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第一章光の少年と癒しの歌姫
1癒し屋喫茶
しおりを挟むダンジョンを攻略する上で食事を取る場所は死活問題だった。
森の奥では十分な食料の確保は出来ずにいたのだが、噂が流れていた。
ダンジョンには宿屋があると。
食事と寝泊まりする宿に泊まることができ、冒険者にとってはありがたいものだった。
そこは美しい若い娘が疲れた冒険者を出迎え、美味しい料理に、歌で癒す。
冒険ギルドを対象に商売する酒場等はあるが、その店は芸は売っても体は売らないシステムを取っている。
「いらっしゃいませ。ようこそおこしくださいました」
「マスター、美味い飯をくれ」
「かしこまりました」
喫茶魔法屋。
通う客は人種問わず…というよりも人外が多かった。
特に集うのは酒好きのドワーフだった。
「今日の日替わりは何だ?」
「本日は揚げ物です。エールによく合いますよ」
「じゃあそれを頼む」
ドワーフは酒好きであるが、酒のつまみも大好きだった。
特に好んでいるのはエールに合うつまみや燻製で、一度立ち寄ったドワーフが気に入り大盛況となった。
「暇人が、また来たのかクソ爺」
「クソ婆め」
グライアイ姉妹の一人エリー。
東のドワーフの長とは腐れ縁で事あるごとに口喧嘩をしていた。
「毎日、毎日来て迷惑だよ。何で爺が多いんだ」
「自分の顔を鏡で見て言え…若い男はお前を見て逃げるだろうよ」
「このクソ爺…もぐもぐ」
「どさくさに紛れて私のチーズを食うな!」
店内で喧嘩を始めるも日常茶飯事で他の客は止めもしない。
「オンディーヌ、エールの追加だ」
「俺はパリパリキャベツをくれ」
「こっちはスルメをくれ!」
酒のつまみにする常連客は追加注文を頼む。
ここは魔物の森と言われ、ダンジョンに位置している。
Aランクの冒険者でも攻略できないでいる場所だったが、十年以上前に迷い込んだオンディーヌは腕を負傷したドワーフに出会ったのだ。
当初から修復魔法に優れ、空間魔法を持っていたオンディーヌは失った腕を空間魔法で元に戻したのだ。
そのドワーフが東のドワーフの長であるジオルドだった。
それ以降孫のように可愛がられていたのだ。
グライアイ姉妹はオンディーヌの名づけ親でもある。
今回の事を聞いたジオルドが烈火のごとく怒り、王国に攻撃をしかけようとしたが、オンディーヌは静かに暮らしたいと言ったので思いとどまりこの店を作ったのだ。
今ではドワーフが通い、他の客数も増え大繁盛をしていた。
普通の冒険者が来る時間とドワーフが来る時間は違うので問題なかった。
「相変わらず腕だな」
「ありがとうございます」
一時は東のドワーフは恩人でもあるオンディーヌを下働きのような真似はさせたくなかったが本人の意思という事で渋々納得したのだった。
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