44 / 85
3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎
仮想戦闘装置
しおりを挟む
-side リアム-
「こ、こんにちはーーーー!皆さん!リアムと申しますー!よろしくお願いします!」
俺はルーカスの上から町の人たちに向かって、大声で話しかけた。
「ひいいいいいいいい」
「化け物おおおお」
「うわああああん。おかあさあああん」
動揺して空から話しかけた俺に対して、至る所で歓迎の言葉?が聞こえてきてようやく気づいた。あれ?これやらかしてね……?……っと。
「(ル、ルーカス!シルバー!みんな怖がっているみたいから、姿を消して!)」
『了解!』『うむ』
「き、消えた?さっきのは幻か?」
「……!!見ろ、人が飛んでいるぞ!」
ようやくみんなが落ち着いてきて、俺に気づいたところで地面に降り、声をかける。
「こんにちはー!」
とりあえず、何事もなかったように話しかけてみることにした。
「空からこ、子供?ま、待てよ。赤髪の男の子ってまさか……新しい領主様ですか?」
「ええ。この度、この町の領主になりましたリアムと申します!よろしくお願いいたします」
俺は出来るだけ丁寧にお辞儀をする。今の優雅な所作で村人の大半は騙されただろう。完璧な作戦だ。
『なあ。シルバー。あいつの心を読んでみろ。1人でクソ茶番やってるぞ』
『きっと疲れているんだろう。しばらく休んだら戻るからほっとけ』
後ろでシルバーとルーカスがコソコソと話しているが、気にしない。俺が疲れている理由は、大半がお前らのせいだと言いたいが、気にしたら負けだ。
「え、ええ。ところで、さっきのドラゴンはなんだったのでしょうか?」
「はて?そんなものいましたかね?」
『そんなあからさまな惚け方で騙される奴もおるまいて』『それなー!』
無視だ無視。
「で、ですが、私達みたんですよ。空に銀色の大きなドラゴンがいたのを」
「変わったこともありますねー」
うんうん。こうして知らないふりしてゴリ押せば大丈夫。問題ないはずだ。その時、後ろからものすごいスピードで、追いかけてきた人間達がいた。
「リ、リアム!」「リアムー!」
「ヘンリー様。レオン。追いついたんですね!」
「馬鹿か!お前は。ドラゴンに乗って初対面の挨拶する領主がいるか!」
「へ?じゃあ、さっきのドラゴンはやはりリアム様が……」
ちょっ。アンタ父親でしょう。
空気読んでよ父さん。
『空気読まなくても、騙せてなかったから意味ないのお』『それなー!』
俺は、ルーカスとシルバーを無視してヘンリーを強引に掴むと、村人から距離を置いて話す。
--コソッ
「せっかく、知らないふりしてゴリ押せば、大丈夫だし、問題ないと思ったのに何やってるんですか。台無しじゃないですか」
「いや、問題ありまくりだろ。そもそもだ、お前がいくら誤魔化したところで、この近くにいた人たちは衛兵を呼ぶ。きっと徹底的に調査するだろう。どのみちお前の仕業だということは隠せないぞ」
「(ガーン……)そ、そんな。な、なんとかなりませんか?このままじゃ俺、ただの嘘つきで変な領主ってことになるじゃないですか」
「何自分は無罪ですみたいな雰囲気装ってるんだ?変な嘘つき領主ってのは、紛れもない事実だし、もう遅いぞ?既にお前、王宮の新3大問題児にレオンとミラと共に内定してるし」
「そ、そこまで俺の今までの行いって酷かったですかね?」
「自覚なかったのか……」
「ええ……、って新3大ってことは、旧3大もあるのですか?」
「っと……ああ。まあ……ある分にはあるな」
ヘンリー様があからさまに言い淀む。
あ……さてはこれは。
「自分も入っていたんですか。子供は親に似るっていうし仕方がないですね」
「ぐっ。はあ、全く。そんなクソガキ発言ばかりしているといつか生まれるお前の子供に全て仕返しされるぞ」
「大ブーメラン」
「ぐはあ……」
そんな話をしていると、村人たちが声をかけてきた。
「あのお……」
「あ!すみません。ドラゴンを従えていたのは僕ですが、変人ではないので!」
「あ……、いえ、そこはもう疑ってないのですが、新領主様に歓迎会をさせて頂きたいのです」
「歓迎会ですか!?嬉しいです」
「え、ええ。まだ準備が出来ていないので、一旦、領主の館でお寛ぎいただいてから、こちらからお伺いさせて頂きたいと思うのですが、よろしいでしょうか」
「かしこまりました!ぜひお願いいたします!」
こうして、俺らは宿に案内され、一旦くつろぐことにした。
『なあ、聞いたかよ?今さらっと、“変人なのはもう疑ってないのです”って大人な対応で言われてやんの。日頃の行いが出たな』
ルーカスうるさい。
その発言は無視できん。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
その後、宿に着いた。中に入るや否や、レオンとヘンリーが話し出す。
「お、ここ、仮想戦闘装置があるのか!いいな」
「おお。それはいいな。ヘンリー様。早速手合わせ願いたい」
なにやら、戦闘狂の2人が広間の方を指差して話をしている。
「仮想戦闘装置?」
「ああ。そうか、リアムはまだ学園に行ってないもんな。仮想戦闘装置はな、戦闘の練習に使う訓練装置だ。仮想戦闘装置に入って戦うと、魔力によってプレーヤーの疑似身体が作られ、戦闘によって与えられたダメージが直接自分の体にいかないようになるんだ」
「ふーん」
バトルものでよくある戦闘練習マシーンか。面白そうだ。
「どうせなら、リアムもやってみるか?」
「お、それはいいな!父親になった身としてお前の力量を測りたい。着いてきなさい」
「え?」
断る間も無く、ヘンリーに無理矢理広間の方へ連れて行かれる。
なんも準備もないまま、いきなり戦うことになってしまっていた。
----------------------------
「こ、こんにちはーーーー!皆さん!リアムと申しますー!よろしくお願いします!」
俺はルーカスの上から町の人たちに向かって、大声で話しかけた。
「ひいいいいいいいい」
「化け物おおおお」
「うわああああん。おかあさあああん」
動揺して空から話しかけた俺に対して、至る所で歓迎の言葉?が聞こえてきてようやく気づいた。あれ?これやらかしてね……?……っと。
「(ル、ルーカス!シルバー!みんな怖がっているみたいから、姿を消して!)」
『了解!』『うむ』
「き、消えた?さっきのは幻か?」
「……!!見ろ、人が飛んでいるぞ!」
ようやくみんなが落ち着いてきて、俺に気づいたところで地面に降り、声をかける。
「こんにちはー!」
とりあえず、何事もなかったように話しかけてみることにした。
「空からこ、子供?ま、待てよ。赤髪の男の子ってまさか……新しい領主様ですか?」
「ええ。この度、この町の領主になりましたリアムと申します!よろしくお願いいたします」
俺は出来るだけ丁寧にお辞儀をする。今の優雅な所作で村人の大半は騙されただろう。完璧な作戦だ。
『なあ。シルバー。あいつの心を読んでみろ。1人でクソ茶番やってるぞ』
『きっと疲れているんだろう。しばらく休んだら戻るからほっとけ』
後ろでシルバーとルーカスがコソコソと話しているが、気にしない。俺が疲れている理由は、大半がお前らのせいだと言いたいが、気にしたら負けだ。
「え、ええ。ところで、さっきのドラゴンはなんだったのでしょうか?」
「はて?そんなものいましたかね?」
『そんなあからさまな惚け方で騙される奴もおるまいて』『それなー!』
無視だ無視。
「で、ですが、私達みたんですよ。空に銀色の大きなドラゴンがいたのを」
「変わったこともありますねー」
うんうん。こうして知らないふりしてゴリ押せば大丈夫。問題ないはずだ。その時、後ろからものすごいスピードで、追いかけてきた人間達がいた。
「リ、リアム!」「リアムー!」
「ヘンリー様。レオン。追いついたんですね!」
「馬鹿か!お前は。ドラゴンに乗って初対面の挨拶する領主がいるか!」
「へ?じゃあ、さっきのドラゴンはやはりリアム様が……」
ちょっ。アンタ父親でしょう。
空気読んでよ父さん。
『空気読まなくても、騙せてなかったから意味ないのお』『それなー!』
俺は、ルーカスとシルバーを無視してヘンリーを強引に掴むと、村人から距離を置いて話す。
--コソッ
「せっかく、知らないふりしてゴリ押せば、大丈夫だし、問題ないと思ったのに何やってるんですか。台無しじゃないですか」
「いや、問題ありまくりだろ。そもそもだ、お前がいくら誤魔化したところで、この近くにいた人たちは衛兵を呼ぶ。きっと徹底的に調査するだろう。どのみちお前の仕業だということは隠せないぞ」
「(ガーン……)そ、そんな。な、なんとかなりませんか?このままじゃ俺、ただの嘘つきで変な領主ってことになるじゃないですか」
「何自分は無罪ですみたいな雰囲気装ってるんだ?変な嘘つき領主ってのは、紛れもない事実だし、もう遅いぞ?既にお前、王宮の新3大問題児にレオンとミラと共に内定してるし」
「そ、そこまで俺の今までの行いって酷かったですかね?」
「自覚なかったのか……」
「ええ……、って新3大ってことは、旧3大もあるのですか?」
「っと……ああ。まあ……ある分にはあるな」
ヘンリー様があからさまに言い淀む。
あ……さてはこれは。
「自分も入っていたんですか。子供は親に似るっていうし仕方がないですね」
「ぐっ。はあ、全く。そんなクソガキ発言ばかりしているといつか生まれるお前の子供に全て仕返しされるぞ」
「大ブーメラン」
「ぐはあ……」
そんな話をしていると、村人たちが声をかけてきた。
「あのお……」
「あ!すみません。ドラゴンを従えていたのは僕ですが、変人ではないので!」
「あ……、いえ、そこはもう疑ってないのですが、新領主様に歓迎会をさせて頂きたいのです」
「歓迎会ですか!?嬉しいです」
「え、ええ。まだ準備が出来ていないので、一旦、領主の館でお寛ぎいただいてから、こちらからお伺いさせて頂きたいと思うのですが、よろしいでしょうか」
「かしこまりました!ぜひお願いいたします!」
こうして、俺らは宿に案内され、一旦くつろぐことにした。
『なあ、聞いたかよ?今さらっと、“変人なのはもう疑ってないのです”って大人な対応で言われてやんの。日頃の行いが出たな』
ルーカスうるさい。
その発言は無視できん。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
その後、宿に着いた。中に入るや否や、レオンとヘンリーが話し出す。
「お、ここ、仮想戦闘装置があるのか!いいな」
「おお。それはいいな。ヘンリー様。早速手合わせ願いたい」
なにやら、戦闘狂の2人が広間の方を指差して話をしている。
「仮想戦闘装置?」
「ああ。そうか、リアムはまだ学園に行ってないもんな。仮想戦闘装置はな、戦闘の練習に使う訓練装置だ。仮想戦闘装置に入って戦うと、魔力によってプレーヤーの疑似身体が作られ、戦闘によって与えられたダメージが直接自分の体にいかないようになるんだ」
「ふーん」
バトルものでよくある戦闘練習マシーンか。面白そうだ。
「どうせなら、リアムもやってみるか?」
「お、それはいいな!父親になった身としてお前の力量を測りたい。着いてきなさい」
「え?」
断る間も無く、ヘンリーに無理矢理広間の方へ連れて行かれる。
なんも準備もないまま、いきなり戦うことになってしまっていた。
----------------------------
68
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる