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番外編第二章元王子の行方
1.親族
しおりを挟む王都を追い出されるようにして叔父上の家族と共に辺境地に住まう事になったが、歓迎されることはなかった。
「この部屋を使ってください」
「え?ここ…」
「何か?」
視線を合わせる事もなく、僕を汚いゴミのような目で見る。
好かれていないとは思っていたけど、ここまで酷いとは思わなかった。
「あの…メイドは」
「は?」
着替えをしたいので手伝ってくれる使用人を頼むも。
「ばっかじゃないの?まだ王子様気取りなわけ?」
「ジリー、下がりなさい」
「だってママ。このボンクラ…まだ現実が見えていないわ。こっちは疫病神を押し付けられて最悪なのに」
「随分と酷い事を言うんだな」
何故こんな酷い事を言うんだ。
僕はこれ以上無い程傷ついているのに何でこんなことを。
「ここには使用人なんていないわ。貴族といっても名ばかりよ。アンタの叔父は罪人として牢獄から一生出られないわ。親戚だからって頼られて本当に迷惑だわ」
「しかし…」
「言い訳ばっかりね。本当にいい迷惑。明日から働かないと食事はないわ。私達も今日食べるのも大変なのに…」
働くと言ったが、何故食事がでないのか。
その意味を僕は知らずにいた。
王宮にいた時の暮らしが抜け切れていなかった僕はその意味を理解できていなかった。
真夜中、窓から風が吹き肌寒く。
ベッドも寝心地が最悪だったが、もっと最悪なのは風で音が響き眠れなかった。
そして――。
「何時まで寝てる気!早く起きなさい!」
「なっ…何だ!まだ夜明けじゃないか」
「寝ぼけたこと言わないでくれる?私達は夜明けと共に起きて仕事するのよ」
まだ外も暗いのにか。
「では食事は…」
「何言っているの?すぐに仕事よ。働かざる者食うべからずよ!早く川で水を汲んできなさい」
「ジリー!」
「今行くわママ」
桶を投げられ、僕はその場に放置されてしまった。
「どうやって川までいけばいんだ?」
その後僕は桶を持って川まで行こうとしたが道が解らず迷子になってなんとか水を汲んだが。
「ちょっと、水は?」
「あるだろ」
「何で泥水が入っているのよ。アンタ水も満足に汲めないの!」
「そんな事言われても…」
「役立たずね。本当に使えやしない」
ちゃんと仕事をして来たのに酷い言われようだ。
「じゃあ暖炉に火を起こす薪を割って来て、その後湯を沸かすのよ」
「え?さっき働いて来たばかりだ…」
「水汲みしただけでしょ!これ以上イライラさせないでくれる!」
「ぐっ!」
胸倉を掴まれ睨まれる。
「アンタは居候。寄生虫なのよ…アンタの叔父は罪人!叔母様はアンタの所為で病んじゃった所為で私達がアンタを監視しなくちゃいけないの…アンタの所為で私達家族は最悪だわ」
「そんな…」
「言っても無駄でしょうけど」
僕はここで味方が誰一人いないことをようやく気づかされたのだった。
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