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77.私の家族~アイリスside②

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「私のお母様はこの方だけです」


幼い頃から時に厳しくも優しくしてくれたこの方と。


「そして私を養女に迎えってくださった、シメリス帝国第三皇女殿下にして聖女様のナージャ様です」

「聖女…」

「お優しく美しくも国の為に尽くされていられる尊い方です。私利私欲の為に人を貶める事はなさいません。この時を持ってはっきり申し上げましょう…私と貴方達は他人です。血だけ繋がった他人。二度と家族面をなさらないでください。帝国の皇太子妃は誰にも媚びたり致しません」


私はもう、あの時のように人形でいることはない。


今はシメリス帝国の皇太子妃として生きている。
過去を消す事は出来ないけど、過去に囚われて生きるつもりはない。


「私の過去をあざ笑う者、蔑む者がいらっしゃるならば私は受け止めましょう。過去とは乗り越える者。我らは明日に向かって生きていくのですから…過去に縛られてはなりません」


「ふざけないで!この疫病神が!」

「おい!やめんか…」

「アンタなんて産まれてこなければよかったのよ!」



今まで私に罵倒を浴びせられたことはある。
もうお母様とさえ呼ぶ気すら起きないが、何故こうも私を嫌うのか。


その理由が解らない。


幼少期から好かれてはいないと思ったけど、ここまで私を憎む理由は何だったのだろうか。
関心がない程度で済まない。

まるで目の敵のようにされていた。


「私は幼い頃、自分が悪いと思っていました。いいえ、思わされてきました。貴女は私を通してどなたかを妬み、憎み、そして私を傷つけることでご自分の心を守った…私を通して誰かを見ていた」

「止めてちょうだい!そんな目で私を見ないで」


「箱庭の中でもがき続けた私は本当の意味で見えていなかった…外に出ることで真実を見つめなおす事ができました」


国を出て公爵家でお世話になってからこっそり調べていた。
私が調べていいたのはある女性に関しての事で、その女性の事を調べる内に解ったのだ。


「そんなに憎かったですか…そんなに恐ろしかったですか」

「何を言っているの?」


「すべてを奪いながらも、完全には奪えなかった。貴女には解らない人の気持ちもその思いから生まれる尊さも…奪い傷つけた先に幸福はなかった…そうでしょう?サヴィーネ・バイスン」

「なっ!」


全ての始まりは二人の姉妹の確執より始まったのだ。


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