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78.私の家族~アイリスside③
しおりを挟む母方の実家バイスン家。
今は没落して存在はないけれど、バイスン家には二人の姉妹がいた。
姉はフレリアで妹がサビィーネ。
二人は対照的な姉妹でフレリアは聡明で博学な令嬢として有名でサヴィーネは美しい容姿で社交界では人気だったとか。
バイスン家の長女のフレリアには婚約を結んでいた男性がいた。
それが後の私の父となるガゼル・ステンシルだったのだが、知的なフレリアではなく華やかで美しい妹のサヴィーネを気に入り、婚約者の入れ替えを望んだらしい。
しかも公の場でだ。
姉妹同士で婚約者の入れ替えは少なくないが、その場合当事者が病気になったり不慮の事故で亡くならない限りは珍しいのだ。
社交界で一時、噂になったが。
婚約を解消された姉は、快く妹を送り出したとも証言されており。
その一か月後に、舞踏会で偶然出会った青年と恋に落ちて結婚を申し込まれたと言われている。
貴族の間では珍しい恋愛結婚でその後も、二人の仲は睦まじかったとも言われている。
対する、ステンシル侯爵家では当初はガゼルの兄が当主になるはずだったが、流行り病で兄が急死した後に前当主が亡くなり、代行は前ステンシル侯爵夫人が務めていたが三年後にその方も亡くなった後にガゼルが引き継いだのだとされている。
前ステンシル侯爵夫人が健在の侯爵家を仕切っていたが、サビィーネとは不仲な噂があった。
いい意味でも悪い意味でもサビィーネは貴族令嬢らしく、領地を持つ貴族の奥様としては評価が良くなかったし、聡明である前ステンシル侯爵夫人は聡明な姉のフレリアを嫁に望んでいたのだ。
息子の勝手で婚約を破断し、嫁姑の関係も悪く。
第三者から見ても不仲だと解るのは解りきっていたらしいとされている。
私が三歳の頃に祖母は病で亡くなっていたの記憶は少ないけど、家族の中で唯一優しくしてくださった。
膝に座らせて頂き、頭を撫でてもらった記憶がある。
だけど、祖母がどういう人だったかは知らない。
ただ、サビィーネは祖母を毛嫌いし。
実家の事も話をするのを極端に嫌がり、学者を毛嫌いしていた。
女性ながら爵位を持ち、優れている者に対しても攻撃的だった事を考えると、簡単に答えにたどり着いた。
あの家を出て、ちゃんとした目で物事を見る事ができたからこそ解った。
「可哀想な人」
「アイリス!」
「劣等感を消す為にずっと歪んでいたのだから」
実の姉の才能を人望を妬み。
優秀で貞節な姑を憎み、そしてその二人の血筋を強く受け継いでしまった私を憎んでいたのだ。
逆に身目麗しくも、思慮に欠ける姉と妹を見て安心していた。
この人は二人を愛しているわけではない。
己の欲望を、心を満たす為に利用していたにすぎないのだから。
「そんなに悔しかったのですか…姉君から婚約者を奪って勝組になったと思えば姉君は王族になった」
「何を…」
「勝ったつもりでいたのに、勝つ事は出来なかった」
そしてサビィーネにとって最悪だったのは姉に似た姑がいた事。
祖母の存在は己の劣等感を刺激する存在になり、祖母が亡くなっても私がいた。
私は両親よりも祖母の血筋を強く引き継いでいたからこそ、憎まれていたと言うならば合点がいった。
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