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第一章光の少年と癒しの歌姫
2少年
しおりを挟むドワーフに始まりコロボックルまでも通うようになり、食事の合間に歌を歌う。
「いいぞオンディーヌ」
祖母のディアンヌはローレライの末裔だった事から歌姫の才能があった。
物心つく前から音楽に親しみ歌を歌い、癒しを届けていたのもその為でもある。
「素晴らしい声だね。日に日にディーに似て来る」
ディーとはディアンヌの愛称だった。
グライアイ姉妹とディアンヌは親しい間柄で、ディアンヌの名付け親にもなったのがグライアイ姉妹の一人エリーだった。
「ディーを奪った若造を何時か殺してやろうとも思っていたんだが…あの男はしぶとくてね」
今でもディアンヌを奪った事は許していないが、呪い殺す事は諦めたと言う。
「人間なんかに嫁がせるからこんなことになるんだ…オンディーヌ。お前が望むならあの男を呪ってやるぞ」
「いいえ…」
オンディーヌは祖父を憎んでいなかった。
今回の事もいずれそうなるかもしれなかったし、自分が甘かったのだとも思っている。
「そうかい…おや、薬草が足りないね」
「じゃあ、私が摘んできます」
客足も減って来たので暇な時間に薬草を摘みに行こうと思った矢先。
ドンドン!
「誰かしら?」
乱暴に扉を叩く音が聞こえた。
扉を開けると。
「きゃああ!」
「何だい!」
血だらけで一人の少年が倒れこんで来た。
「人間?」
「急いで…」
傷の手当てをとも思ったが。
「ううっ…お腹が」
「お腹?」
腹時計が鳴っていた。
「何て迷惑な客だ」
「もぐもぐ…美味い。美味いぞ」
血だらけで倒れていた少年は空腹で倒れていたそうだ。
後から知ったが、長旅でろくなものを食べていなかったようで限界だったとか。
「よろしければこちらもどうぞ」
「ありがとう」
「この図々しさ。ありえないね」
差し出された焼き鳥にがっつく。
既にテーブルの料理の数々は完食されていた。
「はぁー…生き返った」
「どんだけ食うんだよ…ここまで神経の図太いなんてね?しかもこんなクソガキは好みじゃないね」
エリーは心底残念な表情をするも。
「随分変わったかスケルトンだな」
「ぶっ殺されたいのかい!」
「ははは!」
普通ならこの老婆に睨まれたら怯えるだろうに、少年は実に軽かった。
そして逞しかった。
「スケルトン殿、果汁汁のお代わりをくれ」
「アンタねぇ…」
堂々とお代わりを要求する少年を睨む。
「礼儀知らずが」
「僕はレオだ。よろしくスケルトンの老婆殿」
「名前なんて聞いてないんだよ!ぶっ飛ばされたいのか!」
太陽のように明るく笑う少年レオにオンディーヌも自然と笑みを浮かべるのだった。
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