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第一章光の少年と癒しの歌姫
6証言者
しおりを挟む聖女の巫女ならば真実を発言してくれるだろうと安堵するキャルティはニヤリと笑う。
「この場で嘘偽りを言わないと誓いますか」
「はい、命に代えて」
指を組んで、膝をつく巫女は女神に誓いながら宣言する。
「では、発言なさい」
「はい、聖女リリー様とオンディーヌ様の間に諍いはございませんでした」
「は?」
キャルティは開いた口が塞がらなかった。
「聖女様が王宮に来て当初、お元気がないのを心配され、できるだけ若い巫女を傍に置くことを進言されたのはオンディーヌ様でした。聖女様がリラックスできるようにと」
「では、聖女を虐げたと言う噂は何故かしら?」
「それは聖女様に淑女教育の時に熱が入ったかと」
「しかし、噂では彼女を泣かせたと!」
キャルティは発言がゆるされていないのにも関わらず発言する。
確かにリリーを泣かせていたはずだと思ったのだが。
「王宮内で聖女様に心無い言葉をおっしゃったのはオンディーヌ様ではなく別の方です」
「しかし証言が…」
「同じ柄のドレスを着ていたからかと思います」
「そんなはずは!」
もし巫女の話が事実ならばキャルティは無実の人間を痛めつけた事になる。
貴族を罰するにはそれ相応の理由と裁判をした後に行われるのだが、全ての手続きをしないで思い付きにしたのであれば重罪になる。
「双方の食い違いがあるようですわね。次に司祭様」
「はい、私は聖女様の修行に携わりましたが、聖女様は平民故に、価値観の違いが多く、孤独故に苦しんでおられました」
「そうだ…それをあの女は!」
「ですが、クレイン侯爵令嬢は聖女様を思って故郷の花を部屋に飾られるようになりました」
「そうですか…」
宮廷庭園の管理を任されるオンディーヌだからこそなせる業だった。
この時期に白い百合は貴重だったし、リリーの故郷の花を取り寄せるのは手間もかかったのだ。
「しかし、みすぼらしい服を与えて虐げたと…」
「その服とはこちらでしょうか」
「そうだ、こんな汚い服を…」
「こちらがリリー様の母君からの贈り物です」
「なっ!」
見せられたワンピースは確かに質素で上等ではないが、温かみが感じられる。
裾にはメッセージで『愛しい娘へ』と書かれている。
「通常なら外界のお召し物は許されませんが、情緒不安定な聖女様の心を守る為と説得されました」
「嘘だ…そんなはずは」
「これらの証言に基づき、神殿には音声の記録がありますわ?お聞きになりまして?」
「音声…」
知らなかった事実にキャルティは目の前が真っ暗になる。
もし自分が間違えていたら?
罪悪感よりも自分の身はどうなるかという不安が勝っていたキャルティはなんとか誤魔化そうと考えていた。
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