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3.いくらなんでもギャップがあり過ぎです
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玄関の扉を閉めて、俺は大きくため息を吐いた。そのまま、腰が抜けたみたいにズルズルと座り込む。
まだ、心臓がおかしな速さで動いている。通常営業に戻るまでは、まだ時間がかかりそうだった。
あの後、保険室を出てから一度教室に戻った。スクールバッグを取るためだ。
玖堂はバイトのシフトが入っていたようで、途中で別れた。
俺はのろのろと立ち上がり、私服に着替えた。いつものように勉強机に座ったものの、頭がぼうっとして集中できなかった。
玖堂の言葉が、頭の中で勝手に再生される。
『俺はいいの』
『好きだから』
はぁ~~~~!! 頭の中が混乱だーーー!!
告白されてしまった……!! めちゃくちゃイケメン男子に「好き」とか言われたんだけど!!!
……いかん。まだ処理が追い付かない。
なんとか冷静になる努力をして、宿題だけは終わらせた。
しかし、これ以上は集中力が持たない。今日のところは、予習と復習は諦めよう。
引き続き、家事にとりかかる。気を抜くと、すぐに玖堂の声がよみがえる。
『俺は、宮下のことが好きだから。触ってもいいの。だって、好きだったら触りたいって思うでしょ』
……いや、まぁ、思うのは良いとして。
実行に移すのはダメなのでは?
俺の気持ちを無視して、抱き着いたり抱き枕にしたり……。
教室でも食堂でも、奇異の目で見られるし。嫉妬されるし。暑いし。邪魔だし。
予習と復習を阻害されたこともあって、少しずつ怒りのボルテージが上がっていく。
「今日は、和食にしよう……!」
洗濯物をたたみ終わると、俺は立ち上がった。
「こってり味が好きな玖堂のことは無視だ~~~! 今日は、あっさり味の和食にする! もちろん、揚げ物なんてないからなーーー!」
どうだ、参ったか!!
いや、わざわざ玖堂の分を作っている時点で俺の負けだな……。そう思いながら、俺は玖堂の部屋に向かった。
今日のメインは、豆腐ハンバーグにする。
買い置きしていた豆腐と鶏ミンチでささっと作ろう。大根おろしを大量に作って、おろし和風ソースにする。大葉も添えて、さらにさっぱりさせる目論見だ。
味噌汁は、なめこ。なんといわれようと、なめこ。俺の大好物なのだ。玖堂の好きな味噌汁の具は油揚げだけど、そんなものは知らん!
冷蔵庫の中身を確認しながら副菜を考える。トマトがあるので、塩昆布と和えよう。あとは、きゅうりとハムがあるな……。
俺は冷蔵庫を一旦閉めて、戸棚をあさった。たしか先週、買っておいたはず。
「あ、あった……!」
マカロニの袋を発見する。これで、マカロニサラダをこしらえる。
塩とコショウで下味をつけて、マヨネーズで仕上げる。そうだ、ゆで卵を作ってマカロニサラダに追加してやろう。マヨネーズも心持ち、多めに入れて……。
冷蔵を開けると、油揚げが目についた。
いや、ちょっと前からその存在には気がついていたのだが、あえて見ないようにしていた。
逡巡した結果、俺は油揚げを手に取った。賞味期限を確認する。
「……置いておいても、腐るだけだしな。仕方がないから使ってやろう」
別に賞味期限は迫っていないのだが、自分を納得させるために言い訳をする。
そろそろ玖堂が帰って来る時間だ。
副菜をダイニングテーブルに並べ、豆腐ハンバーグを焼き始める。
おろし和風ソースは、想定していたよりもこってり味になった。とろみをつけたせいだろうか。調味料の分量を誤ったか。
「まぁ、美味しいから問題はないんだけど。でも……」
あんなに、あっさり味の和食を作ろうと決意したのに。
マカロニサラダはコクのある味だし、豆腐ハンバーグもしっかり味がついてるし、味噌汁は油揚げたっぷり……。
気づくと、玖堂の好みを反映した食卓になってしまっていた。
なぜこうなる。解せない。味噌汁をかき混ぜながら、俺はキッチンに立ち尽くした。
「俺って、もしかして相手に尽くすタイプ……?」
そんなことを考えていたら、頭の中で再び玖堂の『好きだ』コールが復活する。
お玉を持ったまま、ごくりと息を飲む。
ぼんやりした玖堂と、世話焼きな俺って、めちゃくちゃ良い組み合わせじゃないか……? ナイスカップルの予感……。
いやいや。待って。まだ付き合うとか、決めてないし……。
でもでもでも。玖堂の部屋で、こんな風に料理するのは好きだし。玖堂の目覚まし担当もすっかり板についてきたし、玖堂のことは好ましく思ってるし。
どうしよう!!
俺、彼氏ができるかもしれない!!
こ・い・び・と、が!! できる~~~!
うわーーー、と心の中で叫びながら、その場で足踏みをする。
非モテな人生よ! さようなら! 長く孤独な日々とも、これでおさらばだ!
「あ~~~! どうしよう!!」
「どうしたの」
「え」
振り返ると、玖堂がいた。
困惑した表情で俺のことを見ている。
まぁ、そうだろう。お玉を握りしめたまま、ハイテンションで足踏みしていたんだから。いくらなんでも様子がおかし過ぎる。
「あ、おかえり……」
「うん。ただいま」
玖堂の顔が、ふわりとゆるむ。
うわ、かっこよ……。
心臓がズンドコと反応する。俺は動揺を悟られないよう、手に持っていたお玉で味噌汁をすくった。
豆腐ハンバーグと一緒にテーブルに運ぶ。あとは麦茶を取ってきて、箸置きをセットして……。
ちょこまかと動いていたら、玖堂が「ハンバーグだ」とうれしそうに声を上げた。
「あ、うん……」
思わずドキッとした。
玖堂は、なんというか舌がお子様なのだ。だからハンバーグは大好き。でも……。
「き、今日のハンバーグは、いつもとは違ってて……」
「ちがうって、なにが?」
着席しながら、不思議そうな顔で俺を見る。
「和風ハンバーグなんだ。豆腐と鶏ミンチで作ってて。だから、あっさりしてると思う」
ちょっとした意趣返しというか。いじわるな感情から、あっさり和食を作ってしまった。なので非常に気まずい。
まだ、心臓がおかしな速さで動いている。通常営業に戻るまでは、まだ時間がかかりそうだった。
あの後、保険室を出てから一度教室に戻った。スクールバッグを取るためだ。
玖堂はバイトのシフトが入っていたようで、途中で別れた。
俺はのろのろと立ち上がり、私服に着替えた。いつものように勉強机に座ったものの、頭がぼうっとして集中できなかった。
玖堂の言葉が、頭の中で勝手に再生される。
『俺はいいの』
『好きだから』
はぁ~~~~!! 頭の中が混乱だーーー!!
告白されてしまった……!! めちゃくちゃイケメン男子に「好き」とか言われたんだけど!!!
……いかん。まだ処理が追い付かない。
なんとか冷静になる努力をして、宿題だけは終わらせた。
しかし、これ以上は集中力が持たない。今日のところは、予習と復習は諦めよう。
引き続き、家事にとりかかる。気を抜くと、すぐに玖堂の声がよみがえる。
『俺は、宮下のことが好きだから。触ってもいいの。だって、好きだったら触りたいって思うでしょ』
……いや、まぁ、思うのは良いとして。
実行に移すのはダメなのでは?
俺の気持ちを無視して、抱き着いたり抱き枕にしたり……。
教室でも食堂でも、奇異の目で見られるし。嫉妬されるし。暑いし。邪魔だし。
予習と復習を阻害されたこともあって、少しずつ怒りのボルテージが上がっていく。
「今日は、和食にしよう……!」
洗濯物をたたみ終わると、俺は立ち上がった。
「こってり味が好きな玖堂のことは無視だ~~~! 今日は、あっさり味の和食にする! もちろん、揚げ物なんてないからなーーー!」
どうだ、参ったか!!
いや、わざわざ玖堂の分を作っている時点で俺の負けだな……。そう思いながら、俺は玖堂の部屋に向かった。
今日のメインは、豆腐ハンバーグにする。
買い置きしていた豆腐と鶏ミンチでささっと作ろう。大根おろしを大量に作って、おろし和風ソースにする。大葉も添えて、さらにさっぱりさせる目論見だ。
味噌汁は、なめこ。なんといわれようと、なめこ。俺の大好物なのだ。玖堂の好きな味噌汁の具は油揚げだけど、そんなものは知らん!
冷蔵庫の中身を確認しながら副菜を考える。トマトがあるので、塩昆布と和えよう。あとは、きゅうりとハムがあるな……。
俺は冷蔵庫を一旦閉めて、戸棚をあさった。たしか先週、買っておいたはず。
「あ、あった……!」
マカロニの袋を発見する。これで、マカロニサラダをこしらえる。
塩とコショウで下味をつけて、マヨネーズで仕上げる。そうだ、ゆで卵を作ってマカロニサラダに追加してやろう。マヨネーズも心持ち、多めに入れて……。
冷蔵を開けると、油揚げが目についた。
いや、ちょっと前からその存在には気がついていたのだが、あえて見ないようにしていた。
逡巡した結果、俺は油揚げを手に取った。賞味期限を確認する。
「……置いておいても、腐るだけだしな。仕方がないから使ってやろう」
別に賞味期限は迫っていないのだが、自分を納得させるために言い訳をする。
そろそろ玖堂が帰って来る時間だ。
副菜をダイニングテーブルに並べ、豆腐ハンバーグを焼き始める。
おろし和風ソースは、想定していたよりもこってり味になった。とろみをつけたせいだろうか。調味料の分量を誤ったか。
「まぁ、美味しいから問題はないんだけど。でも……」
あんなに、あっさり味の和食を作ろうと決意したのに。
マカロニサラダはコクのある味だし、豆腐ハンバーグもしっかり味がついてるし、味噌汁は油揚げたっぷり……。
気づくと、玖堂の好みを反映した食卓になってしまっていた。
なぜこうなる。解せない。味噌汁をかき混ぜながら、俺はキッチンに立ち尽くした。
「俺って、もしかして相手に尽くすタイプ……?」
そんなことを考えていたら、頭の中で再び玖堂の『好きだ』コールが復活する。
お玉を持ったまま、ごくりと息を飲む。
ぼんやりした玖堂と、世話焼きな俺って、めちゃくちゃ良い組み合わせじゃないか……? ナイスカップルの予感……。
いやいや。待って。まだ付き合うとか、決めてないし……。
でもでもでも。玖堂の部屋で、こんな風に料理するのは好きだし。玖堂の目覚まし担当もすっかり板についてきたし、玖堂のことは好ましく思ってるし。
どうしよう!!
俺、彼氏ができるかもしれない!!
こ・い・び・と、が!! できる~~~!
うわーーー、と心の中で叫びながら、その場で足踏みをする。
非モテな人生よ! さようなら! 長く孤独な日々とも、これでおさらばだ!
「あ~~~! どうしよう!!」
「どうしたの」
「え」
振り返ると、玖堂がいた。
困惑した表情で俺のことを見ている。
まぁ、そうだろう。お玉を握りしめたまま、ハイテンションで足踏みしていたんだから。いくらなんでも様子がおかし過ぎる。
「あ、おかえり……」
「うん。ただいま」
玖堂の顔が、ふわりとゆるむ。
うわ、かっこよ……。
心臓がズンドコと反応する。俺は動揺を悟られないよう、手に持っていたお玉で味噌汁をすくった。
豆腐ハンバーグと一緒にテーブルに運ぶ。あとは麦茶を取ってきて、箸置きをセットして……。
ちょこまかと動いていたら、玖堂が「ハンバーグだ」とうれしそうに声を上げた。
「あ、うん……」
思わずドキッとした。
玖堂は、なんというか舌がお子様なのだ。だからハンバーグは大好き。でも……。
「き、今日のハンバーグは、いつもとは違ってて……」
「ちがうって、なにが?」
着席しながら、不思議そうな顔で俺を見る。
「和風ハンバーグなんだ。豆腐と鶏ミンチで作ってて。だから、あっさりしてると思う」
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