令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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八つ当たり

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夜遅くに目が覚める。

「何か聞こえるわ」

なかなか寝付けなかったアレーシャは静かに部屋を出る。

まだ療養が必要だと言われているので絶対安静だったが、こっそり部屋を抜け出す。

上着を羽織り歩いて行くとどこからか聞こえる声。

「‥‥グスン…グスッ!」

ランプを手に取りながら宮廷内の廊下を歩いて行くと泣き声が聞こえる。

「うっ…うう」

「ふぇっ…」


声が聞こえる方に行くと二人の侍女が泣いていた。

「どうかしましたか?」

ランプで辺りを照らすと二人は顔をあげるが、次の瞬間表情が強張る。


「アレーシャ…様」

「何故こんな時間に」

呼び捨てにしようとしたが最後に様をつける。

「どうなさったのですかお二人とも…お怪我を!」

よく見るとと二人は傷だらけだった。
服もかなり汚れている。

アレーシャはハンカチを差し出すも。


パァン!


その手を払い除ける。

「憐れみですか?それともいい気味だと思ってるの?」

「ちょっとジェーン!」

涙目で睨みつける侍女のジェーン。
これは八つ当たりだった。


失態を犯し続け、カテリーナに手助を請うたばかりにこんなことになってしまった。

誰の所為でもない。
自分の所為だと言うことは解っていた。

これまでジェシカ達はアレーシャを見下して来た。
出世もできず社交界デビューもできない哀れで出来損ないの女だと。

雑務をこなすことしか能がなく、貴族の令嬢としての役目も果たせない愚かな女だと陰で嘲笑って来た。

見習い時代から侍女とは言えお嬢様育ちのジェーンは下働きの仕事だと言い、楽な仕事しかしなかった。

お茶の入れ方、花の手入れ。
手が荒れる仕事はやりたくないと言って全て押し付けて来たのだ。

その癖、押し付けた仕事は自分の手柄だと言って今の地位に昇りつめたが、お茶すら満足に淹れられないと気づき降格を命じられ失態続きだ。


「よかったわね?私は降格どころか侍女をクビになるわ!!これで満足?」

「やめなさいよジェーン!」

悪いのはジェーンでアレーシャは何も悪くない。
そんなことは解っていても言わずにはいられなかった。

散々見下して来たアレーシャは今美しく着飾られた姿。
寝巻に姿に上着をかけている状態であるが上品な装いで美しかったことがさらにジェーンに敗北感を与えていた。

罵倒を浴びせ続けるジェーンに対してアレーシャはじっと見つめるだけで何も言わない。

「何か言ったらどうなんです?格下の私に罵倒を浴びせられたのですから不敬罪にできますわよ!!」

「そんなことをする気はありません」

「なっ…気取ってんじゃないわよ!!」

胸倉を掴み手を振りかざした。



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