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3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎
脳筋は伝染する
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-side リアム-
「ああ、そういうことだから、そうだな」
「うむ。じゃあ、そ、そういうことで」
「ええ、わかりました。というわけで、そういうことでよろしくお願いします」
『いや、何度聞いてもどういうことかわかんねーよ。俺は、“ふーん、そうなんだ。”と分かった風にしていただけだけど、お前らにはわかったってことか?』
((……。実は、俺らも全く良くわかんねえ。
だから、陛下にまる投げた))
『なるほど。つまり主人殿は興奮気味に熱弁していたが、完全に素通りされていたと言うわけか。ま、今回に関しては我も昨日説明されて分からなかったので、仕方ないのう。とりあえず、“そういうことか!”と頷いといたが』
『お、おう。つまり、リアム以外みんなして“そういうことか”と知ったか茶番していた訳か。逆にすげえなこの状況』
消費税については、国王の判断を待て、とのことだったのでひとまず決着がついた。
もしこれが、成功したら税収もウハウハなので、国王には是非許可していただきたいところだ。絶対王政だと、国王の許可さえ取れればある程度自由にできるので、権力者側が税金を導入しやすかったりする。
まあ、そのせいで重税に悩むこともあるが、そう言う時は大体が権力者側が暴走できる環境が整ってしまった国の末期で、通常は滅多にない。
「さて、そんなことよりだ。リアム。コネ作りのため、新領主就任式をこの地域の有力者に向けて行わなければならない。というわけで、来週あたりにパーティを開くことになってる」
「え……?」
またこの人は……いきなりだなあ。
「大丈夫だ。今回は俺の知り合いで仲のいい奴しか呼んでない。マナー違反するような、変な人はいないから安心していい」
確かにをの配慮はありがたいけど、そういう問題じゃないんだよな。
「パーティを開催しないことって、できませんか?」
「お。なぜだ?うまい飯沢山食えるのに。なにせ、この地域の有力者がお前のために、一流の品々を提供するんだからな」
「やっぱ、行きます」
「おう」
『手のひら返し早ええな』
『町に餌付けされているのう』
祭りの時には美味しいものも沢山出てきた。この町は、漁港があるため新鮮な魔魚も取れるし、気候がいいから新鮮な野菜も豊富。ダンジョンもあるらしいから、新鮮な魔物の肉も手に入るのだ。
炙りホワイトサーモンや、ブラックシュリンプの串焼き、焼きトウモロコシなど、王都で食べたような、シェフが作ったガチガチに凝ったメニューではないが、素材の味を全面に活かした庶民グルメがたまらなく美味しかった。
確かに、あの料理を食べれば、多くの高所得者がこの町を拠点にしたくなる気持ちがとてもよくわかるというものだ。
今回は、有力者が来ると言う話なので、また違った料理が楽しめるのだろう。
それこそ厳選された最上級品質の食材で作られた最高級料理を。
「今から、パーティに向けてワクワクが止まらないな!」
「その調子だ、リアム。飯のためならどんな大変なレッスンでも乗り越えてパーティに参加できるだろう?」
「はい!なんか、今ならなんでもできる気がします!」
「うむ。では、家庭教師を午後から招いてあるから、飯のために頑張るのだぞ」
「分かりました!」
根拠のない自信と共に俺は、ヘンリーが用意した家庭教師にパーティに必要なことをたたき込んでもらうことにした。
『いつになく熱血だな。ヘンリーの脳筋が伝染していると言う可能性に1票』
『奇遇だな。ワシも1票だ』
俺は脳筋ではない。
周りが見えてないだけだ。
『お前……小学生でももっとマシな言い訳するぞ脳筋』
ぐう……反論が思いつかないな。
あれ?なんか言い合いに弱くなっているような?気のせいだろうか?
『……』
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「というわけで、以上がパーティのマナーになります。では、やってみてください。………そうです!お上手。お礼の角度は必ず、30度です。目線は下を向きすぎないように。………あ、そこ違います。背筋は丸まらず、胸は開いたままです。………だから、30度だって言ってるでしょう!」
Vサインの角度は30度だったら出来るんだけどな。って、ふざけている場合ではないな。
正直マナー教室というのを舐めていた。
先生の笑顔と褒め言葉。そして、怒る時に急に豹変する謎の二重人格。
だんだん、怖く思えてきた。しかも、適度に心を揺さぶるってくる感じが怖すぎる。
「は、はい。頑張ります!」
「頑張るのはいいです。体で覚えて、結果を見せてください。結局はパーティの時に出来なかったら恥をかくのはあなたなのです。早くできるようになりましょう」
「は、はい。ごめんなさい!」
ヒイイ……。この先生、スパルタ……。
流石はマナー教室を任せられるだけある。
とてもきっちりした先生だ。
『賭けは俺の勝ちだな。次回の狩りは俺が行くぞ』
『ぐぬぬ……仕方あるまい。いくら、リアムがフラグをたてるのが上手いからといって、流石にこれくらいのことで根を上げるとは思っていなかったのう』
2人が俺のことを使って賭けをしていたらしい。ごめん、シルバー。負けさせて。
……って何で俺はこんな謝ってるんだ?
「ぼさっと、しない!さっさと動く!」
「は、はい。ごめんなさああい!」
----------------------------
「ああ、そういうことだから、そうだな」
「うむ。じゃあ、そ、そういうことで」
「ええ、わかりました。というわけで、そういうことでよろしくお願いします」
『いや、何度聞いてもどういうことかわかんねーよ。俺は、“ふーん、そうなんだ。”と分かった風にしていただけだけど、お前らにはわかったってことか?』
((……。実は、俺らも全く良くわかんねえ。
だから、陛下にまる投げた))
『なるほど。つまり主人殿は興奮気味に熱弁していたが、完全に素通りされていたと言うわけか。ま、今回に関しては我も昨日説明されて分からなかったので、仕方ないのう。とりあえず、“そういうことか!”と頷いといたが』
『お、おう。つまり、リアム以外みんなして“そういうことか”と知ったか茶番していた訳か。逆にすげえなこの状況』
消費税については、国王の判断を待て、とのことだったのでひとまず決着がついた。
もしこれが、成功したら税収もウハウハなので、国王には是非許可していただきたいところだ。絶対王政だと、国王の許可さえ取れればある程度自由にできるので、権力者側が税金を導入しやすかったりする。
まあ、そのせいで重税に悩むこともあるが、そう言う時は大体が権力者側が暴走できる環境が整ってしまった国の末期で、通常は滅多にない。
「さて、そんなことよりだ。リアム。コネ作りのため、新領主就任式をこの地域の有力者に向けて行わなければならない。というわけで、来週あたりにパーティを開くことになってる」
「え……?」
またこの人は……いきなりだなあ。
「大丈夫だ。今回は俺の知り合いで仲のいい奴しか呼んでない。マナー違反するような、変な人はいないから安心していい」
確かにをの配慮はありがたいけど、そういう問題じゃないんだよな。
「パーティを開催しないことって、できませんか?」
「お。なぜだ?うまい飯沢山食えるのに。なにせ、この地域の有力者がお前のために、一流の品々を提供するんだからな」
「やっぱ、行きます」
「おう」
『手のひら返し早ええな』
『町に餌付けされているのう』
祭りの時には美味しいものも沢山出てきた。この町は、漁港があるため新鮮な魔魚も取れるし、気候がいいから新鮮な野菜も豊富。ダンジョンもあるらしいから、新鮮な魔物の肉も手に入るのだ。
炙りホワイトサーモンや、ブラックシュリンプの串焼き、焼きトウモロコシなど、王都で食べたような、シェフが作ったガチガチに凝ったメニューではないが、素材の味を全面に活かした庶民グルメがたまらなく美味しかった。
確かに、あの料理を食べれば、多くの高所得者がこの町を拠点にしたくなる気持ちがとてもよくわかるというものだ。
今回は、有力者が来ると言う話なので、また違った料理が楽しめるのだろう。
それこそ厳選された最上級品質の食材で作られた最高級料理を。
「今から、パーティに向けてワクワクが止まらないな!」
「その調子だ、リアム。飯のためならどんな大変なレッスンでも乗り越えてパーティに参加できるだろう?」
「はい!なんか、今ならなんでもできる気がします!」
「うむ。では、家庭教師を午後から招いてあるから、飯のために頑張るのだぞ」
「分かりました!」
根拠のない自信と共に俺は、ヘンリーが用意した家庭教師にパーティに必要なことをたたき込んでもらうことにした。
『いつになく熱血だな。ヘンリーの脳筋が伝染していると言う可能性に1票』
『奇遇だな。ワシも1票だ』
俺は脳筋ではない。
周りが見えてないだけだ。
『お前……小学生でももっとマシな言い訳するぞ脳筋』
ぐう……反論が思いつかないな。
あれ?なんか言い合いに弱くなっているような?気のせいだろうか?
『……』
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「というわけで、以上がパーティのマナーになります。では、やってみてください。………そうです!お上手。お礼の角度は必ず、30度です。目線は下を向きすぎないように。………あ、そこ違います。背筋は丸まらず、胸は開いたままです。………だから、30度だって言ってるでしょう!」
Vサインの角度は30度だったら出来るんだけどな。って、ふざけている場合ではないな。
正直マナー教室というのを舐めていた。
先生の笑顔と褒め言葉。そして、怒る時に急に豹変する謎の二重人格。
だんだん、怖く思えてきた。しかも、適度に心を揺さぶるってくる感じが怖すぎる。
「は、はい。頑張ります!」
「頑張るのはいいです。体で覚えて、結果を見せてください。結局はパーティの時に出来なかったら恥をかくのはあなたなのです。早くできるようになりましょう」
「は、はい。ごめんなさい!」
ヒイイ……。この先生、スパルタ……。
流石はマナー教室を任せられるだけある。
とてもきっちりした先生だ。
『賭けは俺の勝ちだな。次回の狩りは俺が行くぞ』
『ぐぬぬ……仕方あるまい。いくら、リアムがフラグをたてるのが上手いからといって、流石にこれくらいのことで根を上げるとは思っていなかったのう』
2人が俺のことを使って賭けをしていたらしい。ごめん、シルバー。負けさせて。
……って何で俺はこんな謝ってるんだ?
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「は、はい。ごめんなさああい!」
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