40 / 63
父
しおりを挟む
顔をしかめたセルジオは現れた。
「お父様!」
カテリーナは味方が現れたと思いニヤリと笑った。
(いい気味だわ)
公衆の面前でアレーシャを叩きだしてやろうと思った。
そうすればレオンハルトも自分の物になるはずだ。
「アレーシャ!お前って子は、どこまで伯爵家の名に泥を塗ったら気が済むのかしら」
ルクレチアが扇をかざしながら蔑む。
この騒動は全てアレーシャが悪いと言い放ち責任を押し付ける。
「第一、お前がこのよう場に来ることは許した覚えはありません。分不相応の装いをして」
「分不相応だと?」
セルジオがルクレチアを睨む。
「貴族の令嬢が社交の場に出ることの何がおかしい?」
「旦那様?」
「それに宮廷からの招待状を受けている。お前は何時から国王陛下に意見できるほど偉くなったのだ」
「そんな!」
ルクレチアの言い分は国王陛下の命に逆らうとも受け取られる。
「私の娘がデビュタントするのがそこまで気に入らないのか」
「旦那様、何を……」
「アレーシャがデビュタントできなかったのは、お役目故。本来ならばもっと早く華々しくプライム家の長女としてデビューする予定だったと言うのに」
「お父様…何を言っているの?」
これまでカテリーナは姉が社交界デビューしないとばかり思っていた。
プライム家の令嬢は自分だけ。
役割も果てせない姉は出来損ないで引き立て役だと思い込んでいた。
「姉のデビュタントで騒ぎを起こすなど。恥さらしもいい所だ」
氷のように冷たい視線を向けるセルジオに二人は言葉を失った。
今まで何も文句を言わなかった。
なのにどうして?と思った。
(どうして…お父様はアレーシャを庇うの!)
なんでも買い与えてくれた父。
愛情を独り占めしていて我儘を言っても許してくれていた。
愛されているのは自分だけと思っていたが、セルジオがアレーシャを見る目はとても優しくて嫉妬を抱く。
「本来ならば16でデビュタントだったのだが…」
「お父様、侍女として宮仕えをできたことは私の将来の武器になります。勉強をさせていただいたと思っております」
「アレーシャ…」
セルジオの心の中は罪悪感でいっぱいだった。
領地で仕事にかかりきりだったなど言い訳にならない。
邸にあまり戻らなかった所為でアレーシャがどれだけ辛い思いをしたか解らない。
今回の騒動を聞いて本当の意味ですべてを知った。
「カテリーナ。お前を好きにさせ過ぎた私とルクレチアの落ち度だ。気品ある振る舞いをするように」
「どうしてお父様!!」
「侯爵家に嫁ぐ以上気品を身に着け両家に泥を塗るような真似をするんじゃない」
厳しい言葉を言い放つ中、一人の青年が現れる。
「プライム伯爵。どうされましたか?」
「エリック様。申し訳ありません。カテリーナが少々粗相を」
グランツ侯爵家次男エリックが現れる。
「粗相ですか…伯爵そちらの美しい方は」
エリックはアレーシャに見惚れる。
「お久しゅうございますわ。エリック様」
「まさかアレーシャか?」
「はい」
淑女らしく挨拶をするアレーシャに驚く。
「今宵はアレーシャのデビュタントです」
「そうでしたか。それにしてもお美しい…」
ポーっと見惚れるエリックに対してカテリーナは腸が煮えくり返る思いだった。
(何で…何で!!)
誰もがアレーシャに見惚れこのホールで主役のようだった。
これまでお姫様気取りだったのに立場が逆転してしまった。
「カテリーナ。父が呼んでいる」
「え?」
「パートナーの君がいないと話にならないだろう?」
「えっ‥‥ええ」
内心で舌打ちをする。
エリックがいる以上これ以上は無理だと判断し大人しくすることにした。
「旦那様…」
「行くぞ。これ以上恥ずかしい真似をするな」
「っ!!」
ルクレチアに命じその場を去ることになり。
「俺達も行こうか。反撃開始だ」
「はい」
舞台は本番に近づいていた。
「お父様!」
カテリーナは味方が現れたと思いニヤリと笑った。
(いい気味だわ)
公衆の面前でアレーシャを叩きだしてやろうと思った。
そうすればレオンハルトも自分の物になるはずだ。
「アレーシャ!お前って子は、どこまで伯爵家の名に泥を塗ったら気が済むのかしら」
ルクレチアが扇をかざしながら蔑む。
この騒動は全てアレーシャが悪いと言い放ち責任を押し付ける。
「第一、お前がこのよう場に来ることは許した覚えはありません。分不相応の装いをして」
「分不相応だと?」
セルジオがルクレチアを睨む。
「貴族の令嬢が社交の場に出ることの何がおかしい?」
「旦那様?」
「それに宮廷からの招待状を受けている。お前は何時から国王陛下に意見できるほど偉くなったのだ」
「そんな!」
ルクレチアの言い分は国王陛下の命に逆らうとも受け取られる。
「私の娘がデビュタントするのがそこまで気に入らないのか」
「旦那様、何を……」
「アレーシャがデビュタントできなかったのは、お役目故。本来ならばもっと早く華々しくプライム家の長女としてデビューする予定だったと言うのに」
「お父様…何を言っているの?」
これまでカテリーナは姉が社交界デビューしないとばかり思っていた。
プライム家の令嬢は自分だけ。
役割も果てせない姉は出来損ないで引き立て役だと思い込んでいた。
「姉のデビュタントで騒ぎを起こすなど。恥さらしもいい所だ」
氷のように冷たい視線を向けるセルジオに二人は言葉を失った。
今まで何も文句を言わなかった。
なのにどうして?と思った。
(どうして…お父様はアレーシャを庇うの!)
なんでも買い与えてくれた父。
愛情を独り占めしていて我儘を言っても許してくれていた。
愛されているのは自分だけと思っていたが、セルジオがアレーシャを見る目はとても優しくて嫉妬を抱く。
「本来ならば16でデビュタントだったのだが…」
「お父様、侍女として宮仕えをできたことは私の将来の武器になります。勉強をさせていただいたと思っております」
「アレーシャ…」
セルジオの心の中は罪悪感でいっぱいだった。
領地で仕事にかかりきりだったなど言い訳にならない。
邸にあまり戻らなかった所為でアレーシャがどれだけ辛い思いをしたか解らない。
今回の騒動を聞いて本当の意味ですべてを知った。
「カテリーナ。お前を好きにさせ過ぎた私とルクレチアの落ち度だ。気品ある振る舞いをするように」
「どうしてお父様!!」
「侯爵家に嫁ぐ以上気品を身に着け両家に泥を塗るような真似をするんじゃない」
厳しい言葉を言い放つ中、一人の青年が現れる。
「プライム伯爵。どうされましたか?」
「エリック様。申し訳ありません。カテリーナが少々粗相を」
グランツ侯爵家次男エリックが現れる。
「粗相ですか…伯爵そちらの美しい方は」
エリックはアレーシャに見惚れる。
「お久しゅうございますわ。エリック様」
「まさかアレーシャか?」
「はい」
淑女らしく挨拶をするアレーシャに驚く。
「今宵はアレーシャのデビュタントです」
「そうでしたか。それにしてもお美しい…」
ポーっと見惚れるエリックに対してカテリーナは腸が煮えくり返る思いだった。
(何で…何で!!)
誰もがアレーシャに見惚れこのホールで主役のようだった。
これまでお姫様気取りだったのに立場が逆転してしまった。
「カテリーナ。父が呼んでいる」
「え?」
「パートナーの君がいないと話にならないだろう?」
「えっ‥‥ええ」
内心で舌打ちをする。
エリックがいる以上これ以上は無理だと判断し大人しくすることにした。
「旦那様…」
「行くぞ。これ以上恥ずかしい真似をするな」
「っ!!」
ルクレチアに命じその場を去ることになり。
「俺達も行こうか。反撃開始だ」
「はい」
舞台は本番に近づいていた。
525
あなたにおすすめの小説
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ化企画進行中「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
部屋にこもって絵ばかり描いていた私は、聖女の仕事を果たさない役立たずとして、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されました。
絵を描くことは国王陛下の許可を得ていましたし、国中に結界を張る仕事はきちんとこなしていたのですが……。
王太子殿下は私の話に聞く耳を持たず、腹違い妹のミラに最高聖女の地位を与え、自身の婚約者になさいました。
最高聖女の地位を追われ無一文で追い出された私は、幼なじみを頼り海を越えて隣国へ。
私の描いた絵には神や精霊の加護が宿るようで、ハルシュタイン国は私の描いた絵の力で発展したようなのです。
えっ? 私がいなくなって精霊の加護がなくなった? 妹のミラでは魔力量が足りなくて国中に結界を張れない?
私は隣国の皇太子様に溺愛されているので今更そんなこと言われても困ります。
というより海が荒れて祖国との国交が途絶えたので、祖国が危機的状況にあることすら知りません。
小説家になろう、アルファポリス、pixivに投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
小説家になろうランキング、異世界恋愛/日間2位、日間総合2位。週間総合3位。
pixivオリジナル小説ウィークリーランキング5位に入った小説です。
【改稿版について】
コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。
ですが……改稿する必要はなかったようです。
おそらくコミカライズの「原作」は、改稿前のものになるんじゃないのかなぁ………多分。その辺良くわかりません。
なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。
小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。
よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。
※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。
・一人目(ヒロイン)
✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前)
◯リアーナ・ニクラス(変更後)
・二人目(鍛冶屋)
✕デリー(変更前)
◯ドミニク(変更後)
・三人目(お針子)
✕ゲレ(変更前)
◯ゲルダ(変更後)
※下記二人の一人称を変更
へーウィットの一人称→✕僕◯俺
アルドリックの一人称→✕私◯僕
※コミカライズ化がスタートする前に規約に従いこちらの先品は削除します。
婚約破棄されたので、とりあえず王太子のことは忘れます!
パリパリかぷちーの
恋愛
クライネルト公爵令嬢のリーチュは、王太子ジークフリートから卒業パーティーで大勢の前で婚約破棄を告げられる。しかし、王太子妃教育から解放されることを喜ぶリーチュは全く意に介さず、むしろ祝杯をあげる始末。彼女は領地の離宮に引きこもり、趣味である薬草園作りに没頭する自由な日々を謳歌し始める。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
婚約者と家族に裏切られたので小さな反撃をしたら、大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
コストール子爵令嬢マドゥレーヌ。彼女はある日、実父、継母、腹違いの妹、そして婚約者に裏切られ、コストール家を追放されることとなってしまいました。
ですがその際にマドゥレーヌが咄嗟に口にした『ある言葉』によって、マドゥレーヌが去ったあとのコストール家では大変なことが起きるのでした――。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?
ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」
華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。
目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。
──あら、デジャヴ?
「……なるほど」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる