58 / 85
3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎
パーティ内での役割
しおりを挟む
-side リアム-
「手はず通り、レオンが前衛、リアムが中衛、俺が後衛だ」
「うん」「了解」
俺の、実の父親であり、このパーティのリーダーであるヘンリーが確認をとる。
やっぱり、カリスマ性もあるなこの人。
「普段は頼りないけど、流石、戦争の最高司令官を任されるだけはあるよね」
「えっ!?俺頼りないの?」
「あっ」
「ヘンリー様。一応俺や他人という選択肢がある中で、迷わず自分だと思った--そういうところですよ。心の弱さっていうのは」
「ごもっともだね」
「ぐはっ……!」
俺たちのパーティは、レオンが暴れて、俺とヘンリーでフォローするというのが最善だろうということになった。オールラウンダーのレオンを生かすためである。まあ、ぶっちゃけ、本気の実戦になった時、俺が入れる余地があるのかは、本当に分からない。
前に仮想戦闘装置でヘンリー様とタイマンした時、体がブレて見えていたからな。
危ないから、[食の大賢者]が発動している状態では戦った事はないけれど、発動していても、目で追うのが精一杯な気もする。
実戦で使い物にならないし、連携も取れないだろう。
もしかしたら、ステータス的な何かが上がらないと、目で追えるようにならない仕組みなのかもしれないな。
そういうわけで、もし、2人が全力で戦う場面が来るとしたら、俺は一旦、[絶対食堂領域]にルーカスと逃げ込み、中で寝ているシルバーに助けを求めるつもりだ。
まあ、ルーカスが“この世界で俺に勝てる奴なんていない”と大口叩いていたから、シルバーに頼るまでもなく、いざとなったら彼が片付けるだろう……と信じている。
「それにしても、これうまいなあ。揚げた魚とじゃがいも、最強コンビだ」
「ああ。冒険前にはちょうど良いな。肉みたいに、重すぎないのも良い」
「好評で良かった。初めて作ったから不安ではあったんだよね」
今日作ったのは、イギリス名物フィッシュアンドチップスである。
新鮮な魚をサクッと揚げる、中はふわふわ外はサクサクで美味しいというのが特徴だ。
天ぷらに近いが、もう少しジャンクで、こちらだと屋台とかでよく売っている。
作り方は、まず、タラに塩胡椒をしておき、薄力粉、片栗粉、ベーキングパウダーを混ぜておき、揚げ始める前にビールを入れてサクッと揚げる。
チップスの方は--、まあ冷凍食品をタラ一緒に揚げるので大丈夫だろうと思って、そうした。
決して面倒だからというわけではないこともない。ただ、満足度はそんなに変わらないわけで……誰に対して言い訳しているのだろうか?
こういう時に自分って思うのが俺の心の弱さなのだろうか?いや、それは絶対違うな。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「ここからか。気を引き締めろよ。なんせ、人間があまり入ら無いところだ。どんな危険がありかも分からないからな」
「はい」「おう」
世界樹があるのは、通称“精霊の森”と呼ばれる場所だ。
上に登って、下を見渡すと、この世界の大部分の場所が見えると言い伝えられている。
だから、そこに登ったら、ヨルムンガルドの場所が何か分かるのではないか?
そう思っての作戦である。
……それって、ただ、高いところから、下を見渡してるだけでは?と、ヘンリーとレオンの話を聞いていて思ったけど、なんとなく、世界樹という響きにロマンを感じたので、黙っておくことにした。
多分2人もそう。本当はその事をわかっているけど、ただただ行きたいだけ。
ちなみに、おそらくヨルムンガルドを探す気など、この2人にはあまり無い。
もちろん冒険者として、強い魔物と戦いたいとかそういう気持ちはあるだろうけど、その程度である。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「人間だ?」
「珍しい。こんなところまで」
警戒して森の中を歩いていた時、どこからか声が聞こえてきた。
どういう仕組みかは分からないが、この森の中は、半径5メートル以内くらいしか周りが見えないので、彼らの顔は見えない。
逆に向こうからこちらは見えるようだ。
「だ……誰だ!?お前達は」
「ああ。ごめん驚かせて」
ヘンリーの威嚇するような声に応えたのは、金髪青眼。耳が横に長い絶世の美少年だった。
「「エ、エルフ……!!」」
「へっ!?こんなところで。すごいな!」
「おお。お前たち。結構な手練れだな。何しにきた?……ってこんなところまで来るんだ。どうせお目当ては、世界樹だろう?」
「はい。そうですけど」
「ふむ……、そちらの子供は不思議な感じだな。精霊に好かれそうだ。……いいだろう。着いてこい」
「えっ!?こんなすんなり?」
「まあな。心配しなくても、一応審査はしっかりしている。大丈夫だ」
「いえ。してませんけど……。」
「そこは、少しはしろよ。若造!」
「あ、ああ。すみません」
そうこう話をしていると、世界樹のところに着いた。
-----------------------------------
「手はず通り、レオンが前衛、リアムが中衛、俺が後衛だ」
「うん」「了解」
俺の、実の父親であり、このパーティのリーダーであるヘンリーが確認をとる。
やっぱり、カリスマ性もあるなこの人。
「普段は頼りないけど、流石、戦争の最高司令官を任されるだけはあるよね」
「えっ!?俺頼りないの?」
「あっ」
「ヘンリー様。一応俺や他人という選択肢がある中で、迷わず自分だと思った--そういうところですよ。心の弱さっていうのは」
「ごもっともだね」
「ぐはっ……!」
俺たちのパーティは、レオンが暴れて、俺とヘンリーでフォローするというのが最善だろうということになった。オールラウンダーのレオンを生かすためである。まあ、ぶっちゃけ、本気の実戦になった時、俺が入れる余地があるのかは、本当に分からない。
前に仮想戦闘装置でヘンリー様とタイマンした時、体がブレて見えていたからな。
危ないから、[食の大賢者]が発動している状態では戦った事はないけれど、発動していても、目で追うのが精一杯な気もする。
実戦で使い物にならないし、連携も取れないだろう。
もしかしたら、ステータス的な何かが上がらないと、目で追えるようにならない仕組みなのかもしれないな。
そういうわけで、もし、2人が全力で戦う場面が来るとしたら、俺は一旦、[絶対食堂領域]にルーカスと逃げ込み、中で寝ているシルバーに助けを求めるつもりだ。
まあ、ルーカスが“この世界で俺に勝てる奴なんていない”と大口叩いていたから、シルバーに頼るまでもなく、いざとなったら彼が片付けるだろう……と信じている。
「それにしても、これうまいなあ。揚げた魚とじゃがいも、最強コンビだ」
「ああ。冒険前にはちょうど良いな。肉みたいに、重すぎないのも良い」
「好評で良かった。初めて作ったから不安ではあったんだよね」
今日作ったのは、イギリス名物フィッシュアンドチップスである。
新鮮な魚をサクッと揚げる、中はふわふわ外はサクサクで美味しいというのが特徴だ。
天ぷらに近いが、もう少しジャンクで、こちらだと屋台とかでよく売っている。
作り方は、まず、タラに塩胡椒をしておき、薄力粉、片栗粉、ベーキングパウダーを混ぜておき、揚げ始める前にビールを入れてサクッと揚げる。
チップスの方は--、まあ冷凍食品をタラ一緒に揚げるので大丈夫だろうと思って、そうした。
決して面倒だからというわけではないこともない。ただ、満足度はそんなに変わらないわけで……誰に対して言い訳しているのだろうか?
こういう時に自分って思うのが俺の心の弱さなのだろうか?いや、それは絶対違うな。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「ここからか。気を引き締めろよ。なんせ、人間があまり入ら無いところだ。どんな危険がありかも分からないからな」
「はい」「おう」
世界樹があるのは、通称“精霊の森”と呼ばれる場所だ。
上に登って、下を見渡すと、この世界の大部分の場所が見えると言い伝えられている。
だから、そこに登ったら、ヨルムンガルドの場所が何か分かるのではないか?
そう思っての作戦である。
……それって、ただ、高いところから、下を見渡してるだけでは?と、ヘンリーとレオンの話を聞いていて思ったけど、なんとなく、世界樹という響きにロマンを感じたので、黙っておくことにした。
多分2人もそう。本当はその事をわかっているけど、ただただ行きたいだけ。
ちなみに、おそらくヨルムンガルドを探す気など、この2人にはあまり無い。
もちろん冒険者として、強い魔物と戦いたいとかそういう気持ちはあるだろうけど、その程度である。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「人間だ?」
「珍しい。こんなところまで」
警戒して森の中を歩いていた時、どこからか声が聞こえてきた。
どういう仕組みかは分からないが、この森の中は、半径5メートル以内くらいしか周りが見えないので、彼らの顔は見えない。
逆に向こうからこちらは見えるようだ。
「だ……誰だ!?お前達は」
「ああ。ごめん驚かせて」
ヘンリーの威嚇するような声に応えたのは、金髪青眼。耳が横に長い絶世の美少年だった。
「「エ、エルフ……!!」」
「へっ!?こんなところで。すごいな!」
「おお。お前たち。結構な手練れだな。何しにきた?……ってこんなところまで来るんだ。どうせお目当ては、世界樹だろう?」
「はい。そうですけど」
「ふむ……、そちらの子供は不思議な感じだな。精霊に好かれそうだ。……いいだろう。着いてこい」
「えっ!?こんなすんなり?」
「まあな。心配しなくても、一応審査はしっかりしている。大丈夫だ」
「いえ。してませんけど……。」
「そこは、少しはしろよ。若造!」
「あ、ああ。すみません」
そうこう話をしていると、世界樹のところに着いた。
-----------------------------------
57
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる