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エリザベート嬢はあきらめない
氷の魔王アフレイド・ノイズ
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魔法騎士団が総力を上げて調べた結果、魔法学教室で女生徒を操っていたのは、サウスパール王国の第二王子派が送り込んだ闇魔法の使い手だとわかった。
奴らは人の心を操る術を得意としている。その女生徒が術に落ちると彼女の魔力を高めた。そして、アンソニーを傷つけるチャンスが来るのを待っていたのだ。
アフレイド・ノイズは常に冷静沈着、的確な判断力と膨大な魔力で問題を解決していく。
魔力を使い相手を倒す時の彼の緑の瞳は「まるで冷たい氷のようで背筋が凍った」と、共に戦った者たちが語る。
魔法騎士団の『氷の魔王』
いつの頃からか、彼はそう呼ばれるようになった。
「魔法騎士団の氷の魔王を動かす事が出来るのは、国王陛下とお嬢様だけ」
騎士団の隊員達は、総団長の娘への溺愛ぶりをこう語る。
今回の魔法学教室での事は、『氷の魔王』のエリザベートへの溺愛ぶりを証明した。
当分の間、社交界では、この話題で持ちきりになりそうだ。
そのアフレイド・ノイズが、本当に『氷の魔王』になってしまったことがある。それは1度めのこと(ゲームの中のこと)だ。
妻マーガレットの事故死の後、彼は全く笑顔を見せなくなる。彼が笑いかけるのは、エリザベートに対してだけだった。
魔法騎士団の隊員や国王陛下にすら氷のような緑の瞳を向ける。
妻を亡くして弱った心を、闇の使い手達が見逃すはずがない。彼の心は闇に囚われて、笑顔を忘れていったのだ。
そんな彼の前に、ヒロインである聖女ロリエッタが現れる。
彼女の癒しの魔法のおかげで、彼は心を取り戻す。
ゲームの中のアフレイドは亡き妻を信頼し愛したように、聖女ロリエッタに心を奪われてしまう。
そして、卒業パーティーの夜、ロリエッタの言葉を信じ、彼女を傷つけたエリザベートを国外に追放するように、国王陛下に進言してしまうのだ。
しかし、今のアフレイド・ノイズは闇に囚われていないし、妻マーガレットも健在だ。
もちろんエリザベートも心優しく育ち、養子のリアムの事も本当の息子のように思っている。
「エリザベート・ノイズ嬢。彼女のおかげで、奴らに学園内で狙われる可能性が少なくなったね。
この学園で騒ぎを起こせば、魔法騎士団のアフレイド・ノイズ総団長が動く。
愛娘が緊急魔法を使っただけで、あれほど敏速に精鋭隊を動かしたんだ。彼女を助ける為なら、彼らは一国でも敵にまわしかねないね。
それに、彼女の義兄のリアム・ノイズ。彼の動きも早かったね。彼女の元に駆けつける早さは、魔法騎士団並みだった。
彼はフェナンシル伯爵の実の息子だ。おそらく彼が本当の跡取りで、精霊王の血族だ。あの半端じゃない魔力がそれを物語っているよ。
この国の中で最も強力な魔力を持つだろう2人が、彼女を助ける為に動くんだ。彼女に何かあれば、それこそ国際問題になりかねないだろうな。
奴らは彼女のいるこの学園では、もう何も仕掛けられないはずだよ。
僕にとって彼女は本当に救いの女神様だよ。本気で欲しくなってきた」
「彼女はアミルダ国王の姪で聖女レティシアの孫娘だし。確かに得難い存在だよ。だからこそ、この国の王家にとっても手放せない存在だろうね。だから・・ダメだよ。殿下」
「だけど自由恋愛なら仕方がないんじゃない?婚約者候補だろ?正式には婚約していないんだし、まだ国際問題にはならないよ」
「僕に面倒な事を押し付けないでよね。アンソニー殿下」
サウスパール王国から来た2人がそんな話をしているとは知らずに、その日の昼休みも中庭の屋根付きテラスで、エリザはウィリアム殿下達と美味しいランチを食べていた。
半年以上前からメンバーにアメリアが入っている。
「我が国の魔法騎士団の実力は大したものだね。事件が起こった翌日には犯人を捕らえて自白までさせているのだから。
さすがアフレイドだと、父上も言っておられたよ。」
「でも怖かったわ。あの枝が真っ直ぐにエリザに向かって飛んで行くのを見た時は」
「アンソニーと2人で、ガーゼル先生に褒められた後だったから、彼は私のすぐ近くに居たの。枝が飛んで来たのは、ずっと前方からだったわ」
「エリザが緊急魔法を使って凶器の枝を跳ね飛ばした直後に、アフレイド様が現れたんだろ?
もうすぐ国民祭だから、そこで披露する模擬戦について、全魔法騎士団を集めて話しておられたそうだ。その話の最中に
「緊急事態が発生した。あとの説明は副団長に任せる。第一部隊は私と共に」
そう言って、魔法騎士団の精鋭の集まりである第一部隊と共に、一瞬にして姿を消したそうだよ」
「僕もそう聞いている」
(お父様、そんなに急いで駆けつけ下さったのね。ありがとう。)
「リアム・ノイズ様についても、情報は入っている。王都学園で午後の授業が始まった直後、
『先生、急用が出来ましたので席をはずします』
彼はそう言って教室を出て行ったそうだよ。
そして、先生の許可を得て廊下に出た直後に、旋風と共に姿を消したらしい。
『失礼して申し訳ありませんでした。用は終わりました』
そう言って彼が教室に戻ってきたのは、廊下に出たわずか数分後だったそうだよ」
「私も父上からそう聞いている」
「エリザ、貴方、守られているわね。
おかげで、私達も、安心してこの学園に通える。感謝してるわ。
それに、魔法騎士団の総団長と、王都学園の次期生徒会長と言われているリアム・ノイズ様が、あんなに敏速に動いてくれたのですもの。悪い奴らにはいい薬になったと思うわ。
そして何より、私は『銀髪の貴公子』リアム・ノイズ様のお顔を拝めただけで満足よ。貴方のお兄様は本当に素敵ね」
「殿下・・」
「エド・・」
アメリアのウットリした表情を見て顔を見合わせる、ウィリアム殿下とエドモンド。
自分達のことも同じようにウットリと、女生徒たちに噂されている事など、考えもしない2人だった。
奴らは人の心を操る術を得意としている。その女生徒が術に落ちると彼女の魔力を高めた。そして、アンソニーを傷つけるチャンスが来るのを待っていたのだ。
アフレイド・ノイズは常に冷静沈着、的確な判断力と膨大な魔力で問題を解決していく。
魔力を使い相手を倒す時の彼の緑の瞳は「まるで冷たい氷のようで背筋が凍った」と、共に戦った者たちが語る。
魔法騎士団の『氷の魔王』
いつの頃からか、彼はそう呼ばれるようになった。
「魔法騎士団の氷の魔王を動かす事が出来るのは、国王陛下とお嬢様だけ」
騎士団の隊員達は、総団長の娘への溺愛ぶりをこう語る。
今回の魔法学教室での事は、『氷の魔王』のエリザベートへの溺愛ぶりを証明した。
当分の間、社交界では、この話題で持ちきりになりそうだ。
そのアフレイド・ノイズが、本当に『氷の魔王』になってしまったことがある。それは1度めのこと(ゲームの中のこと)だ。
妻マーガレットの事故死の後、彼は全く笑顔を見せなくなる。彼が笑いかけるのは、エリザベートに対してだけだった。
魔法騎士団の隊員や国王陛下にすら氷のような緑の瞳を向ける。
妻を亡くして弱った心を、闇の使い手達が見逃すはずがない。彼の心は闇に囚われて、笑顔を忘れていったのだ。
そんな彼の前に、ヒロインである聖女ロリエッタが現れる。
彼女の癒しの魔法のおかげで、彼は心を取り戻す。
ゲームの中のアフレイドは亡き妻を信頼し愛したように、聖女ロリエッタに心を奪われてしまう。
そして、卒業パーティーの夜、ロリエッタの言葉を信じ、彼女を傷つけたエリザベートを国外に追放するように、国王陛下に進言してしまうのだ。
しかし、今のアフレイド・ノイズは闇に囚われていないし、妻マーガレットも健在だ。
もちろんエリザベートも心優しく育ち、養子のリアムの事も本当の息子のように思っている。
「エリザベート・ノイズ嬢。彼女のおかげで、奴らに学園内で狙われる可能性が少なくなったね。
この学園で騒ぎを起こせば、魔法騎士団のアフレイド・ノイズ総団長が動く。
愛娘が緊急魔法を使っただけで、あれほど敏速に精鋭隊を動かしたんだ。彼女を助ける為なら、彼らは一国でも敵にまわしかねないね。
それに、彼女の義兄のリアム・ノイズ。彼の動きも早かったね。彼女の元に駆けつける早さは、魔法騎士団並みだった。
彼はフェナンシル伯爵の実の息子だ。おそらく彼が本当の跡取りで、精霊王の血族だ。あの半端じゃない魔力がそれを物語っているよ。
この国の中で最も強力な魔力を持つだろう2人が、彼女を助ける為に動くんだ。彼女に何かあれば、それこそ国際問題になりかねないだろうな。
奴らは彼女のいるこの学園では、もう何も仕掛けられないはずだよ。
僕にとって彼女は本当に救いの女神様だよ。本気で欲しくなってきた」
「彼女はアミルダ国王の姪で聖女レティシアの孫娘だし。確かに得難い存在だよ。だからこそ、この国の王家にとっても手放せない存在だろうね。だから・・ダメだよ。殿下」
「だけど自由恋愛なら仕方がないんじゃない?婚約者候補だろ?正式には婚約していないんだし、まだ国際問題にはならないよ」
「僕に面倒な事を押し付けないでよね。アンソニー殿下」
サウスパール王国から来た2人がそんな話をしているとは知らずに、その日の昼休みも中庭の屋根付きテラスで、エリザはウィリアム殿下達と美味しいランチを食べていた。
半年以上前からメンバーにアメリアが入っている。
「我が国の魔法騎士団の実力は大したものだね。事件が起こった翌日には犯人を捕らえて自白までさせているのだから。
さすがアフレイドだと、父上も言っておられたよ。」
「でも怖かったわ。あの枝が真っ直ぐにエリザに向かって飛んで行くのを見た時は」
「アンソニーと2人で、ガーゼル先生に褒められた後だったから、彼は私のすぐ近くに居たの。枝が飛んで来たのは、ずっと前方からだったわ」
「エリザが緊急魔法を使って凶器の枝を跳ね飛ばした直後に、アフレイド様が現れたんだろ?
もうすぐ国民祭だから、そこで披露する模擬戦について、全魔法騎士団を集めて話しておられたそうだ。その話の最中に
「緊急事態が発生した。あとの説明は副団長に任せる。第一部隊は私と共に」
そう言って、魔法騎士団の精鋭の集まりである第一部隊と共に、一瞬にして姿を消したそうだよ」
「僕もそう聞いている」
(お父様、そんなに急いで駆けつけ下さったのね。ありがとう。)
「リアム・ノイズ様についても、情報は入っている。王都学園で午後の授業が始まった直後、
『先生、急用が出来ましたので席をはずします』
彼はそう言って教室を出て行ったそうだよ。
そして、先生の許可を得て廊下に出た直後に、旋風と共に姿を消したらしい。
『失礼して申し訳ありませんでした。用は終わりました』
そう言って彼が教室に戻ってきたのは、廊下に出たわずか数分後だったそうだよ」
「私も父上からそう聞いている」
「エリザ、貴方、守られているわね。
おかげで、私達も、安心してこの学園に通える。感謝してるわ。
それに、魔法騎士団の総団長と、王都学園の次期生徒会長と言われているリアム・ノイズ様が、あんなに敏速に動いてくれたのですもの。悪い奴らにはいい薬になったと思うわ。
そして何より、私は『銀髪の貴公子』リアム・ノイズ様のお顔を拝めただけで満足よ。貴方のお兄様は本当に素敵ね」
「殿下・・」
「エド・・」
アメリアのウットリした表情を見て顔を見合わせる、ウィリアム殿下とエドモンド。
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