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3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎
バレない方法
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-side リアム-
その後、大量にあった財務諸表をいい感じに分類して整理整頓を終えたので、ヘンリーとレオンに報告に行く事にした。
「ふむ。高所得者層が治める税金が中所得者と低所得者に比べて少なすぎる……と。こうもしっかり分かりやすく分類されて言われるとそうだなあ」
「確かに。しかし、そんなのよくわかったな。まさか、そんな方法があったなんて目から鱗だ」
ヘンリーとレオンは驚いた表情をしている。今の反応を見るに、この世界には累進課税制度とかなさそうだな。
「金持ちから、税金を取るって発想は普通ではないの?」
「普通では無いな」「うん」
「なんで?」
「だって、価値のある人間に特権を与えて優遇することなんて、普通のことだろ?」
「………」
思わず絶句してしまった。そもそも、税逃れという発想すらないのかもしれない。
またまたダークな話になってしまうが、確かに、貴族制のある社会において、一人一人の価値はある程度しっかり決まっている。
ざっくり、奴隷より、平民の方が価値が高いし、平民より、貴族の方が価値が高い。
さらに、貴族の中でも明確な序列がある。
まあ貴族でも、ポンコツ貴族は有能平民より大事にはされないので、絶対そうであると言いきるはできないが。
イメージとしては、実力社会が浸透して、極端に格差がある社会というところか。
ここに来て3ヶ月だが、そういうことを結構ヒシヒシと感じる。
Sランク冒険者や精霊使い、すごい発明をした人間などの、変えが効かない人材はとことん大事に扱われるし、そうで無い人には結構厳しい世界であるということを。
今、俺が、ここまで優遇されているのは裏を返せば、大切に扱われる側の人間だから恩恵を被っているとも言える。
まあでも。
『それはそれ、これはこれだのう』
『そうだな!いくら優秀だからと言って、特権を与えて税金を払わなくていいようにしているのはおかしいだろ』
あ、セリフ泥棒発見。
1番大事なセリフ取られた。
『”セリフ泥棒、みんなでやれば、珍茶番“
という昔の人の格言があるからな!』
そんな使い所のないニッチな迷言が後世に残ってたまるか。むしろそれ、言った本人にとってただの黒歴史だから後世に残すのやめてやれ。
「……。うーん。俺は高所得者層の更なる課税には反対かな」
「……?なんで、レオン?……ってそっか。レオンも高所得者層の人間だもんね」
「阿呆。そういう理由じゃねえよ。単純にな、ここの土地から高所得者層が出て行くことを懸念してだよ」
「……?」
「前にも言っただろ?ここの土地は飯も美味しくて、豊かな土地だって」
「うん」
「そのおかげでな。ここの土地は高所得者層に人気なんだ。気候が良くて、治安もそこまで悪くない、美味しいものがあるからな。わざわざ、ここに拠点を置いてくれている金持ちが沢山いるんだぜ?無論、その人たちもしっかりと住民税を納めてくれている」
『ほー』
どうやら、高所得者層からお金を取る方法は住民税だけらしい。財務諸表を見る限り、高所得者層が多いから、住民税だけでも、かなり町の財政に貢献しているようだ。
外を見渡しても大きな屋敷が結構沢山あるもんなー。高所得者層が多いという何よりの証拠だろう。
「それがだ。ここの税金を上げると、その高所得者層の人達が他のところに移住してしまう可能性がある」
「……」
「そうなると、高所得者の世話係などの仕事が無くなった平民たちの生活が苦しくなる。
職を失う人が多く出て、結果的に、もっと状況が悪くなると思うぞ」
「あと、高所得者は平民とは違って住む場所を結構ころころ変える。それこそ、定住に重きを置いていない高ランク冒険者の家なんて、税金が上がったと聞いたら速攻で税金の安いところに移転すると思うぞ」
なるほど。財力もある人たちは、税金を取られないように領地外に逃げて、節税をするという感じか。これは、思ったよりも対策を立てにくい問題かもしれないな。
「あの……時間をください。もう一度、考えてみてもいいですか?」
「ああ。俺たちの言っていることが正しいとは限らないからな。思う存分悩みなさい。お前の領地だし、お前が責任を持って政策を実行するんだ」
「う、うん」
俺の意思決定によって100万人の運命が左右される。そう考えるとハードゲームだ。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「はあ、それにしても何かいいやり方ないかな。高所得者層が無意識に払ってしまうような税金は」
『そんなの。あったらみんなやってるだろ』
「だよなー」
『そうだのう。生活に根付いた税金というのはバレにくいとは思うがのう』
「ほーー。……。生活に根付いた税金というと消費税か。あ、そうだ。その手があったか」
『『……?』』
「消費税導入して無意識に金を落としてもらえば、いいだけだった。そうしたら、税逃れを減らせる」
そう、消費税は税逃れしにくい最強税金の一つである。基本主導権が、個人にはないからだ。金持ちだろうが、貧乏人だとか関係なく、支払わないといけない数少ない税金である。そして、必然的に一般庶民よりも、高い買い物ばかりする高所得者層には結構効果抜群の税金だったりする。
「ククク……これは、いいことを思いついたぞ。問題は、どうやってみんなを騙すかだな」
『お、おう?なんか分からんが、お主もわるよのお』
いや、悪代官ではないよ。俺は。
『説得力ないのう。その顔』『それなー』
「……」
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その後、大量にあった財務諸表をいい感じに分類して整理整頓を終えたので、ヘンリーとレオンに報告に行く事にした。
「ふむ。高所得者層が治める税金が中所得者と低所得者に比べて少なすぎる……と。こうもしっかり分かりやすく分類されて言われるとそうだなあ」
「確かに。しかし、そんなのよくわかったな。まさか、そんな方法があったなんて目から鱗だ」
ヘンリーとレオンは驚いた表情をしている。今の反応を見るに、この世界には累進課税制度とかなさそうだな。
「金持ちから、税金を取るって発想は普通ではないの?」
「普通では無いな」「うん」
「なんで?」
「だって、価値のある人間に特権を与えて優遇することなんて、普通のことだろ?」
「………」
思わず絶句してしまった。そもそも、税逃れという発想すらないのかもしれない。
またまたダークな話になってしまうが、確かに、貴族制のある社会において、一人一人の価値はある程度しっかり決まっている。
ざっくり、奴隷より、平民の方が価値が高いし、平民より、貴族の方が価値が高い。
さらに、貴族の中でも明確な序列がある。
まあ貴族でも、ポンコツ貴族は有能平民より大事にはされないので、絶対そうであると言いきるはできないが。
イメージとしては、実力社会が浸透して、極端に格差がある社会というところか。
ここに来て3ヶ月だが、そういうことを結構ヒシヒシと感じる。
Sランク冒険者や精霊使い、すごい発明をした人間などの、変えが効かない人材はとことん大事に扱われるし、そうで無い人には結構厳しい世界であるということを。
今、俺が、ここまで優遇されているのは裏を返せば、大切に扱われる側の人間だから恩恵を被っているとも言える。
まあでも。
『それはそれ、これはこれだのう』
『そうだな!いくら優秀だからと言って、特権を与えて税金を払わなくていいようにしているのはおかしいだろ』
あ、セリフ泥棒発見。
1番大事なセリフ取られた。
『”セリフ泥棒、みんなでやれば、珍茶番“
という昔の人の格言があるからな!』
そんな使い所のないニッチな迷言が後世に残ってたまるか。むしろそれ、言った本人にとってただの黒歴史だから後世に残すのやめてやれ。
「……。うーん。俺は高所得者層の更なる課税には反対かな」
「……?なんで、レオン?……ってそっか。レオンも高所得者層の人間だもんね」
「阿呆。そういう理由じゃねえよ。単純にな、ここの土地から高所得者層が出て行くことを懸念してだよ」
「……?」
「前にも言っただろ?ここの土地は飯も美味しくて、豊かな土地だって」
「うん」
「そのおかげでな。ここの土地は高所得者層に人気なんだ。気候が良くて、治安もそこまで悪くない、美味しいものがあるからな。わざわざ、ここに拠点を置いてくれている金持ちが沢山いるんだぜ?無論、その人たちもしっかりと住民税を納めてくれている」
『ほー』
どうやら、高所得者層からお金を取る方法は住民税だけらしい。財務諸表を見る限り、高所得者層が多いから、住民税だけでも、かなり町の財政に貢献しているようだ。
外を見渡しても大きな屋敷が結構沢山あるもんなー。高所得者層が多いという何よりの証拠だろう。
「それがだ。ここの税金を上げると、その高所得者層の人達が他のところに移住してしまう可能性がある」
「……」
「そうなると、高所得者の世話係などの仕事が無くなった平民たちの生活が苦しくなる。
職を失う人が多く出て、結果的に、もっと状況が悪くなると思うぞ」
「あと、高所得者は平民とは違って住む場所を結構ころころ変える。それこそ、定住に重きを置いていない高ランク冒険者の家なんて、税金が上がったと聞いたら速攻で税金の安いところに移転すると思うぞ」
なるほど。財力もある人たちは、税金を取られないように領地外に逃げて、節税をするという感じか。これは、思ったよりも対策を立てにくい問題かもしれないな。
「あの……時間をください。もう一度、考えてみてもいいですか?」
「ああ。俺たちの言っていることが正しいとは限らないからな。思う存分悩みなさい。お前の領地だし、お前が責任を持って政策を実行するんだ」
「う、うん」
俺の意思決定によって100万人の運命が左右される。そう考えるとハードゲームだ。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「はあ、それにしても何かいいやり方ないかな。高所得者層が無意識に払ってしまうような税金は」
『そんなの。あったらみんなやってるだろ』
「だよなー」
『そうだのう。生活に根付いた税金というのはバレにくいとは思うがのう』
「ほーー。……。生活に根付いた税金というと消費税か。あ、そうだ。その手があったか」
『『……?』』
「消費税導入して無意識に金を落としてもらえば、いいだけだった。そうしたら、税逃れを減らせる」
そう、消費税は税逃れしにくい最強税金の一つである。基本主導権が、個人にはないからだ。金持ちだろうが、貧乏人だとか関係なく、支払わないといけない数少ない税金である。そして、必然的に一般庶民よりも、高い買い物ばかりする高所得者層には結構効果抜群の税金だったりする。
「ククク……これは、いいことを思いついたぞ。問題は、どうやってみんなを騙すかだな」
『お、おう?なんか分からんが、お主もわるよのお』
いや、悪代官ではないよ。俺は。
『説得力ないのう。その顔』『それなー』
「……」
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