令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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対峙

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間一髪の所でレオンハルトが守ったおかげで大事に至らなかった。


「あっ…貴女は!」

以前見た時よりも凛々しく見えて見惚れてしまっていたがレオンハルトは直ぐにアレーシャに駆け寄る。


「怪我はないかアレーシャ」

「はい。ユリアが守ってくれました」

「すまないユリア」

隣にいるユリアに怪我はないか確認する。

完全にカテリーナを無視していた。


「まぁ、どなたですの?」

「なんて凛々しいのでしょう」

「素敵」


周りを見ていた夫人達はポッと頬を染める。


「すまない。もっと早くに迎えに来ていれば」

「大丈夫です」

「君に怪我がなくて本当によかった」


心から安堵する表情を浮かべるレオンハルト。


「レオンハルト様、急いでいらしたのですか」

髪が若干乱れていることから急いで駆け付けたのが解る。


「ええ、アレーシャ様を見てダッシュでしたよ」

傍にいる侍従が補足する。

「恋人が殴られそうになっていたんだから当然だ」

漸く視線が重なり冷たく射貫く。


「なっ…誤解ですわ。私は…」

「そうですか?先程お嬢様を殴ろうとしていたように見えましたが」

「お黙り!!」

さらりと先程のことを掘り返すユリアに怒鳴り声をあげる。


「大体お姉様が身の程知らずなドレスを着ているからでしょ!!」

大きな声を上げ罵倒を浴びせる。

「出来損ないのくせに…分不相応もいい所よ!」


大勢が聞いているのも知らずに恥をさらす。


「ねぇ、カテリーナ嬢ってあんな方だったの?」

「あんな風に姉君に暴言を吐くなんて」

「なんて非常識ですの」


その結果夫人達はヒソヒソと囁く。


「社交の場で声を荒げるなんてはしたない」

「躾も満足にされてないのでは?だってあのドレス娼婦みたいよ」

(娼婦ですって!)


陰口がカテリーナの耳に入り激怒する。

このドレスは今日の日の為に特注して作らせたものだ。

胸元が開いたドレスで体のラインが美しく見るようだが、露出度が高い赤いドレスだった。

スタイルの良さは際立つが清楚感がない。



「それに引き換えアレーシャ嬢は品があってドレスも清楚感があって美しいわ」


「ええ、着飾ればここまで美しかったのね」

二人を見比べながら雲泥の差だと誰もが言う。
これまで見下し悪しざまに扱っていた姉が自分よりも美しいと言われることが不愉快で仕方ない。


(ありえない…こんなこと!)


カテリーナの自尊心がこれ以上ないほど傷つけられ癇癪を起す。


「アンタなんか…アンタ如きが」


怒りのボルテージが上がり手を出そうとした時だった。


「何をしている」


広場の中心で騒ぎを聞きつけて姿を見せたのはセルジオだった。

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