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第4章 迷い
【43】 神の居場所
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静謐な森の中をオーディンと歩く。
暫く行くとあの川辺が見える位置まで来た。
ボクは目を細め、ここではない遠い記憶の中の川辺を見る。
「ごめんね…ボクは未来に行くよ」
繋いだ手がギュッと握られる。オーディンの瞳が『本当にいいのか?』と問う。
散々迷ったボクに最大限の嫌、それ以上の譲歩をしてくれたオーディン。
ぼくが迷ったせいで苦しめた償いの気持ちを込めてその腕に縋り付く。
「連れてって…」
今度こそボクは行く、現世もエーリスも捨ててオーディンと二人の未来へと。
石畳を100mも進まないうちにソレは見えてきた。
「こんなに近かったの?」
ビッシリと蔦に覆われた建物。
蔦の隙間から見えるもので、かろうじて大理石造りであろうことが伺えた。
崩折れた扉が時間の流れを現していた。
オーディンに促され、建物の中へと進む。
ところどころ崩れ落ちた天井から差し込む光が、石の床の隙間に生えた雑草を照らす。
窓であったであろう場所にガラスはなく、侵入してきた蔦が内部にもはびこる。
壁にある彫刻も無事なものもあれば、半分崩れているもの様々だった。
ここは古い教会のようだった。尖塔の先に光る十字架が見えた。
「数百年前この山がシアーズ皇国の墓陵になるずっと前に使われていたであろう遺跡教会だそうだ」
オーディンの声が遠くに聞こえる。
ボクはフラフラと誘われるように奥の祭壇らしき場所へと進む。
アウレリア教ではないことがわかる造りで、なぜここまで放置されたかが理解できた。
石の彫刻で作られた7人の神々が祭壇に祀られていて、ここだけ天井が崩れておらず当時の姿をとどめているようだった。
神々に巻き付いている蔦を取り除こうと手を伸ばすが届かない。
腰を抱えられフワリと持ち上げられると手が届いた。持ち上げるオーディンの負担にならないようにとあわてて蔦を取り除く。
見えてきた神の一人の顔が―――
「……こんなところにいたんだ」
聞きたいことがいっぱいあった。
この世界にボクを送り込んだ、あの神ソックリの神がそこにはいた。
だけど今はもう神に聞きたいことはない。
ただ感謝の気持ちを伝えたい。
膝をつき両手を組み合わせキリスト教のような祈りをした。
アウレリア教の聖なる国エーリスの王子なのに…と思わないでもないが、この祈り方がシックリくる気がした。
この世界に送ってくれて、オーディンと出会わせてくれてありがとうございます。
王になって現世に戻るってチャンスをくれたのにゴメンナサイ。
神を見上げるとその声が聞こえた気がした。
勝負は私の勝ちだな って
チョッピリ悔しいけどそのとおりだった。だけど後悔はない。
同じように隣に膝を付き、ボクの腰に手を回す金髪碧眼超絶イケメンワンコが眉を寄せ不安そうにボクを見る。
「ありがとう…散々迷ったし待たせたけど。
オーディン、ボクを…
…ボクを皇子妃にしてください」
オーディンの右手がユックリとボクの髪をかき上げ、後頭部へと回される。
ほんとうに…?と言わんばかりに目を見開く。
ボクは両手をオーディンの背に回し、そのたくましい胸元にポスンと頭を預けた。
オーディンの心臓がうるさいくらいに早鐘を打っていて、ボクの背に回された手が震えてるのを感じた。
遥か遠くから、ボクらの未来を祝福する鐘の音が聞こえた。
暫く行くとあの川辺が見える位置まで来た。
ボクは目を細め、ここではない遠い記憶の中の川辺を見る。
「ごめんね…ボクは未来に行くよ」
繋いだ手がギュッと握られる。オーディンの瞳が『本当にいいのか?』と問う。
散々迷ったボクに最大限の嫌、それ以上の譲歩をしてくれたオーディン。
ぼくが迷ったせいで苦しめた償いの気持ちを込めてその腕に縋り付く。
「連れてって…」
今度こそボクは行く、現世もエーリスも捨ててオーディンと二人の未来へと。
石畳を100mも進まないうちにソレは見えてきた。
「こんなに近かったの?」
ビッシリと蔦に覆われた建物。
蔦の隙間から見えるもので、かろうじて大理石造りであろうことが伺えた。
崩折れた扉が時間の流れを現していた。
オーディンに促され、建物の中へと進む。
ところどころ崩れ落ちた天井から差し込む光が、石の床の隙間に生えた雑草を照らす。
窓であったであろう場所にガラスはなく、侵入してきた蔦が内部にもはびこる。
壁にある彫刻も無事なものもあれば、半分崩れているもの様々だった。
ここは古い教会のようだった。尖塔の先に光る十字架が見えた。
「数百年前この山がシアーズ皇国の墓陵になるずっと前に使われていたであろう遺跡教会だそうだ」
オーディンの声が遠くに聞こえる。
ボクはフラフラと誘われるように奥の祭壇らしき場所へと進む。
アウレリア教ではないことがわかる造りで、なぜここまで放置されたかが理解できた。
石の彫刻で作られた7人の神々が祭壇に祀られていて、ここだけ天井が崩れておらず当時の姿をとどめているようだった。
神々に巻き付いている蔦を取り除こうと手を伸ばすが届かない。
腰を抱えられフワリと持ち上げられると手が届いた。持ち上げるオーディンの負担にならないようにとあわてて蔦を取り除く。
見えてきた神の一人の顔が―――
「……こんなところにいたんだ」
聞きたいことがいっぱいあった。
この世界にボクを送り込んだ、あの神ソックリの神がそこにはいた。
だけど今はもう神に聞きたいことはない。
ただ感謝の気持ちを伝えたい。
膝をつき両手を組み合わせキリスト教のような祈りをした。
アウレリア教の聖なる国エーリスの王子なのに…と思わないでもないが、この祈り方がシックリくる気がした。
この世界に送ってくれて、オーディンと出会わせてくれてありがとうございます。
王になって現世に戻るってチャンスをくれたのにゴメンナサイ。
神を見上げるとその声が聞こえた気がした。
勝負は私の勝ちだな って
チョッピリ悔しいけどそのとおりだった。だけど後悔はない。
同じように隣に膝を付き、ボクの腰に手を回す金髪碧眼超絶イケメンワンコが眉を寄せ不安そうにボクを見る。
「ありがとう…散々迷ったし待たせたけど。
オーディン、ボクを…
…ボクを皇子妃にしてください」
オーディンの右手がユックリとボクの髪をかき上げ、後頭部へと回される。
ほんとうに…?と言わんばかりに目を見開く。
ボクは両手をオーディンの背に回し、そのたくましい胸元にポスンと頭を預けた。
オーディンの心臓がうるさいくらいに早鐘を打っていて、ボクの背に回された手が震えてるのを感じた。
遥か遠くから、ボクらの未来を祝福する鐘の音が聞こえた。
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