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第一章廃嫡と婚約解消
閑話3悪役令嬢の誤算②
しおりを挟む友人を失った二人が待っていたのは社交界での非難と、辺境地の貴族からの糾弾だった。
辺境貴族は王族派であるが王太子に肩入れをしていた。
その理由は国を思えばこそだった。
未熟であるが、フィルベルトは国の要である辺境貴族を重宝していた。
彼等もまだまだ粗削りであるが、希望を抱いていた。
王都が最優先されるのは政治の場でもあるが、国の守りては辺境貴族の力なくして存在しない。
初代国王は建国時から辺境貴族を大切にしていたのだ。
彼等は王家への忠誠心が強かったからこそ、不遇な扱いも耐えていた。
フィルベルトは辺境地に住まう年老いた元騎士を士官学校に講師に招いたり、王都ないで腕は良いが身分の所為でくすぶっている若い見習い騎士を辺境地に派遣する等働きかけていた。
辺境伯爵のほとんどが優れた武人なので、彼等の元で鍛えれば戦力となる。
それ程に彼を信じていたのだ。
中央に忘れられた彼等は王太子が期待をしている。
それだけでも嬉しい事だった。
だが辺境地に視察に来るときはマリアンナは来なかった。
何時もフィルベルトと王弟に側近だけだった。
今回の事で彼等は完全に見限ったと言っても過言ではない。
王家に反旗を翻した謀反人と言う声も上がって来ていた。
このタイミングでナージャとエグバートが王都を去った事でマリアンナの立場は更に悪くなった。
同時に、マリアンナはアルセウスとの婚約が決まった。
卒業パーティーであれだけ騒がれたので婚約しない等という事はないのだが。
問題は、その本人にその気がなかったのだ。
「マリアンナ、お前とアルセウス殿下の婚約が正式に決まった」
「え…」
学園内でも社交界の噂になってはいるが、婚約をするとは思っていなかった。
「私とアルセウス様がですか」
「そうだ。婚約者を裏切ってまでも一緒になりたかったのだ…次期王太子にとエグバート殿下を推薦する声もあったのだが」
「エグバート様が!」
王弟の子供ならば王位継承権があるが既にその権利を返上をしているので本人も断ったのだ。
「そうなると、グレタ姫が立太子する事になるだろう」
「そんな…グレタ姫は!」
「そうだ。アルセウス様には王としての資質も、資格も器もない。そしてお前にも王太子妃の器がなかった。公爵家はフレデリカに継がせる」
「あんな余所者に!正気ですか…あんな里子に過ぎない血筋も悪い溝鼠に!」
「マリアンナ!」
キャトルは耐え切れず手を振り上げた。
「何という事を…なんて酷い事を」
「キャトル!」
「貴女は人の心を無くしたの?貴女はどうして!」
涙を浮かべ叫ぶキャトルを抱きしめるエクトルは冷たく言い放つ。
「やはりお前は…もう良い!しばらく部屋に見張りをつける」
「お父様」
「婚約式は一か月後だ。その前にフレデリカを公爵家の次期当主として発表する。お前を当主にする事は出来ない」
二人はそのまま立ち去って行く。
成す術もなくその場にしゃがみ込んだマリアンナは。
「ありえない…嘘よ。何で」
すべて計画通りだったが誤算が生じてしまい、幸せになるはずの未来は閉ざされてしまった。
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