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エリザベート嬢はあきらめない
精霊の森
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時は聖女ロリエッタのお披露目パーティーまで遡さかのぼる。
もうすぐドリミア王国に瘴気が発生すると、レティシア様は言っておられた。
もし聖女になったロリエッタが瘴気を浄化しなかったら・・出来なかったら・・
その時は私が!
そう思って1人で頑張ってきた。
そんな自分が滑稽こっけいに思える。
「私は、皆さまを、この国を、救いたいのです。信じて頂けませんか?」
人々に心を込めて訴えた。
聖女ロリエッタにも尋ねた。
そんな私に人々やロリエッタは言ったのだ。
「お前なんか要らない。出ていけ!」と。
「私は聖女なのよ?祓えない瘴気なんてないの。貴方が居て何の役に立つと仰るの?」と。
張り詰めていた糸がプツリと切れた。
もう知らない。瘴気の事も魔物の事も。
そんなに言うなら自分達で何とかすれば良い。
過去も現在も含めた、全てのしがらみから解放された。
その気持ちを知ってか知らずか、カイがエリザを連れて来たのは『精霊の森』と呼ばれる場所だった。
「とりあえず『ここ』にやって来た。しばらくは、ゆっくり過ごせば良い」
そう言ってカイは姿を消した。入れ替わるように姿を現せたのはミールだった。
「ここは『精霊の森』よ。貴方を歓迎するわ、エリザ」
「エッ?」
驚いた。『精霊の森』は本当にあったのだ!
幼い頃、お祖母様が話して下さったお伽話には、よく『精霊の森』が出てきた。
その森で出会う精霊達の話を聞くのが楽しくて、同じ話を何度も何度もお願いした。
「お祖母様、エリザもそこに行きたい!」
「ええ、貴方なら行けますよ。エリザ」
ワクワクしながら願いを口にする私に、いつもお祖母様は、そう言って下さった。
(お祖母様、私は今『精霊の森』にいるの。精霊の森は本当にあったわ!)
懐かしい記憶が蘇って、自分の世界に入り込んでいたエリザに、緑の精霊ミールが話しかけてきた。
「エリザ。ここでアイツらをギャフンと言わす方法を考えようよ」
ミールはなんだかワクワクしている。けれど、ごめんなさいミール。私はもう関わるのをやめるわ。もうどうでもいいの。
別に私が慈悲深いわけじゃあないの。その逆かも知れない。
記憶を取り戻してからずっと、乙女ゲーム『王国の聖女ロリエッタ』の悪役令嬢の運命を変える為に頑張ってきた。
『転生』か『元いた世界に戻って来た』のかすら、今の私にはどうでも良く感じる。
王都学園に入学して『聖女ロリエッタ』に出会うのが怖かった。ゲームのような(1度めのような)運命になるのが怖かった。あの、ゾッとするような孤独が怖かった。
けれど、聖女ロリエッタに出会って、彼女も転生者だとわかった時、何かが変わった。
封印が解けた時に入ってきた情報で、1度目の事もはっきり思い出した。その時も私はロリエッタ様にはあまり興味がなかったし、悪意を抱かなかった。
だからミールがいうように、ギャフンと言わす方法を考える気にはなれないのだ。
もう、好きにしてもらえばいい。
それよりも・・『精霊の森』・・
この場所を満喫したい。エリザはワクワクしながらそう思った。その事を伝えるとミールは楽しそうに笑った。
「エリザ、最高だよ。あれだけ挑戦的にエリザを悪女に仕立てている彼女達を、放っておくなんて」
「エッ?そうなの?」
「そうだよ。この状態で相手にもされない聖女様も寂しいね。なんかザマアミロって感じよね」
「ミールったら、大袈裟おおげさね。でも、この森に来てワクワクが止まらないわ」
エリザベートは瞳をキラキラさせながら、緑の精霊と話し込んでいた。
「ヴァイオレットの聖女の慈愛と加護を自ら放棄するとはな。あの国の民の愚かなことよ」
精霊王カイは昨日のパーティーの様子を思い出しながら、エリザを見ていた。
いつの間に現れたのか、カイの隣で闇の精霊テネーブが、興味深そうにエリザベートを見ていた。
もうすぐドリミア王国に瘴気が発生すると、レティシア様は言っておられた。
もし聖女になったロリエッタが瘴気を浄化しなかったら・・出来なかったら・・
その時は私が!
そう思って1人で頑張ってきた。
そんな自分が滑稽こっけいに思える。
「私は、皆さまを、この国を、救いたいのです。信じて頂けませんか?」
人々に心を込めて訴えた。
聖女ロリエッタにも尋ねた。
そんな私に人々やロリエッタは言ったのだ。
「お前なんか要らない。出ていけ!」と。
「私は聖女なのよ?祓えない瘴気なんてないの。貴方が居て何の役に立つと仰るの?」と。
張り詰めていた糸がプツリと切れた。
もう知らない。瘴気の事も魔物の事も。
そんなに言うなら自分達で何とかすれば良い。
過去も現在も含めた、全てのしがらみから解放された。
その気持ちを知ってか知らずか、カイがエリザを連れて来たのは『精霊の森』と呼ばれる場所だった。
「とりあえず『ここ』にやって来た。しばらくは、ゆっくり過ごせば良い」
そう言ってカイは姿を消した。入れ替わるように姿を現せたのはミールだった。
「ここは『精霊の森』よ。貴方を歓迎するわ、エリザ」
「エッ?」
驚いた。『精霊の森』は本当にあったのだ!
幼い頃、お祖母様が話して下さったお伽話には、よく『精霊の森』が出てきた。
その森で出会う精霊達の話を聞くのが楽しくて、同じ話を何度も何度もお願いした。
「お祖母様、エリザもそこに行きたい!」
「ええ、貴方なら行けますよ。エリザ」
ワクワクしながら願いを口にする私に、いつもお祖母様は、そう言って下さった。
(お祖母様、私は今『精霊の森』にいるの。精霊の森は本当にあったわ!)
懐かしい記憶が蘇って、自分の世界に入り込んでいたエリザに、緑の精霊ミールが話しかけてきた。
「エリザ。ここでアイツらをギャフンと言わす方法を考えようよ」
ミールはなんだかワクワクしている。けれど、ごめんなさいミール。私はもう関わるのをやめるわ。もうどうでもいいの。
別に私が慈悲深いわけじゃあないの。その逆かも知れない。
記憶を取り戻してからずっと、乙女ゲーム『王国の聖女ロリエッタ』の悪役令嬢の運命を変える為に頑張ってきた。
『転生』か『元いた世界に戻って来た』のかすら、今の私にはどうでも良く感じる。
王都学園に入学して『聖女ロリエッタ』に出会うのが怖かった。ゲームのような(1度めのような)運命になるのが怖かった。あの、ゾッとするような孤独が怖かった。
けれど、聖女ロリエッタに出会って、彼女も転生者だとわかった時、何かが変わった。
封印が解けた時に入ってきた情報で、1度目の事もはっきり思い出した。その時も私はロリエッタ様にはあまり興味がなかったし、悪意を抱かなかった。
だからミールがいうように、ギャフンと言わす方法を考える気にはなれないのだ。
もう、好きにしてもらえばいい。
それよりも・・『精霊の森』・・
この場所を満喫したい。エリザはワクワクしながらそう思った。その事を伝えるとミールは楽しそうに笑った。
「エリザ、最高だよ。あれだけ挑戦的にエリザを悪女に仕立てている彼女達を、放っておくなんて」
「エッ?そうなの?」
「そうだよ。この状態で相手にもされない聖女様も寂しいね。なんかザマアミロって感じよね」
「ミールったら、大袈裟おおげさね。でも、この森に来てワクワクが止まらないわ」
エリザベートは瞳をキラキラさせながら、緑の精霊と話し込んでいた。
「ヴァイオレットの聖女の慈愛と加護を自ら放棄するとはな。あの国の民の愚かなことよ」
精霊王カイは昨日のパーティーの様子を思い出しながら、エリザを見ていた。
いつの間に現れたのか、カイの隣で闇の精霊テネーブが、興味深そうにエリザベートを見ていた。
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