45 / 72
第二章
13黒く染まった聖女
しおりを挟む聖女から魔女になってしまったイライザを見てジュリエットは手が震えていた。
「そんな…どうして」
「聖女が魔女に…何という事を」
ジュリエットはイライザと対立関係にあったが、聖女になる事を誰よりも望み、見習い中はイライザも非lつぃだった事を覚えている。
聖女になって後にオルヴィスに認められるべく努力をしていた事も知っている。
「彼女が何故魔女に…聖女になる事を望み、オルヴィス殿下から望まれていたはずだわ」
「ジュリエット…それは君から見てではないか?」
「え?」
「本当にあの馬鹿王子はイライザを好いていたのか?」
「同感だ」
アルフレッドはオルヴィスがイライザを利用しているのではないかと思っていた。
確信はないし、調べて訳ではないがあの断罪事件の事を考えると体よく利用したに過ぎないと思ってた。
王宮に長く仕えていたレインもイライザがオルヴィスを好いているのは知っていたが、オルヴィスにその気持ちが少しでもあるのか?と言われればないと思った。
「ジュリエット、君は気づいていなかったのか」
「何がです?」
「ハァー…同情は出来ないが少し哀れだな」
レインはこれまでのオルヴィスの態度は歪んだ愛情だと察していたが、ジュリエットからすれば疎まれているとしか思っていなかった。
「愛しい女性に関心を持って欲しい子供の考えだ」
「え?」
「まぁ、誰もが好いた女性に優しくできるわけではないからな…中々靡かない君に業を煮やしたか?」
アルフレッドは嫉妬心を感じる事もなくさらりと言ってのけたのだが、いいのかと思うレインだった。
「言っておくが俺はあの馬鹿王子に一度も嫉妬心を抱いた事はない」
「そうか…」
嫉妬心を抱く程の相手ではなかったし、ジュリエットの関心はあの男にない。
むしろ嫌がっているジュリエットを無理矢理付きまとうオルヴィスを疎ましく思ったが。
「何故俺があんな自意識過剰、勘違い王子に劣等感を抱くか」
「とりあえず今はイライザの事を」
この際オルヴィスなんてどうでもよかった。
魔女となってしまったイライザを止めなくてはならない。
そして王宮に留まっている残りの聖女も気がかりであるが一番心配なのは。
「リアン様はご無事かしら」
「ああ、あの方は聡明だから慎重に動かれるだろうが…」
「使えない国王と王太子に魔女の出現。あの方の心労が目に見える」
三人はバイエルン王国で苦労しているであろうリアンを心配するのだった。
47
あなたにおすすめの小説
前世水乙女の公爵令嬢は婚約破棄を宣言されました。
克全
恋愛
「余はカチュアとの婚約を破棄する」
王太子殿下に一方的に婚約を破棄されたのは、公爵家令嬢のカチュア・サライダだった。
彼女は前世の記憶を持って転生した、水乙女という、オアシス王国にはなくてはならない存在だった。
精霊に祈りを捧げ、水を湧かせてもらわないと、国が亡ぶのだ。
だが事情があって、カチュアは自分は水乙女であることを黙っていた。
ただ、愛する人や民の為に祈り続けていた。
カチュアとの婚約解消を言い放った王太子殿下は、自分に相応しい相手は水乙女しかいないと、一人の女性を側に侍らせるのだった。
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます
珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。
そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。
そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。
ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。
結婚式の日に婚約者を勇者に奪われた間抜けな王太子です。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月10日「カクヨム」日間異世界ファンタジーランキング2位
2020年11月13日「カクヨム」週間異世界ファンタジーランキング3位
2020年11月20日「カクヨム」月間異世界ファンタジーランキング5位
2021年1月6日「カクヨム」年間異世界ファンタジーランキング87位
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます
との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。
(さて、さっさと逃げ出すわよ)
公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。
リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。
どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。
結婚を申し込まれても・・
「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」
「「はあ? そこ?」」
ーーーーーー
設定かなりゆるゆる?
第一章完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる