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43.悪夢~イライザside
しおりを挟む私が婚約破棄をされた後にアイリスたちが国外追放になって三か月が過ぎた日の事。
「これは…」
王都の新聞にて、信じられない記事を目にした。
情報を提供してくれたのは私の友人だった。
「イライザ様、どうしてお教えくださらなかったのですか!」
「そうですわ。すっかり騙されてしまいましたわ」
お茶をしながら興奮するような表情の彼女達は、まるで舞台の役者に熱を上げるファンの如くミーハー丸出しだった。
でも、そんな彼女達にはしたないなんて言う余裕はない。
「シメリス帝国の皇太子殿下と皇太子妃。まさかアイリス様が…すべては余興でしたのね?」
「すっかり騙されましたわ」
噂では新たな皇族が立太子した程度しか情報は回ってこなかったが、情報を持ってきた令嬢の家は貿易を他国でもしている事からいち早く情報をキャッチしたのだろう。
「ユーリ様の母君は帝国の方…降嫁して嫁がれたと聞いたことがりますわ」
「では、ご結婚の為に侯爵家に養女に…ビアンカ様は国王陛下と王妃陛下ともしたしくされていまし。合点がいきますわね…元皇女殿下なら」
ウィンディア辺境伯爵夫人が元皇女?
じゃあユーリ様は皇帝陛下の!
「これも仕入れた情報なのですが、シメリス帝国の第一皇女殿下。つまりビアンカ様の姉君の母君は皇妃でビアンカ様の母君は皇后陛下だろうです」
「えっ…」
じゃあユーリ様は正真正銘の皇帝陛下のお孫様で。
ビアンカ様は皇后陛下の実子に当たる。
「ですが、他国の貴族令嬢を皇太子妃に迎えるなんて大胆な事を」
「我が国と異なり、帝国は皇太子妃は優秀さを求められるそうですわ。アイリス様は優秀ですから当然ですわね!」
今まで散々アイリスは出来が悪いと言っていたのに!
何よ!
「イライザ様もさぞ鼻が高いですわね!妹君はファーストレディーに…いいえ、同盟国の女王様になられるのですから」
「同盟国と言っても我が国は従国になりますから…どうなるのかしら?」
何ですって?
シメリス帝国の従国?
じゃあ、アイリスは帝国の…。
そんなのありえないわ!
「イライザ様?」
「申し訳ありませんが気分が優れませんの。失礼しますわ」
何故?
私よりも劣っているアイリスが皇太子妃?
私が欲しくて仕方なかった座を、美しくもないあの子が?
嫌だ。
そんなの許せない!
私がこんな不幸なのに!
絶対嘘よ。
何かの間違いだわ!
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