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73.乱入者

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大事な祝辞を邪魔して。無礼にも踏み込んで来るイライザに嫌悪感しかない。


アイリスに何か言うつもりだろうと思い俺が前に踏み込むも、手を掴まれる。


無言でありながらも余裕の微笑みを浮かべるアイリスは手を出すなと言いたげだった。


「そこは私の場所よ!今すぐどきなさい!」


ヒステリックに叫ぶイライザの声が耳障りに聞こえるも。


「本日は祝いの席でと知ってのお言葉ですの?」

「当たり前でしょ!何を解りきった事を聞いているのよ!」

「では、間違いないとおっしゃるのね。これは随分とマナーが鳴ってない令嬢でです事」


穏やかながらも冷たい視線を向ける。


「なっ…アイリス!」

「無礼ですわね。私を呼び捨てにするとは…何処の貴族ですの?」


「何を言っているの!お前は…」


他人として接するアイリスに対して驚愕する侯爵夫人はあろうことにもお前と呼んだ。


「何て無礼な…シメリス帝国の妃殿下をお前ですって?」

「不敬な!」

「アイリス妃をそのような呼び方をして許されるはずはない。なんと無礼な!」


他国の代表は彼等を咎め始めた。
当然のことながら、アイリスにそのような言葉を使って許されるのは我が祖父と皇族の限られた人間だけだ。



「ステンシル侯爵、そなたは我が国を侮辱する気か。大事な同盟をぶち壊し、国を鎮めたいと」

「ご冗談。私は本来、その場にいるのにふさわしい妃が我が娘であると思っております。アイリス、いい加減にしろ。今すぐ廃妃し、家に戻りに身の程を弁えるならば許してやる。そなたは家の為に従ってればいいのだ。今までもそうであっただろう」


「そうよ。お前如きが帝国の…皇太子妃等ちゃんちゃらおかしいわ。帝国の励起子に泥を塗る前にその座を譲りなさい」


い板放題言っているな。
ここを何処か忘れているのか?


「失礼ですが、発言をお許しいただいてもよろしいでしょうか」


「何ですの貴方は」


彼等の言い分にドン引きする中、一人手を上げて発言の許可を求めたのは例の新聞記者だった。


「私はシメリス帝国の新聞記者でローウェンと申します。この度の同盟にて特別にこの場にいる事を許されました」

「同じく記者のマックスと申します。帝国の新聞記者代表です。我が帝国民の間でも以前からアイリス妃は隣国の貴族令嬢という噂がございますが…できましたら詳細を詳しくお教えいただきませんか」


「なっ…」


ここで聞くか?

よりもよってこいつ等がいる中で。


最悪な状況下になった。



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