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序章婚約破棄と追放
5兄の思い
しおりを挟む雨は酷くなり台風に変わっていく。
窓から見ているしかできないジルフォードは祈るしかなかった。
「オンディーヌ…」
クレイン侯爵家の当主は父親でも実質権利を持つのは前当主の祖父だった。
隣国の皇女を妻に持ち、社交界でも未だに強い影響力を持つ祖父に父親のブラウスは逆らえなかった。
その一番の理由は、かつて婚約者がいたブラウスは他の身分の低い女性と恋に落ちた。
貴族の間では政略結婚が普通でも手順を踏めば恋愛結婚も可能だったが、すべての手順を無視して強引に結婚を勧めたブラウスだったが、祖母のとりなしで平和的に解決した。
そんな理由で今回の事も強く出ることができなかった。
だが、ジルフォードはそんな父に苛立っていた。
「そもそも、親の尻拭いをさせられオンディーヌを何故守ってやらなかったんです!」
「ジルフォード」
「父上の過去に何か言うつもりはありません。ですが今回の縁談は公爵家が強引に持ち込んだ縁談です。あの男は婚約中もオンディーヌに酷い事をして来たのに…」
「それは…」
「なのにオンディーヌに強いて来た。あげくに聖女の世話役も任せて」
祖父に思う事はある。
それ以上に許せないのは祖父の言いなりの父親だった。
「私もその内、オンディーヌのように捨てられるのでしょうか」
「そんなはず!」
「お祖父様の命令に従うしかない貴方はきっと同じようにするでしょう…だが私は、言いなりにはなりません。守るべきものは守ります」
「ジルフォード!」
ブラウスの言葉を聞かずにその場を去って行く。
「オンディーヌ、待ってろ」
廊下を歩きながらもジルフォードは雨を見つめる。
「雨が止んでいく…オンディーヌか?」
水の魔力を持つオンディーヌは雨を止める事等動作でもなかった。
「無事なのか…待ってろ。必ず迎えに行く。その前に…」
今見つけたとしても同じだった。
無理に連れ戻す気はないが、オンディーヌを苦しめ排除した連中をこのままにする気はない。
「オンディーヌ、お前の受け報いは受けさせてやる!」
ずっと頑張り続けた大事な妹を食い物にした婚約者。
そして今まで家族のように大切に思っていた幼馴染を嫌悪したジルフォードは許せなかった。
「フェルリス…何が愛しているだ。裏切者め」
ずっと弟のように信じていた。
オンディーヌに恋心を抱いているのは知っていたが、相手は公爵家故に簡単に婚約解消は出来なかったがなんとかして婚約解消に持ち込めるように奔走していた。
「なのに裏切るなど…オンディーヌに暴力を振るうとは」
後から聞いた話ではオンディーヌを拘束し床に叩きつけたのがフェルリスだと知った時は殺してやりたいと思ったほどだったが、今はオンディーヌの身の潔白を明かす事が最優先だった。
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