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11.帰ってきた場所
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北の塔の前へやってくると、リックはサヨナラの挨拶もなしに、無言のまま城へと帰って行った。
私は言葉を掛けることも出来ず、只見送る事しか出来ない。
怒りは収まっていないようね……はぁ……どうしようかしら……。
昔なら機嫌をとることも出来たけれど……。
私は深いため息をつくと、塔の階段を上り椅子へと腰かける。
そっと窓の外を覗くと、リックの姿はもうみえなくなっていた。
私は紙とペンを取り出すと、いくつかのレストランの名を書き連ねてみる。
リックのことは後で考えるとして、とりあえずは……。
近々ここを追い出されるわ、このレストランから回って、ダメだったらこっちね。
あれやこれやこれからの計画を立てていると、あっという間に日が暮れていた。
湯あみを済ませベッドへダイブすると、眠気が一気に襲ってくる。
眼鏡を棚の上へ置き、そっと顔をあげると、ガラスに映り込む自分の姿をじっと眺めた。
この世界に来てから里咲の面影はなくなり、18歳だったエリザベスそのものに見える。
「何だか不思議な感じ。里咲のはずなのに、リサのようだわ」
頭に浮かんだ言葉を呟いた刹那、ふと焦げたような匂いが鼻孔を擽った。
うん、何かしら……?
ベッドから立ち上がり窓を開けると、下からモクモクと黒煙が昇ってくる。
驚きのあまり窓から乗り出し覗き込んでみると、メラメラと赤い炎に包まれていた。
うそっ、嘘でしょう、火事!?
えっ、どうしましょう、塔の出入り口は炎で真っ赤だわ。
それなら上に上ったほうがいいかしら、いえいえ、ここが最上階だわ。
どうしましょう、窓から飛び降りる……?
高さはマンションの5階と同じぐらい、どう考えても飛び降りるなんて出来ない。
ダメ無理だわ、だけどこのままじゃ……ッッ。
扉の方へ振り返ってみると、隙間から煙が押し寄せていた。
煙がッッ、これじゃ扉からも逃げられない。
だけど窓も無理よね、あぁどうしましょう。
あたふたと慌てふためていると、突然扉が大きく開いた。
黒い煙が中へ入り込む中、慌てて口元を押さえ顔を上げると、そこにリックの姿。
「大丈夫ですか?っっ、えっ、なっ、エリザベス……様?」
彼は大きく目を見開き呟くと固まった。
私は慌てて顔を触ると、いつもかけている眼鏡がない。
寝ようとしていたから外したままだったわ。
まずいと思い眼鏡を手に取るが、時すでに遅し。
ふと彼の後ろから立ち上る黒い煙、階段に薄っすらと赤い炎が目に映った。
混乱し頭が真っ白になる中、取り繕うことなんて出来ない。
「リック、危ないわ!!!」
咄嗟に彼の腕を引き寄せると、ガダガタと大きな音を立てリックが居た場所に太い柱が倒れてきた。
彼をギュッと抱きしめ燃え盛る炎を見つめる中、リックはハッと我に返り、私の腕を掴み強く引き寄せる。
「こちらに非常用の出入り口があります。早く」
リックは私は軽々抱き抱えると、火の手とは逆の方へと走り、梯子を駆け下りていく。
私は必死に彼へしがみつくと、不謹慎にも懐かしい彼の温もりを感じたのだった。
塔から離れ何もない草原まで逃げると、遠くから騒がしい声が微かに耳にとどいた。
そっと顔を上げると、塔周辺は城から近衛騎士が集まり、辺りが騒然とし始める。
ガタガタと音を立てて崩れていく北の塔を、リックの肩越しに眺めていると、彼は私を地面へ下ろし逃がさないと言わんばかりに腕を強く掴み私の瞳を覗き込んだ。
「あなたは……エリザベス様なのですか?」
リックはそっと私の頬へ触れると、顔を見せてと言わんばかりに持ち上げる。
サファイアの瞳に映ったその姿はエリザベスそのもの。
私は思わず目を逸らせると、手にしていた眼鏡をギュッと握りしめた。
私は言葉を掛けることも出来ず、只見送る事しか出来ない。
怒りは収まっていないようね……はぁ……どうしようかしら……。
昔なら機嫌をとることも出来たけれど……。
私は深いため息をつくと、塔の階段を上り椅子へと腰かける。
そっと窓の外を覗くと、リックの姿はもうみえなくなっていた。
私は紙とペンを取り出すと、いくつかのレストランの名を書き連ねてみる。
リックのことは後で考えるとして、とりあえずは……。
近々ここを追い出されるわ、このレストランから回って、ダメだったらこっちね。
あれやこれやこれからの計画を立てていると、あっという間に日が暮れていた。
湯あみを済ませベッドへダイブすると、眠気が一気に襲ってくる。
眼鏡を棚の上へ置き、そっと顔をあげると、ガラスに映り込む自分の姿をじっと眺めた。
この世界に来てから里咲の面影はなくなり、18歳だったエリザベスそのものに見える。
「何だか不思議な感じ。里咲のはずなのに、リサのようだわ」
頭に浮かんだ言葉を呟いた刹那、ふと焦げたような匂いが鼻孔を擽った。
うん、何かしら……?
ベッドから立ち上がり窓を開けると、下からモクモクと黒煙が昇ってくる。
驚きのあまり窓から乗り出し覗き込んでみると、メラメラと赤い炎に包まれていた。
うそっ、嘘でしょう、火事!?
えっ、どうしましょう、塔の出入り口は炎で真っ赤だわ。
それなら上に上ったほうがいいかしら、いえいえ、ここが最上階だわ。
どうしましょう、窓から飛び降りる……?
高さはマンションの5階と同じぐらい、どう考えても飛び降りるなんて出来ない。
ダメ無理だわ、だけどこのままじゃ……ッッ。
扉の方へ振り返ってみると、隙間から煙が押し寄せていた。
煙がッッ、これじゃ扉からも逃げられない。
だけど窓も無理よね、あぁどうしましょう。
あたふたと慌てふためていると、突然扉が大きく開いた。
黒い煙が中へ入り込む中、慌てて口元を押さえ顔を上げると、そこにリックの姿。
「大丈夫ですか?っっ、えっ、なっ、エリザベス……様?」
彼は大きく目を見開き呟くと固まった。
私は慌てて顔を触ると、いつもかけている眼鏡がない。
寝ようとしていたから外したままだったわ。
まずいと思い眼鏡を手に取るが、時すでに遅し。
ふと彼の後ろから立ち上る黒い煙、階段に薄っすらと赤い炎が目に映った。
混乱し頭が真っ白になる中、取り繕うことなんて出来ない。
「リック、危ないわ!!!」
咄嗟に彼の腕を引き寄せると、ガダガタと大きな音を立てリックが居た場所に太い柱が倒れてきた。
彼をギュッと抱きしめ燃え盛る炎を見つめる中、リックはハッと我に返り、私の腕を掴み強く引き寄せる。
「こちらに非常用の出入り口があります。早く」
リックは私は軽々抱き抱えると、火の手とは逆の方へと走り、梯子を駆け下りていく。
私は必死に彼へしがみつくと、不謹慎にも懐かしい彼の温もりを感じたのだった。
塔から離れ何もない草原まで逃げると、遠くから騒がしい声が微かに耳にとどいた。
そっと顔を上げると、塔周辺は城から近衛騎士が集まり、辺りが騒然とし始める。
ガタガタと音を立てて崩れていく北の塔を、リックの肩越しに眺めていると、彼は私を地面へ下ろし逃がさないと言わんばかりに腕を強く掴み私の瞳を覗き込んだ。
「あなたは……エリザベス様なのですか?」
リックはそっと私の頬へ触れると、顔を見せてと言わんばかりに持ち上げる。
サファイアの瞳に映ったその姿はエリザベスそのもの。
私は思わず目を逸らせると、手にしていた眼鏡をギュッと握りしめた。
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