちが一層強くなった。

　これで葵が俺と同じ気持ちなら、どれだけ幸せだったかー。

　満たされない心の空洞を埋めるかのように、身体だけでも、とより深く、より激しく葵を求める。

　「…んぅっ、あっ、あぁっ」

　こちらが早く果てれば、葵の負担が減るのは分かっていた。

　「…っ、葵っ！」

　でも、一秒でも長く繋がってたくて、キツく絡みつく葵に、持って行かれないよう必死に耐える。

　もう、余裕とか、理性なんて欠片も残っていない。

　バカみたいに突き上げては引き抜き、また突き上げるを繰り返すだけ。

　「目、開けて」

　潤んだ瞳に、俺が映る。

　例えようのない感情が込み上げ、喘ぎ声ごと口を貪りながら、腰を振った。

　「…葵…ちゃんと気持ちイイ？」

　「あぁっ、きも…ちぃっ、ゆいっ、唯人ぉっ…！！」

　俺の好きな、甘い声で名前を呼ばれると、一気に昂ぶる。

　そのまま、シーツを掴む葵の手を取り、思い切り奥まで打ち付け続け、薄いゴムの中でドクンッと脈打ち、放った。