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74.敵か味方か
しおりを挟む何を考え要るんだ。
彼はゴシップ記事を書く新聞記者ではなかったはずだ。
面白おかしく取材をするとも思えない。
「帝国民は真実を知りたがっています。どうかお願いします」
「いいでしょう。国民の思いに応えるのが国母ですもの」
既に皇后気取りか!
アイリスだけでなく俺の了承を聞く前に決めるな。
「では質問します。アイリス妃は噂ではブリチ王国の貴族令嬢であると言うのは真実ですか」
「ええ、あれは私の妹でした…とはいえ、我が一族の中でも出来が悪く、それでも大事な妹ですもの。立派な女性になって欲しいと願ってましたが」
「では、何故帝国いらしたのでしょうか」
「それは…」
涙を溜めながらハンカチを取り出す。
「私が代わりに話しますわ。娘のイライザは元は第二王子殿下の婚約者だったのです。ですが殿下はアイリスがある令嬢に対して嫌がらせをしたのです」
「嫌がらせ?」
「ええ、アイリスは少々傲慢な性格故に、身分が低い者を毛嫌いしていました。貴族絶対主義で、身分がすべてと言い、姉の婚約者と懇意な令嬢に嫌がらせをしたのです。私も思うところはありましたが…あの子は聞かず」
何だ、この内容は!
全部イライザがした罪をアイリスに擦り付けている。
「アイリス妃は帝国では大変な評判だったのですが…何より他者を貶めたり傷つける等…」
「それは見せかけですわ。あの子はそう言った悪知恵は天才的ですの。ですが、アイリスの悪事が公になり第二王子殿下はそのような性悪な令嬢の身内をとは婚約できないと仰せになり婚約破棄となりました。公の場で傷物令嬢と噂を流し姉を貶めたのです」
この女、よくも抜け抜けと!
ハンカチで涙を拭う振りをしながらも化粧が崩れないように泣く姿を見せてウソ泣きなのがバレバレだ。
こいつ等はアイリスを生贄にして。すべてをでっち上げるようだが、周りは呆れた表情をしている。
「アイリス妃はその女性と何処で会ったのでしょう」
「学園ですわ」
「学園…」
馬鹿だろ?
アイリスが次女である事は先ほど公言している。
「アイリス妃は次女と言う事でよろしいでしょうか」
「ええ、我が侯爵家には三人の娘がおります。ですが、アイリスは三姉妹の中では能力が乏しくて」
「そうですか…」
自分で墓穴を掘っている事に気づいているのか。
「では次にもう一つ噂がありますが、ステンシル侯爵家の領地経営は以前にご息女が代行をされていると伺いました、その方にお話を聞きたく思います」
「えっ?」
「聞けば、妹君だと…お二人の話ではアイリス妃ではないのであれば末の妹君と言う事ですよね?私がこの帝国に来た時にある商人から話を伺ったのです。是非、妹君にお話を」
「いえ…それは」
「もしや、代行をされたのはイライザ様ですか?王子妃に選ばれるぐらいですし、さぞ優秀なのでしょうね!」
「え…ええ、そうですわ!私がしましたわ!」
馬鹿だろ?
領地代行なんてしたことがない癖に。
「アイリス…」
「ええ、彼等は私達の敵ではありませんわ味方ですわ」
冷静なアイリスは最初からすべてを見越していたのか?
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