転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中

文字の大きさ
44 / 48
2章3〜4歳

光と空調

しおりを挟む
-side アクシア-


「うーん、やっぱりコストを削減しやすいのは維持費かなー」
「そーですねえ」

 
 維持費……それは一般的に経費の中で2番目にお金がかかる部分とされる。ちなみに1番は修繕費だ。
 建物を建築するのもお金がかかるが、維持するのにもお金がかかる。だから一般的に経費を削減する時には、この維持費をどれだけコストカットできるのかが鍵になる。


「悩ましいねえ」
「むう……我らにも手伝えたら良いのだが」
「流石に建物を建てることはできてもそれを維持して運営していくのは人間の仕事でしょうからねえ」
「だねー、あんまりやりすぎても、領地のために一生懸命働いてくれている人たちの仕事を奪っちゃいそうだし、こればかりはここの人たちにどうにか低コストで領地を運営してもらうように頑張ってもらうしかないか。俺たちにできることがあるとするならば、高コストのものの監視とかチェックかな?あんまり厳しくしすぎても領地運営が円滑に進まなくなる可能性もあるから限界はありそう」
 

 できる限りコストがどこにかかっているかは把握しておきたいところだけど、膨大な金額の維持費なだけに、どこにコストがかかっているかとかは本当に把握が難しい。あんまりコストカットをしすぎても、今度は領地の資産価値――土地価格などに影響してくる。
  どこをカットすればここら辺の領地の資産価値を維持しながら、豊かにできるかが領地を運営する者の腕の見せ所だ。
 それはそれとして、今俺たちはレポンの代官であるマーガレットさんから収支報告書を貰ったので領地の改善計画の案を出し合っている。改善案ができたら、領主である父上に相談に行くつもりだ。


「ふむー、エリックよろしく」
「承知いたしました」


 パパを説得するには現状の説明と改善計画を大人の文章でエリックに書いてもらわないといけない。パパは脳筋かもしれないけど、ママやその部下などのブレーンのみんなと色々な事を決定するから合理的な提案でないと通らない場合が多い。要するにたくさんの大人の人を納得させる文章を書かなければならないのだ。
 
 
「毎度毎度悪いねえ」
「いえいえ。厳しいですからねえ……エルマ様は」
「ん?パパは?チョロいの?」
「ちょっ……ちょろくはないですよ!優しい方です」
「ダウト」
「ぐはっ……!」

 
 ふむ。エリックの様子を見るにやはり鬼門はママを納得させることか。
 
 
「んで、パパはクソチョロと。ふむふむ。なるほどなるほど……」
「なんか、よからぬことをアクシア様が学習されている気がするんですけど……」
「大丈夫、エリックが言ってたってことは誰にも言わないから」
「そういう問題ではないのですが」
 
 
 こうやって、子どもは成長していくんだよ。大丈夫大丈夫。現実を知ることも大事だから。
 それはそれとして、収支報告書を再び見る。


「特にやばいのは明かりと空調かー」


 光と空調……、それは意外とお金がかかる部分だ。普通に建物を維持する時、一番お金がかかるのは間違いなくそこ。
 前世でも電気代を節約するためにみんな頑張っていたからね。
 

「現状、どこもかしこも明るすぎる気がするんだよねえ」
「活気があっていい事は確かですけどねえ。暗かったら魔物が寄ってきてしまうこともありますし、魔物に気付けない事もあります」
「そうだねー」


 この世界では、基本的に魔石や魔鉱石が電気や空調設備を動かすエネルギー源である。
 幸い、うちの領地は魔物が沢山出るし、土地も広いので魔石や魔鉱石が沢山産出される。
 これらが産出されるおかげで、うちの領地は膨大な軍事費を負担しながらもなんとかちょっと赤字くらいでやっていけた。
 そんなこんなでうちの領地は他の領地では考えられないほど安く魔石や魔鉱石が使える。


「ただ、限度ってものがあるよねえ」
「ですねえ」


 どれだけの魔石や魔鉱石が維持するのに使われていると思ってのか?
 みんな安いと思って使いすぎだと思います。何か効率よく光を伝達出来る機械とかがあればいいんだけど。そんな都合のいい機械あるかなあ?

 
 というか、そっか、俺が作ればいいのか!
 ふむ。エリックが大人の文章を作ってくれるまで時間もあるし帰ったら何か研究してみよう!
 


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 
 

 
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『規格外の薬師、追放されて辺境スローライフを始める。〜作ったポーションが国家機密級なのは秘密です〜』

雛月 らん
ファンタジー
俺、黒田 蓮(くろだ れん)35歳は前世でブラック企業の社畜だった。過労死寸前で倒れ、次に目覚めたとき、そこは剣と魔法の異世界。しかも、幼少期の俺は、とある大貴族の私生児、アレン・クロイツェルとして生まれ変わっていた。 前世の記憶と、この世界では「外れスキル」とされる『万物鑑定』と『薬草栽培(ハイレベル)』。そして、誰にも知られていない規格外の莫大な魔力を持っていた。 しかし、俺は決意する。「今世こそ、誰にも邪魔されない、のんびりしたスローライフを送る!」と。 これは、スローライフを死守したい天才薬師のアレンと、彼の作る規格外の薬に振り回される異世界の物語。 平穏を愛する(自称)凡人薬師の、のんびりだけど実は波乱万丈な辺境スローライフファンタジー。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

追放された『修理職人』、辺境の店が国宝級の聖地になる~万物を新品以上に直せるので、今さら戻ってこいと言われても予約で一杯です

たまごころ
ファンタジー
「攻撃力が皆無の生産職は、魔王戦では足手まといだ」 勇者パーティで武器や防具の管理をしていたルークは、ダンジョン攻略の最終局面を前に追放されてしまう。 しかし、勇者たちは知らなかった。伝説の聖剣も、鉄壁の鎧も、ルークのスキル『修復』によるメンテナンスがあったからこそ、性能を維持できていたことを。 一方、最果ての村にたどり着いたルークは、ボロボロの小屋を直して、小さな「修理屋」を開店する。 彼の『修復』スキルは、単に物を直すだけではない。錆びた剣は名刀に、古びたポーションは最高級エリクサーに、品質すらも「新品以上」に進化させる規格外の力だったのだ。 引退した老剣士の愛剣を蘇らせ、村の井戸を枯れない泉に直し、ついにはお忍びで来た王女様の不治の病まで『修理』してしまい――? ルークの店には、今日も世界中から依頼が殺到する。 「えっ、勇者たちが新品の剣をすぐに折ってしまって困ってる? 知りませんが、とりあえず最後尾に並んでいただけますか?」 これは、職人少年が辺境の村を世界一の都へと変えていく、ほのぼの逆転サクセスストーリー。

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~

草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。 勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。 だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。 勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。 しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ! 真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。 これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

処理中です...