令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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婚約期間

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部屋にてようやく穏やかな時間を過ごすことができると思っと気が緩む。


「はぁー…疲れた」

「私もです。夜会とは疲れるのですね」

(いや、今回だけだ!)


成人してから夜会に出る機会はめっきり減ってしまったが、普通の夜会はここまで疲れない。

お世辞と社交辞令ばかりで息が詰まるが、ここまで修羅場なことはない。

「母上とアンジェリーナの目が恐ろしかった」

「正直私も言葉を放つのが恐ろしゅうございました」

断罪の最中、セラフィーヌから負のオーラ―が流れていて本当に怖かった。


「あの状況で言い返せたあの二人はある意味大物だ」

「はい…」


最後の最後まで噛みついていたが、神経だけは国一番の図太さだ。

「一か月後に結婚式が行われるからあまりゆっくりはできないが」

「一か月後!」

かなり急だった。
婚約発表が終わったばかりなのにその一か月後とは急ぎ過ぎだ。


「いや、これでも遅いぐらいだ」

「え?」

「本当は二週間以内に式をあげたかった」

「レオンハルト様!」

そっと頬に触れキスをしようとした時だ。


「レオンハルト様、節度はお守りください」

「「わぁ!!」」

音もなく背後から現れるユリアに二人は悲鳴をあげる。


一体いつからそこにいたのか。

「最初からおりました。ええ、殿下はアレーシャ様以外目に映ってませんものね」

「ユリア、お前は俺のことが嫌いなのか」


手厳しい対応に辛口のユリア。

「いいえ、尊敬しておりますわ。殿としては」

「あのなぁ…」

遠まわしにそれ以上は期待していないと言いたげだった。

「ですが一か月後というのはちゃんとした理由がございます」

「どういうこと?」

「国の事情と今後の予定を考えての配慮です」


ユリアは官僚として長く勤めていたので宮廷の裏事情はとても詳しかった。

「本来王室に入る時はお妃様教育をするのが当然ですが、王室の事情によりアレーシャ様は免除されております」

貴族の令嬢としての作法は小さい頃から叩きこまれ、宮廷に長い間仕えていたので基礎は身についている。

「一ヶ月の期間に準備を整えます。その間お披露目もございますので」

「ただそのお披露目で妨害してくる可能性が高い」

「四公の方々でしょうか?」

「いや彼等は公の場でアレーシャを認めた」

王の前で侯爵の地位を与えることを認めた以上婚約に関して何かを言うことはない。

「問題はあの人だ…」

「ええ、側妃クルエラ様でございます」

現在国王陛下には一人の側室がいる。
ただ王妃が亡くなってからその席は空白となりその代理をセラフィーヌが行っている。

「兄は義姉を愛していたからクルエラ様を正妃に迎えようとしていない」

「王太后様ともあまり仲がよろしくありませんので」


側室は王太子の母であれば地位は盤石なモノとなるが、現在王太子として選ばれているのはルーファスだったのでクルエラの子供が王位に就くことはない。

「第一王子がルーファス様、第二王子がエドヴァルド様です」

王は王太子にルーファスを選んでいる。
この国の掟により王位継承権は第一子に与えられる。


「俺は王位継承権を返上しているから問題ないとは思うが」

「念のために注意をしてください」

王室に入る以上常に危険がつきものだというのは理解していたが身内同士の争いが二度と起こらないで欲しいと願った。

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