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第4章 迷い
【37】 充実した日々 オーディンside
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シルヴィの好きなショコラトリーの新作を手に、皇子宮へと帰ってきた。
愛しい人の姿を探して部屋に入ると、応接室のソファで肘掛けに体を預け眠っているのを見つけた。
青みがかったプラチナブロンドが床まで伸びている。真っ直ぐで美しいシルヴィ自身のようなこの髪が私は大好きだ。
いつものことだがシルヴィの姿を見るたびに心臓がトクンとなり呼吸が乱れる。
あぁ…今日も儚げで美しい。
夜着で横たわるシルヴィにブランケットがかけられている。風邪をひかせまいと黒服がかけたのだろうが、その時のことを思うと嫉妬心が芽生える。眠っているシルヴィを見てよいのは私だけだというのに…。
だがその反面かけてくれてよかったとも思う、風邪をひかせるなど以ての外だ。
現在シルヴィにつけている黒服の中でも、この部屋に入れるのは側近中の側近で信頼に値する者たちだ。
私と同じようにシルヴィを大事にし、いざというときは命を投げ出して守ってくれるであろう。
この者たちがいるからこそ、シルヴィ一人での外出も(かろうじて)許せている。
手早く土産の菓子を紐解き、シルヴィの足元に跪く。
先に夕餉と風呂を済ませたシルヴィは、私を待つ間に眠気におそわれたのであろう。
今日はたしかエーリスに導入する予定の鉄道会社へと赴き、完成間近の列車を見てきたはずだ。
沢山の人に会い気疲れしたのだろうな。
眠るシルヴィをいつまでも見ていたいが、早く鈴が転がるような心地良い声を聞きたいし、透き通るような美しい瞳で私を見てほしい。土産のキュベルドンを眠っているシルヴィの唇にそっと押し当てる。
それは三角形の砂糖菓子で中にはとろけるようなミルクチョコが入っているもので、良い香りと唇に触れる感触にシルヴィの美しい睫毛がピクリと揺れた。
ユックリと開くまぶたから、暖かな色の瞳があらわれ私の姿を認めると不思議そうに見つめる。
シルヴィに出会ってから2年と少し…
あの頃よりもしなやかになった体はシュピンカのようで、少しほっそりとした頬は以前の可愛らしさを覆い隠すように美しさを増し妖艶で且つ儚くもあり、この世の生き物とは思えぬほどの神々しさだった。
出会った頃と1ミリも変わらず、いやそれ以上に私はシルヴィに魅入られていた。
瞳を彷徨わせ何かを考えているような表情が私を不安にさせる、早く呼んでくれと願う。
しばらくしてからやっと目を細めニッコリと笑いながら唇の菓子を啄み『おかえり、オーディン』と言ってくれた。
シャクシャクと食べる様が小動物のようで可愛らしく、私は2つ3つと色違いのそれらをシルヴィの口に運ぶ。
『おいしい、オーディンも食べる?』とキュベルドンの箱に伸ばす手を捕え、シルヴィの唇を貪る。
舌を差し込み、シルヴィの舌の上に残る甘くてほろ苦いソレをシルヴィの唾液ごと受け取る。
「ホントだ美味しいね」と唇を解放すると、頬を染め俯いて『バカ』と言った。うっ…可愛すぎて押し倒し抱きたくなるが今宵はシルヴィを抱けない日だった。
この2年間で私達はシルヴィの体に負担をかけすぎず、なおかつ私の欲求をそこそこ満たす性生活を確立していた。
抱いた次の日はお休み。
次の日シルヴィの用事が朝早い時もお休み。
私の帰りが遅くなったときもお休み。
それらをうまく調整して、1日おきにシルヴィを抱くようにしている。
シルヴィを抱き上げベッドへと運ぶ。相変わらず羽が生えてるかのように軽い。
ベッドに入ると【タカハシサン】に抱きついた。いくつものぬいぐるみをプレゼントしているのに眠る時は必ず【タカハシサン】じゃないとダメらしい、抱きつくのにちょうどよいサイズ感なんだそうだ。
ベッドに広がるきらめくプラチナブロンドを手に取り口づける。
眠そうに瞼がおり始める頬に口づけ「おやすみ」と告げた。
襟元からチラリと除く鎖骨に私が授けた所有印が見えた。
首筋など目につく場所につけると怒るので、見えるか見えないかのギリギリのラインを狙ってつけるのが難しい。
一人で行動することが多くなったため心配が尽きないのだ。
黒服によると今日も鉄道会社の重役が握手する際、呆けたようにシルヴィを見て抱きつこうとしたのだとか。
すぐに黒服に取り押さえられたので大事なかったが、握手だけでも許しがたいのに抱きつくなどと…
シルヴィの夢の実現はすぐそこだ。
来年、婚約発表をして再来年には婚礼できるだろう。美しい皇子妃に歓喜する民が目に浮かぶ。
結婚したら一緒に出向く公務以外には外に出さず皇子宮で閉じ込め毎晩抱くのだと今宵も抱きたくなるのを堪えた。
明日どう可愛がろうかと考えながら、今宵は私も自分のベッドで眠りにつこう。
シルヴィに抱かれている【タカハシサン】を憎々しく思いながら私はシルヴィの寝室を後にした。
愛しい人の姿を探して部屋に入ると、応接室のソファで肘掛けに体を預け眠っているのを見つけた。
青みがかったプラチナブロンドが床まで伸びている。真っ直ぐで美しいシルヴィ自身のようなこの髪が私は大好きだ。
いつものことだがシルヴィの姿を見るたびに心臓がトクンとなり呼吸が乱れる。
あぁ…今日も儚げで美しい。
夜着で横たわるシルヴィにブランケットがかけられている。風邪をひかせまいと黒服がかけたのだろうが、その時のことを思うと嫉妬心が芽生える。眠っているシルヴィを見てよいのは私だけだというのに…。
だがその反面かけてくれてよかったとも思う、風邪をひかせるなど以ての外だ。
現在シルヴィにつけている黒服の中でも、この部屋に入れるのは側近中の側近で信頼に値する者たちだ。
私と同じようにシルヴィを大事にし、いざというときは命を投げ出して守ってくれるであろう。
この者たちがいるからこそ、シルヴィ一人での外出も(かろうじて)許せている。
手早く土産の菓子を紐解き、シルヴィの足元に跪く。
先に夕餉と風呂を済ませたシルヴィは、私を待つ間に眠気におそわれたのであろう。
今日はたしかエーリスに導入する予定の鉄道会社へと赴き、完成間近の列車を見てきたはずだ。
沢山の人に会い気疲れしたのだろうな。
眠るシルヴィをいつまでも見ていたいが、早く鈴が転がるような心地良い声を聞きたいし、透き通るような美しい瞳で私を見てほしい。土産のキュベルドンを眠っているシルヴィの唇にそっと押し当てる。
それは三角形の砂糖菓子で中にはとろけるようなミルクチョコが入っているもので、良い香りと唇に触れる感触にシルヴィの美しい睫毛がピクリと揺れた。
ユックリと開くまぶたから、暖かな色の瞳があらわれ私の姿を認めると不思議そうに見つめる。
シルヴィに出会ってから2年と少し…
あの頃よりもしなやかになった体はシュピンカのようで、少しほっそりとした頬は以前の可愛らしさを覆い隠すように美しさを増し妖艶で且つ儚くもあり、この世の生き物とは思えぬほどの神々しさだった。
出会った頃と1ミリも変わらず、いやそれ以上に私はシルヴィに魅入られていた。
瞳を彷徨わせ何かを考えているような表情が私を不安にさせる、早く呼んでくれと願う。
しばらくしてからやっと目を細めニッコリと笑いながら唇の菓子を啄み『おかえり、オーディン』と言ってくれた。
シャクシャクと食べる様が小動物のようで可愛らしく、私は2つ3つと色違いのそれらをシルヴィの口に運ぶ。
『おいしい、オーディンも食べる?』とキュベルドンの箱に伸ばす手を捕え、シルヴィの唇を貪る。
舌を差し込み、シルヴィの舌の上に残る甘くてほろ苦いソレをシルヴィの唾液ごと受け取る。
「ホントだ美味しいね」と唇を解放すると、頬を染め俯いて『バカ』と言った。うっ…可愛すぎて押し倒し抱きたくなるが今宵はシルヴィを抱けない日だった。
この2年間で私達はシルヴィの体に負担をかけすぎず、なおかつ私の欲求をそこそこ満たす性生活を確立していた。
抱いた次の日はお休み。
次の日シルヴィの用事が朝早い時もお休み。
私の帰りが遅くなったときもお休み。
それらをうまく調整して、1日おきにシルヴィを抱くようにしている。
シルヴィを抱き上げベッドへと運ぶ。相変わらず羽が生えてるかのように軽い。
ベッドに入ると【タカハシサン】に抱きついた。いくつものぬいぐるみをプレゼントしているのに眠る時は必ず【タカハシサン】じゃないとダメらしい、抱きつくのにちょうどよいサイズ感なんだそうだ。
ベッドに広がるきらめくプラチナブロンドを手に取り口づける。
眠そうに瞼がおり始める頬に口づけ「おやすみ」と告げた。
襟元からチラリと除く鎖骨に私が授けた所有印が見えた。
首筋など目につく場所につけると怒るので、見えるか見えないかのギリギリのラインを狙ってつけるのが難しい。
一人で行動することが多くなったため心配が尽きないのだ。
黒服によると今日も鉄道会社の重役が握手する際、呆けたようにシルヴィを見て抱きつこうとしたのだとか。
すぐに黒服に取り押さえられたので大事なかったが、握手だけでも許しがたいのに抱きつくなどと…
シルヴィの夢の実現はすぐそこだ。
来年、婚約発表をして再来年には婚礼できるだろう。美しい皇子妃に歓喜する民が目に浮かぶ。
結婚したら一緒に出向く公務以外には外に出さず皇子宮で閉じ込め毎晩抱くのだと今宵も抱きたくなるのを堪えた。
明日どう可愛がろうかと考えながら、今宵は私も自分のベッドで眠りにつこう。
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