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第一章光の少年と癒しの歌姫
4幸せの旋律
しおりを挟む船乗りを惑わせるローレライは美しい歌声でどんな男性も虜にする。
美しい容姿に美しい歌声は人を惑わせるが、幸福にもすると言われている。
歌声と一緒に奏でた楽器が聖琴だった。
二つが重なり完璧な旋律を奏でる事で癒しの演奏が行われるのだった。
レオはドワーフの前で美しい歌声を披露するオンディーヌに聞き惚れていた。
服装だって質素なワンピースでアクセサリーもない。
化粧もしていなかったが、美しいと思ったレオは拍手を送った。
「ありがとうございます」
「旅芸人や劇場の歌姫顔負けだな」
拍手をしながらレオはオンディーヌの歌姫としての素質を賛美した。
マイクもなく伴奏もないのに惹きこむような歌声は素晴らしくレオは感動していた。
「私の歌など…」
「君は本当に謙虚だな」
隣に座り果汁水を差しだし労う。
テーブルに置かれている料理をぱっぱと取り分けるレオはすっかり慣れていた。
「オンディーヌの隣にちゃっかり座るんじゃないよ居候」
「お姫様の隣は騎士だろ?」
「あんたが騎士になるか」
鼻で笑いながらエールを一気飲みするエリーは面白くななかった。
レオと一緒にいるとオンディーヌは自然体で笑うことができるのが悔しかった。
「それにしてもここの料理は本当に美味いな」
「そこの言葉が何よりです」
レオは魔法屋の料理が何より好きだった。
食べると元気になり、幸せを感じられるのだった。
誰かの幸福な顔が自分の幸福に繋がり、その思いが魔力を強くしていた。
「オンディーヌ、今日は店が休みなんだ。出かけよう」
「え?出かける?」
「デートしよう」
翌日、定休日に早朝からレオは思いついたように告げる。
「アンタ、オンディーヌと逢引きする気かい!それで一晩泊って…なんて淫乱なんだい」
「どうしてそうなるんだ」
勝手に妄想を膨らませるエリー。
レオは怒ることはなかったが、突っ込みが入る。
「一緒に街に出て、見て回るんだ」
「そんなもん、何が楽しいんだい」
「そうか、老婆殿は長年独り身だったから人生を楽しますずにいたのか…哀れな」
「ぶっ殺す!魂を吸い取ってやる!」
レオの言葉にエリーはブチ切れる。
「お婆様!店を壊さないでください!」
「壊しても修理はドワーフにさせればいいんだよ!」
「そう言う問題ではありません!」
危険な壺を取り出しレオを追いかけるも、これも恒例行事になりつつあった。
しかしこの時オンディーヌは気づかなかった。
普通の人間がグライアイ姉妹の呪いをはねのける程の魔力を持っているはずもなく。
体の身のこなしも冒険者顔負けであることに。
そしてオンディーヌが幸福に過ごす最中、外の世界では異常気象が起き始め、国同士が戦に発展していたのだった。
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