こじらせ委員長と省エネ男子

みずしま

文字の大きさ
23 / 45
3.いくらなんでもギャップがあり過ぎです

3-6

しおりを挟む
 準備が終わり、俺はしずしずと椅子に腰を下ろした。

「いただきます!」

 玖堂が、勢いよく手を合わせる。

 そして、迷いなく和風ハンバーグに箸を伸ばした。

「美味しいーー!」

 そう言って、ごはんをもりもりとかきこむ。相変わらず食べっぷりが良い。

「あの、味付け大丈夫……? もし味が薄かったら、追加で調味料を足すけど」

 俺の問いに、玖堂は首を振る。

「ぜんぜん。ちょうど良いよ」

 曇りなきまなこだ。俺の良心が、ズキズキと痛む。

「……いじわるして、ごめん」

「いじわる?」

「玖堂は、濃い味が好きじゃん? それなのに今日は、あっさりな味にしたから」

「こんないじわるなら、毎日されてもいいけど」

 トマトの塩昆布和えを口に運びながら、玖堂が微笑む。

 思わず、胸がトゥンク……! となる。

 か、かかか、かっこよーーー! 俺の彼氏って、中身までイケメンーーーー!

 いや、気が早い。まだ彼氏じゃなかった。

 俺は、ポットからグラスに麦茶を注いだ。そして、がぶ飲みする。

 最後の一滴まで飲み干し、空になったグラスをダン! とテーブルに置く。

「く、玖堂……!」

 勢いをつけたつもりだったのに、いざ口を開くと蚊の鳴くような声しか出なかった。

「どうしたの」

 もぐもぐと咀嚼しながら、玖堂が俺のほうを見る。 

「ほ、保健室でのことなんだけど……」

 ごくっと飲み込んでから、玖堂が「あぁ」とうなずく。

「な、なんかさ。玖堂は、その、勘違いをしてたみたいだから。改めて説明しようと思って……!」

「勘違い?」

「そう! とりあえず、俺が青山の対して特別な感情を持ってるとか、そういうことは絶対にない! 褒められたいっていうのは、その、誰でも良いというか……。むしろ全人類から賞賛されたいというか。褒められると、安心するんだよ……」

 気づいたら、俯いていた。

 変なことを言っている自覚はあるから。

「だから、張り切って勉強とかしちゃうし、玖堂の目覚まし係も引き受けちゃうし」

「宮下が、委員長をやってるのはそのため? 褒められたいから?」  

 玖堂の声が聞こえて、ぱっと顔を上げた。

 いつの間にか、玖堂は箸を置いていた。真剣な表情で俺のほうを見ている。

「……うん」

 観念したように、俺は玖堂に打ち明けた。

 俺が、褒められたい理由。

 両親に構ってもらえなかったこと。周囲の人間が、兄ばかり可愛がっていたこと。

 玖堂は、ずっと黙って聞いてくれていた。

「ほら、俺ってめちゃくちゃ地味じゃん? 黙ってたら空気じゃん? だから頑張ってるんだーー! 俺みたいなやつは、普通にしてたら注目されないんだよな~~! ちゃんとそこにいるのに、いないみたいな扱いされたらイヤじゃん?」

 わざと茶化したように、明るく話をした。

 頑張って笑顔を作ったけど、玖堂は一緒に笑ってはくれなかった。

 そのことに安堵した。やっぱり、笑ってする話じゃなかった……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天使な坊っちゃんの護衛中なのに、運命の相手がしつこすぎる。

濃子
BL
はじめて会ったやつに「運命の相手だ」、って言われたら?あんたならどうするーー? ーーおれは吉備川 翠(すい)、明(あかる)坊っちゃんの護衛兼屋敷の使用人だ。坊っちゃんが男子校に行くことになり、心配した旦那様に一緒に通わされることになったんだけど、おれ、2つ上なんだよね。 その上、運命の相手だ、なんていう不審者にもからまれて、おれは坊っちゃんを守ることに、生命をかけてるんだよ、邪魔はしないでくれーー! おまけに坊っちゃま高校は、庶民には何もかもがついていけない世界だし……。負けるな〜!おれッ! ※天使な坊っちゃんの護衛をがんばる、ギャグ多め、たまにシリアスな作品です。 ※AI挿絵を使用していますが、あくまでイメージです。指のおかしさや、制服の違いなどありますが、お許しください。 ※青春BLカップに参加させていただきます。ギャグ大好きな方、応援よろしくお願いします🙇

有能副会長はポンコツを隠したい。

さんから
BL
2.6タイトル変更しました。 この高校の生徒会副会長を務める僕・東山 優真は、普段の仕事ぶりから次期生徒会長の最有力候補と言われている。……んだけど、実際は詰めの甘さやうっかりミスを根性論でカバーしてきたポンコツだ。 こんなに頑張れているのは、密かに思いを寄せている安西生徒会長のため。 ある日、なんの奇跡か会長に告白され晴れて恋人同士となった僕は、大好きな人に幻滅されないためにポンコツを隠し通すと決めたけど……!?(内容は他サイト版と同じですが、こちらの方がちょっと読みやすいはずです)

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

無口なきみの声を聞かせて ~地味で冴えない転校生の正体が大人気メンズアイドルであることを俺だけが知っている~

槿 資紀
BL
 人と少し着眼点がズレていることが密かなコンプレックスである、真面目な高校生、白沢カイリは、クラスの誰も、不自然なくらい気にしない地味な転校生、久瀬瑞葵の正体が、大人気アイドルグループ「ラヴィ」のメインボーカル、ミズキであることに気付く。特徴的で魅力的な声を持つミズキは、頑ななほどに無口を貫いていて、カイリは度々、そんな彼が困っているところをそれとなく助ける毎日を送っていた。  ひょんなことから、そんなミズキに勉強を教えることになったカイリは、それをきっかけに、ミズキとの仲を深めていく。休日も遊びに行くような仲になるも、どうしても、地味な転校生・久瀬の正体に、自分だけは気付いていることが打ち明けられなくて――――。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華
BL
 高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。  けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。  ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。  けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。  それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。 「大丈夫か?」  涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

処理中です...