転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中

文字の大きさ
24 / 48
2章3〜4歳

フィル兄とパパ

しおりを挟む
-side アクシア-


 かっこいいパパとママの魔獣を見てとてもびっくり。二人に色々聞いてみる。


「ママー、パパー、どうやったらそんな魔物と出会えるの?」
「そうねー、あたしは王宮で一人で本を読んでいる最中に居眠りをしていたら、気づいたら隣で寝ていたの」
「ほえーー!!」


 なにそれ!?すごい!!優雅な世界!


「俺は冒険の最中だなー!山の中へ冒険に行った時、たまたま瀕死になっているこいつを見つけて可哀想だったから助けたんだ。」
「おおおおお!」


 冒険!異世界に来た時にやってみたいなと思っていた事だから、憧れるー!
 強そうな魔物をテイムしているパパはやっぱりすごいね。
 俺もそんなふうになりたいな。


「……父上、そろそろ俺も魔物をテイムしても良い頃ではないですか?」


 --っとそんな時、一番上のフィル兄が真剣な表情をしながらこっちにきて、父上に問いかけた。


「そうだな……、確かにフィルの年齢的にはやっても良いことなのだが……」
「なら……!」
「だがな……」


 父上は少し悩み、難しそうな顔をした。
 むむ……!なんで許してあげないんだろ?


「あなた……、そろそろフィルにも許してあげても良くなくて?」


 そーだそーだ!!ママンの言う通りだよ!
 ぷんぷん!--っとパパの足を殴る。
 パパは軽く俺の頭に手を置かれて撫でられた。気持ちー。


「むむむ……だがな」
「せめてなんでなのか、直接言わないとフィルも納得しないわよ」


 うんうん!そだよー!


「……。あっ……、ああ、分かった」


 パパは渋そうな顔をしますが、ママの圧力に負けちゃったみたい。やっぱり、尻に敷かれているっぽい。


「なぜですか?父上」
「フィル、お前は優しい子だよ、優しいからきっと魔物と仲良くなることは出来るだろう」
「なら……!」
「だがな、優しすぎるのだ」
「……?」


 フィル兄は首を傾げている。
 一方で、それを聞いた俺、テオ兄、ママンは「あー」と理解した表情になる。パパの言わんとしている事が分かったからだ。


「フィル。一つ聞きたい事がある。お前自身がどう考えているかは分からんが、もし仲良くなった魔物が暴走した時、その魔物を自分自身で切れることは可能か?」
「それは……」
「パッと答えられない時点でお前は甘すぎる」
「うっ……」


 うわっ……、パパ。正論かもしれないけれど、そんな高圧的な言い方しなくても良いんじゃない?
 --っと、それは前世の感覚で、領主が次期領主に対して行う教育としてはふさわしいのかもしれない。
 フィル兄はようやく色々理解したようだ。
 さっきよりも表情が暗い。
 

「この先、お前が領主となる時、信頼していた仲間でさえ、不必要だと判断すれば即切る必要がある。その事は次期領主として理解しているよな?」
「はい」
「なら、魔物をテイムする時もその覚悟でやると誓えるか」
「誓います」


 フィル兄が今度は迷わず答えた。
 普段はのほほんとしているが、こう言う時にはしっかりできるみたい。
 これなら、大丈夫そうかも!


「そうだな……、まあ、分かった。なら、そうだな、まず初めはスライムからテイムしてみるか」
「「--えっ!?」」


 びっくりして俺まで大きな声を出してしまった。スライムさんだって!?スライムさんをフィル兄がテイムしてくれるの?


「わーー!頑張れーー!!」
「う、うん」


 フィル兄は少し浮かない表情をしていたけど、そう曖昧に笑ってくれたのでした。



-----------------------------
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『規格外の薬師、追放されて辺境スローライフを始める。〜作ったポーションが国家機密級なのは秘密です〜』

雛月 らん
ファンタジー
俺、黒田 蓮(くろだ れん)35歳は前世でブラック企業の社畜だった。過労死寸前で倒れ、次に目覚めたとき、そこは剣と魔法の異世界。しかも、幼少期の俺は、とある大貴族の私生児、アレン・クロイツェルとして生まれ変わっていた。 前世の記憶と、この世界では「外れスキル」とされる『万物鑑定』と『薬草栽培(ハイレベル)』。そして、誰にも知られていない規格外の莫大な魔力を持っていた。 しかし、俺は決意する。「今世こそ、誰にも邪魔されない、のんびりしたスローライフを送る!」と。 これは、スローライフを死守したい天才薬師のアレンと、彼の作る規格外の薬に振り回される異世界の物語。 平穏を愛する(自称)凡人薬師の、のんびりだけど実は波乱万丈な辺境スローライフファンタジー。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

追放された『修理職人』、辺境の店が国宝級の聖地になる~万物を新品以上に直せるので、今さら戻ってこいと言われても予約で一杯です

たまごころ
ファンタジー
「攻撃力が皆無の生産職は、魔王戦では足手まといだ」 勇者パーティで武器や防具の管理をしていたルークは、ダンジョン攻略の最終局面を前に追放されてしまう。 しかし、勇者たちは知らなかった。伝説の聖剣も、鉄壁の鎧も、ルークのスキル『修復』によるメンテナンスがあったからこそ、性能を維持できていたことを。 一方、最果ての村にたどり着いたルークは、ボロボロの小屋を直して、小さな「修理屋」を開店する。 彼の『修復』スキルは、単に物を直すだけではない。錆びた剣は名刀に、古びたポーションは最高級エリクサーに、品質すらも「新品以上」に進化させる規格外の力だったのだ。 引退した老剣士の愛剣を蘇らせ、村の井戸を枯れない泉に直し、ついにはお忍びで来た王女様の不治の病まで『修理』してしまい――? ルークの店には、今日も世界中から依頼が殺到する。 「えっ、勇者たちが新品の剣をすぐに折ってしまって困ってる? 知りませんが、とりあえず最後尾に並んでいただけますか?」 これは、職人少年が辺境の村を世界一の都へと変えていく、ほのぼの逆転サクセスストーリー。

元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~

草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。 勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。 だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。 勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。 しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ! 真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。 これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

処理中です...