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第一章光の少年と癒しの歌姫
7思い違い
しおりを挟むちゃんとした証拠も無しに憶測だけで聖女を苛めたときめつけたキャルティは大勢の前で思い知らされる。
聖女に嫉妬して陰湿な嫌がらせをしたと思っていたのに実は真逆だった。
『リリー様のお召し物ですが、母君の物を』
『ですが、そのような事をなさいますと』
『公の場以外ならば問題ありません、少しでもリリー様の不安を軽減してさしあげたいんです。親元を離れ、お一人で心細い思いをされています』
音声だけでも解る。
優しい声でリリーを気遣う事が解る。
『オンディーヌ、リリーにあのような服を着せるとは何事だ』
『あの服に問題ありましたか?』
『聖女を蔑む服装ではないか!あんな汚らしい服装など』
『お待ちください!』
しかし途中で流れたのはキャルティの勘と違いによりオンディーヌは罵倒される。
「これは…」
「リリー様のお召し物に関しましては事前に許可を頂いております」
発言したのは衣服の担当をしている侍女だった。
「コルセットに慣れておられないリリー様は、あまり締め付けると体調を崩されることもありました。故にコルセットは通常の物よりも柔らかい物にさせていただきました」
「こちらも…」
「待っ…」
キャルティはこれ以上音声を流されるのはまずいと思ったが。
『リリー様の淑女教育が難航しております』
『そうですか…ですが、これ以上悠長な事は言えませんわ。リリー様をお守りする為にも。私が担当します』
『ですが、一部ではオンディーヌ様が聖女様に厳しいと噂が』
『かまいません嫌われ役も必要ですわ』
オンディーヌは恨まれ役も買って出ると言って、リリーにも厳しく淑女教育をした。
その所為で、周りから聖女を妬んでいると思われ。
『キャルティ様、聖女様はお勉強の時間です』
『少しぐらい…』
『そんな時間はありません。リリー様はまだまだ足りない部分が多すぎます』
『お前は聖女様を貶す気か…なんて陰湿なんだ!』
音声はここでストップされた。
そして、オンディーヌが罵倒される音声が流れ、そして。
「止めろ!止めろ!」
冤罪による断罪での罵倒と一緒に聞こえたのは。
『いや…オンディーヌ様!やめてぇ!』
リリーの声が聞こえた。
「聖女様の悲鳴が聞こえたぞ」
「ああ…」
騒めく中、アンジェリークが前に出る。
「聖女はあの日から泣き続け、懺悔しておりますわ。自分の所為で彼女を悪女にしてしまったと。あの時何もできなかったと…聖女はオンディーヌを慕っていたのです」
「そんなはず…」
「広い王宮で本当の意味で彼女を思い、支え、時には厳しく接しながらも愛情を持って接したのは彼女です」
(そんなはずはない!)
キャルティはリリーが嫌がらせを受けていた事は確かだと思っていた。
三か月前のパーティーでリリーを侮辱した事を叫んだのだった。
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